名門の新リーダー候補が、日本一とプロ入りへの一年をスタートした。市立船橋高(千葉)のギマラエス・ニコラス(2年=Wings U-15出身)はU-17日本高校選抜候補のGKだ。今冬の選手権では、帝京長岡高(新潟)とのPK戦で敗退目前の状況から、5人目と6人目を連続セーブ。劇的な白星へ導くと、その後も各試合で安定した守備を続け、チームの12年ぶりとなるベスト4進出に貢献した。
準決勝の青森山田高(青森)戦でもPK戦で1本を止めたが、チームは惜敗。「そこにもう一回立ちたいっていう思いは本当に強くなりましたし、(PK戦で)1本は止めたんですけど、一番大事なところで止めれなかったっていう悔しさもあるんで。次こそはしっかり国立に立って、最後、勝って喜びたいなっていう風に思います。(前主将のMF大田隼剛は)試合中も本当に周りを引っ張られる存在だったんで、自分がそういう存在になれるように努力したいなと思います」。新生・市船の有力なリーダー候補は、日本一とともに個人としても上を目指している。
ギマラエスは1月に開催されたU-17日本高校選抜候補合宿でも存在感。どの試合でも一際大きな声でコーチングを続けてチームを集中させた。そして、日本高校選抜候補戦ではビッグセーブを連発。DFが「やられた」と思うようなシーンで止める力は彼の強みでもあるが、その力を発揮してアピールした。
「個人的な目標としてプロに行くのもあるので、もっと足元のテクニックとか、もっと見える範囲、 蹴れる範囲とかも広げて、攻撃に関わるような選手にならないといけない」。1年時にU-16フィリピン代表に選出され、今回、U-17日本高校選抜候補にも選出。「ちょっと自信もついてきてはいるんですけど、まだ自分のプレーには満足していないので、もっと成長を。まだ、あと1年という期間があるので、その中でしっかりしたい」と意気込んだ。
恩師の曽我光利GKコーチは、名将・布啓一郎監督時代の市立船橋やU-16日本代表のGKコーチを務め、流通経済大などを経て市立船橋に復帰した指導者。その曽我コーチは、「彼はプロになりたいんで、プロになるために何をするか、何をしなくちゃいけないか。何かプロフェッショナルじゃないとプロにはなれないよ、って話をいつもしている」と説明する。
身長は183cmほどと特別な高さがある訳では無い。だが、曽我GKコーチは「色々なことができるバランスの良さ」や反応の速さが「プロフェッショナル」になる可能性を示唆。シュートのコースが変わるディフレクションのトレーニングで、他のGKが苦戦する中でもギマラエスは3本4本と反応性してボールをはじき出している。
「ストライカーと一緒で教えてできる部分と、勝手に体が動く部分がある。彼は勝手に体が動くので、そういう本能的なものは面白い部分なんじゃないかなと思っています。やんなきゃいけないことがたくさんあるけれど、それは本人も分かっている。まだまだこれから伸びる。基本的なことをしかあまりやってないので」と曽我GKコーチ。「大事なところで止めるとか、目立つとか、そういうところで絶対負けたくない。どのGKよりも目立ったGKになりたい」というギマラエスは自分を信じ、「誰にも負けたくない」「プロになる」という強い思いを持ち続けて成長と目標達成をしてのける。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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