[1.29 東北高校新人大会準決勝 青森山田高 1-2(延長)尚志高 Jヴィレッジ]
プレミア勢対決は尚志が制す――。29日午前、第23回東北高等学校新人サッカー選手権大会(男子) 準決勝で青森山田高(青森1)と尚志高(福島1)が激突。延長後半の決勝点によって、尚志が2-1で勝った。
23年度にプレミアリーグと選手権の2冠を達成した青森山田と、同プレミアリーグEASTで2位に食い込んだ尚志との注目対決。仲村浩二監督が「(29日午後に決勝が行われたが、青森山田戦で)『全部出し切って、もう次のゲームのことは一切考えなくていい』っていう戦い方ができたから、あのゲームになったんじゃないかな」と評したように、全力を尽くした尚志が青森山田に黒星をつけた。
試合開始直後、尚志のU-17日本高校選抜候補FW矢崎レイス(2年)がいきなり相手ゴールを強襲し、強烈なシュートを打ち込む。一方の青森山田もU-17日本高校選抜候補の左SB小沼蒼珠(2年)のロングスローなどセットプレーからチャンスを作り返す。
球際の激しい攻防が続く中、尚志が先制点を奪う。前半28分、自陣からボールを繋ぎ、10番MF高橋響希(2年)が攻撃をスピードアップさせる。そして、左サイドでボールを引き出したFW長坂隼汰(2年)が前方のスペースへパス。最後はMF小笠原啓太(2年)の折返しをU-17日本高校選抜候補MF大内完介(2年)が左足でゴールへ叩き込んだ。
青森山田はCB矢部翼(2年)の負傷交代後、中盤のわずかな戻りの遅れが失点に結びつく形に。それでも、後半開始から右SH別府育真(2年)と前線のMF小山田蓮(1年)のポジションを入れ替えると、2分、その別府が起点となってチャンス。最後は前線へ飛び出したMF山口元幹(2年)が右足で決め、同点に追いついた。
青森山田は、その後もゲーム主将を務める10番MF谷川勇獅(2年)の展開力を活かし、サイド攻撃から決定機を作る。ゴール前での堅い守備、最後の一歩が出る部分など特長を発揮した一方、プレスバックや「一本中一本決め切る」ことにこだわるチームがその強みを欠くシーンも散見された。
一方の尚志は右SHの技巧派レフティー、大内が中央でボールに係る回数を増やしたことで相手を押し込む時間を増加。10番MF高橋響希(2年)と大内がそのキープ力や身のこなしによって相手選手の足を止める。青森山田DFはなかなかアプローチに行くことができず、下がりながら守備対応する回数が増える展開となった。
それでも、青森山田は後半終盤から右SB中島斗武(2年)がタイミング良くインターセプトする回数を増やし、左サイドでは小沼が対人の強さを発揮。声を掛け合いながら守り、GK松田駿(1年)が好セーブを見せていたこともあって勝ち越し点を許さない。
一方の尚志もGK野田馨(2年)が要所を封じ、ゲーム主将のCB西館優真(2年)が反応速くゴール前のこぼれ球を回収するなど崩れない。1-1で延長戦へ突入したゲームは先に青森山田がサイド攻撃から決定機を作るが、尚志も交代出場で鋭い動きを見せるFW千住澪央(2年)や機動力とテクニックを兼備するFW長坂がゴールへ迫る。
迎えた延長後半7分、尚志は相手クロスのこぼれ球を拾ってカウンター攻撃。高橋のパスから千住が一気に左サイドを抜け出して左足シュート。ファーポストを叩いたボールを右SB西丸由都(2年)が右足でゴールへ蹴り込んだ。
再びリードされた青森山田は小沼を前線へ上げて反撃。圧力を掛けたが、決定的なヘッドを外すなどチャンスを活かせなかった。新チーム初黒星。正木昌宣監督は試合直後のミーティングで「何とかなる、という感じが凄くする」「矢印が自分に向いていない」「弱さを見せるな」「どのチームよりも努力しろ」と指摘。そして、「2失点とも戻ってれば防げるシーンに戻ってないとか。逆にチャンスでもう1枚行ってれば打てるところで、行き切らないで打てなかったりとかっていう……チャンスを感じたり、ピンチを感じて行動するという、その動作が非常に気になったかなと」など課題を挙げていた。
一方の尚志は、反省も活かしての勝利となった。優勝候補の一角として臨んだ選手権は初戦で岡山学芸館高(岡山)に逆転負け。仲村監督は「去年の選手権で初戦でやられたっていうのがあるんで、やっぱり一戦一戦っていうのはもう常に。今日の山田戦みたいな、終わった後に全員がぶっ倒れてもう動けないっていうような状況で最後終われるような、毎回の試合をそういう風に持っていければいいかなと」と求めた。
京都入りしたMF安齋悠人をはじめ、現3年生は年代別日本代表候補や日本高校選抜候補が複数。現1、2年生はそのチームに割って入ることができなかった。それでも、セカンドチームとしてプリンスリーグ東北を戦い、4位と健闘。先輩たちの陰で努力を重ね、成長した姿を今回の東北新人大会で披露した。
青森山田からの白星は今後へ向けても大きい。大内は、「最初はやっぱ勢いとかに呑まれるところもあったんですけど、1点目の崩しとかもやっぱ尚志らしいというか、みんなの崩しで決めれたんで、山田相手にもそういう自分たちのサッカーできたことは良かった」と胸を張る。必ず雪辱を目指してくるライバルに負けずに成長を目指すだけ。そして、プレミアリーグなどの公式戦で連勝を狙う。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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