憧れの選手はアルジェリア代表のFWリヤド・マフレズ(マンチェスター・シティ)。本家同様、シザーズで相手の重心を上手くずらした瞬間に一気にスピードを上げて置き去りにする。切れ鋭い突破で見る者を魅了するのが、大分トリニータU-18のMF小野誠竜(新3年)だ。
「ドリブルはあまり取られる気がしない。ボールを持ったら誰かしらを抜いてチャンスメークできる自信はある」。そう豪語する通り、ドリブルには確かな自信を持っているが、トップチーム昇格を果たしたFW木許太賀を筆頭にアタッカー陣に実力者が揃っていた昨年は途中出場がほとんど。「スタートで出ることができず、悔しい時期が長かった」と振り返る小野は、現状に満足せず全体練習後の自主練でドリブルに磨きをかけてきた。
最終学年になってようやく射止めた主役としての出番。「常に自分に対する自信が凄くある。良い出来が続いているというよりは、自分の実力が出せている。前から自信を持っていたのですが、年明けぐらいから良い感じになってきて、もっと自信が付いてきた。試合でも自分の形が出せていて、取られる回数が少なくなった。練習でも努力しているので、日々の積み重ねが活きている」。
そうした言葉は決してビッグマウスではない。左サイドでボールをもらえば、いとも簡単に対面する選手をかわしてクロスやシュートまで持ち込んでいく。先日に行なわれたPUMA CUP in SAKAIでもピッチを躍動し、大会3日目の浜松開誠館高戦では2ゴール。シーズン開幕前に行なったトップチームのキャンプは怪我で帯同できなかったが、3月に行なった練習試合でも手応えを感じるプレーができたという。苦手にしていた守備も今年に入ってからはチームへの貢献度が高まり、改善の跡が伺える。
トップチームに2種登録された今年は、練習参加を何度も経験。「トリニータの攻撃陣の中でも(レベルが)違うなと思った。ポジショニングがよくて、ボールを持っても取られない」と評するMF野村直輝は格好のお手本。「ボールを持った時にドタバタしている時があるから、もっと冷静になれ。自分ならやれるから」とアドバイスをもらい、参考にしているという。
一足早くトップチームに昇格した1年先輩の木許、DF小野俊輔、MF松岡颯人の存在も刺激になっており、「越えなければいけない」と口にする。「今年はチームを引っ張って行きたい。チームを勝たせるためにゴールとアシストを増やしたい」。そう意気込む小野は勝利と得点を積み重ね、憧れだったプロのステージをつかみ取る。
(取材・文 森田将義)
Source: 大学高校サッカー
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