[MOM4673]FC東京U-18FW尾谷ディヴァインチネドゥ(2年)_新18番が攻守に全力を出し切って2ゴール!190センチの右ウイングが解き放ちつつある特大のポテンシャル

2ゴールの活躍を披露したFC東京U-18FW尾谷ディヴァインチネドゥ(2年=FC東京U-15むさし出身)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.21 プレミアリーグEAST第3節 柏U-18 3-3 FC東京U-18 日立柏総合グランド(人工芝)]

 得意なポジションだとか、慣れないポジションだとか、そういうことはもう関係ない。試合に出て、全力で攻めて、全力で守る。その先にこそ望んだ結果が待っていることは、この日の試合でより強く実感したはずだ。

「自分はプレミアリーグが開幕する前に今までやったことのない右ウイングになって、これでまだ3試合目なんですけど、まず守備のところを頑張ってやるということは監督にもチームメイトにも言われていたので、そこが上手く実って良かったなと思います」。

 攻守に全力で奮闘し続けるハードワークがもたらした1試合2ゴール。FC東京U-18(東京)が誇るナンバー18。FW尾谷ディヴァインチネドゥ(2年=FC東京U-15むさし出身)は右ウイングという新たな役割と、実にポジティブに向き合っている。

「やっている自分たちもシーソーゲームというか、点の入るゲームで楽しかったですし、絶対最後まで諦めないという気持ちもみんな持ってやっていたので、とても楽しかったです」。尾谷は終わったばかりの試合を、そう振り返った。プレミアリーグEAST第3節。FC東京U-18がアウェイで柏レイソルU-18(千葉)と対峙した一戦は、お互いが攻め合った結果、3-3というハイスコアのドロー決着を見たが、とにかく楽しい90分間だった。

 その打ち合いの扉を最初にこじ開けたのが、今シーズンから右ウイングを任されている18番の献身的な“守備”だ。前半6分。相手がビルドアップの流れからGKへとボールを下げたところへ、尾谷はスピードを緩めず果敢にプレス。GKが蹴ったキックを身体に当てると、ボールはそのままゴールネットへ吸い込まれる。

 最後までプレスへ行き切ったことが呼び込んだ先制点。「去年は周りの先輩に言われて、それで走っていたという感じがあったんですけど(笑)、今年は自分が点を獲ってチームを勝たせるために、前から守備をしようという気持ちが強くなりました」と正直な感想を口にする素直さも微笑ましい。

 これだけでは終わらない。同点に追い付かれた2分後の28分。DF佐々木将英(2年)が右サイドへ送ったボールを、DF金子俊輔(3年)が収めた時にはもう“道筋”は見えていた。

「将英からボールが出て、高い位置を取っていた俊輔のところに相手のサイドバックが出ていて、ポケットのところが空いていたのはわかっていて、そこに走ったら俊輔から良いボールが出たので、あとはキーパーをよく見て冷静に決めることができました」。

 金子からのラストパスを引き出すと、GKとの1対1も確実に制し、ボールをゴールネットへ丁寧に流し込む。ハードワークから手にした1点目と、フォワードらしい駆け引きから生まれた2点目。新境地を開拓している最中の尾谷にとって、この日の結果が自信をより深めるものになるであろうことは想像に難くない。

 1年生だった昨シーズンのプレミアリーグでは、12試合に出場して1ゴール。「プレミアという最高峰の舞台でサッカーができて、自分の足りないところに気付けましたし、後期の最後の3試合ぐらいはベンチに入れないこともあって、そこで『もっと強くなりたい』『もっと上手くなりたい』という気持ちも出てきたので、それを1シーズンで見つけられたのは良かったなと思います」。特に見つめ直したのは発信力。自分のやりたいプレーを周りへしっかり伝えることに、改めてこのプレシーズンから取り組んできた。

 本人も想像していなかった右ウイングへのコンバートも、自分の中ではすんなりと受け入れられたという。「右サイドは今までやったことがなかったので、最初は守備のやり方もあまりよくわからなかったんですけど、去年からずっと右サイドバックをやっている俊輔に守備の立ち位置とか教えてもらったので、今ではやりにくさはないですね。攻撃でもフォワードとはまた違って、サイドからだと相手のディフェンスラインが全部見えるので、背後を取るのも今までよりやりやすいかなと思います」。

 コンバートの張本人であり、今季からFC東京U-18の指揮官に就任した佐藤由紀彦監督も、この日の尾谷のパフォーマンスに高評価を与えた上で、とりわけ1点目に繋がった守備面での貢献に対して、こんな言葉を残している。

「こういう力のある相手に対して行き切れるかというところもあったので、ディヴァは今日で“旨味”というか、『ああ、こういうことをやると美味しいな』というものをわかってくれると、より守備という部分でもポジティブにやってくれるのかなと思います」。自分の力で獲得した“旨味”。こういうことの繰り返しが、選手を着実に成長させていくのだろう。

 今シーズンから付けている背番号は、自分から希望したという。「中3のむさしの時から18番を付けていて、自分にとっても特別な番号なので、今年も自分から18番に立候補しました。この18番というのを自分の番号にしていきたいなと思います」。紡いだ言葉に覚悟が滲んだ。

 その特大のポテンシャルは、少しずつ、少しずつ、解き放たれつつある。190センチの体躯を誇る大型右ウイング。得意なポジションだとか、慣れないポジションだとか、そういうことはもう関係ない。攻守にフルパワーを出し切る尾谷がどこまでのびやかに成長していくかが、今からとにかく楽しみだ。

(取材・文 土屋雅史)


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Source: 大学高校サッカー

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