[3.17 J1第4節 鹿島 2-1 川崎F カシマ]
日本代表MF佐野海舟が持ち味のデュエルで川崎フロンターレの攻撃を封じ、鹿島アントラーズに今季のホーム初白星をもたらした。川崎F相手のJ1リーグ戦勝利は2015年8月以来9年ぶり。試合後、佐野は「相性が悪いのはわかっていたし、何年も勝てていないのはあったけど、悲観することなく自分たちのサッカーを今週作り上げてきて、それが出せたシーンも多かった」と手応えを口にした。
前節・町田戦(●0-1)では失点につながるボールロストがあり、大きな悔いを残していた佐野。それでもこの日に向けては「すごく悔しかったけど、すぐに切り替えはできた。切り替えてチームのためにやるしかなかった」と前を向き、川崎F対策を講じるチームのキーマンとなった。
相手に強く行く姿勢は普段と同様だが、この日は対人で剥がされれば致命的な場面を作りかねない相手。その中でも積極的な姿勢でサイドまでマーカーを追いかけ、川崎Fに心理的な圧力をかけていった。その結果、川崎Fの攻撃は外回りかロングボールに終始し、自由なパス回しを許すシーンはほとんどなかった。
それでも佐野は最終ラインの連係ミスに思われた前半36分の失点シーンにも責任を背負った。中に絞ってボールを受けたDF橘田健人に詰めてサイドに流し、縦パスを制限しながら受け手のMF脇坂泰斗をサイドに追いやることには成功したが、そこから乱れた最終ラインの裏への縦パスを許したことを反省していた。
「失点シーンはサイドに自分がつり出されて、数的優位を作られてそこから始まったのでそこは課題。脇坂選手が外を取って、橘田選手も外を取ってきて、自分が橘田選手に行くタイミングだったけど、確実に自分が行ったところの外を狙っていた。上手く対応できたかなとは思ったけど、脇坂選手にボールが入った時にもっと自分がアタックしていれば裏へのパスはなかった。1人で2人(を相手に)守れるくらいじゃないとダメかなと思う」。相手のプレーを制限するだけでなく、そこで奪い切ることを自らに求めた。
そうした高い基準は、18日から合流する日本代表の舞台でも求められるものだ。プレースタイルを考えれば、ポジション争いの直接のライバルとなるのはMF遠藤航。リバプールで圧巻のパフォーマンスを続ける主将を脅かすほどにならなければ、A代表でコンスタントに出場機会を得ることは難しい。
佐野自身も「普通にすごいし、学びがたくさんある。ああいう舞台で日本人選手がやれているのは自分たちにとってすごく希望になる」と刺激を受けつつも、「自分も早くあそこに行けるように頑張りたい」と並び立つ気概を持っている。
そのためにはまず高い基準を吸収しつつ、トレーニングから質の高いプレーを見せ続けることが求められる。今回の活動では遠藤、MF守田英正がいずれも17日夜に所属クラブのリーグ戦があるため、合流が遅れるとみられており、21日のホーム北朝鮮戦は大きなチャンス。佐野は「チームのやるべきことと自分の出したい特徴をバランスを見て、しっかりアピールできれば。練習からどんどん自分を出すことが必要だと思うし、試合に出たら今までやってきたことを出したい」と力強く意気込んだ。
(取材・文 竹内達也)
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