[2.27 デンチャレグループA第1節 U-20全日本選抜3-1関西選抜]
新シーズンにかける思いが伝わる開幕ハットトリックとなった。上空に飛んだキックは大きく戻され、時折冷たい小雨がぱらつく劣悪なコンディションの中で行われたゲーム。風上と風下で有利不利が大きく分かれる試合になったが、FW内野航太郎(筑波大1年=横浜FMユース)はその両方でゴールネットを揺らしてみせた。
前半20分に風に乗せたシュートで関西選抜に先制を許したU-20全日本選抜だったが、同28分、内野は2トップを組んだFW塩貝健人(慶應義塾大1年=國學院大學久我山高/横浜FM内定)とのコンビネーションから同点弾が決まる。
さらに後半22分にはGKデューフエマニエル凛太朗(流通経済大1年=流通経済大付属柏高)のロングキックから左サイドの深い位置を取ったMF松村晃助(法政大1年=横浜FMユース)のクロスを左足で蹴り込んで逆転弾を決めると、終了間際のアディショナルタイム2分には、エリア内で縦に仕掛けてゴールネットを揺らした。
“暴風”が吹いたこの日のピッチで、風下で得点したのは内野が唯一だった。内野も「前半、風下だったのでまずは耐えようと話をしていた。先制されたけどなんとか1点を取ることができて、後半に同点で行けたことが勝因かなと思う」と頷いたが、「100点満点の出来ではなかった。あと2点くらいは決められたと思います」と自身の出来に満足することはなかった。
より意識をさせられる存在になった。高校までを横浜F・マリノスのアカデミーで過ごした内野だが、その古巣から先月末、同学年のFW塩貝健人の27年入団内定が発表になった。ともに入学初年度の昨年から大学サッカー界に名を馳せる存在で、6月には一緒にU-19日本代表に選出されてフランス遠征も経験した。
塩貝の実力を認めるからこそ、刺激として受け止めている。「塩貝がいい選手というのは分かりますけど、求められていることが違うことも分かっている。でも相性はいいと思っていて、この選抜でもいい感じでタスク分担できている。もちろん先に内定が出たのは刺激になりましたけど、自分のやるべきことにフォーカスして技術を磨いていきたい」と自らのスキルアップに繋げたい考えだ。
大学ルーキーイヤーの昨年はリーグ戦で華々しくデビューを飾り、秋にはアジア大会を戦ったU-22日本代表でも結果を残した。終盤は怪我もあって思うようにコンディションを上げられなかったが、今年のオフは大学での練習に集中。パリオリンピック出場を意識することで、今年にかける覚悟を固めてきたという。「代表活動で自信はつきましたけど、インカレで力不足を痛感した。だからこそこの冬でいいトレーニングが出来たと思っている。今年は勝負の年だと思っています」。
勝負のシーズンの幕開けをハットトリックで飾ることができた。「そこ(パリ五輪)に対する思いはめちゃめちゃあって、3月のマリ戦(親善試合)のメンバーに入れなかったら出られないと思って取り組んできた。だからデンソーでの結果はマストだと思っていて、強い覚悟を持って入れています」。この日の活躍は会場にいた日本サッカー協会(JFA)関係者の目にもしっかりと映ったはず。内野の大学2年目が盛大に幕を開けた。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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