日本サッカー協会(JFA)審判委員会の佐藤隆治マネジャーが9日、メディア向けのレフェリーブリーフィングでAFC U23アジアカップに「脳震盪による交代枠」が設定されていなかったことを明かした。
U23アジア杯決勝の日本対ウズベキスタンでは後半32分、MF荒木遼太郎が相手GKと激しく接触して地面に頭を打つ。荒木は治療を受けて出場を続けると、後半アディショナルタイムに決勝ゴールをアシスト。チームは得点後にDF大畑歩夢に代えてDF内野貴史を投入し、最後の交代枠を使い切った。しかし、その後に荒木が続行不可能となり、担架に乗ってピッチを後にした。
脳震盪の疑いで荒木が退いたなか、交代枠を使い切った日本は残り時間を10人で戦いきった。Jリーグでは通常の交代枠とは別に脳震盪による交代枠が用意されており、脳震盪の疑いがある選手が発生した場合、各チーム1人まで交代できる。そのため、ネット上などでは同ルールを使用しなかったことに疑問を呈する意見が多く出ていた。
ところが今大会の大会規定では脳震盪交代について明記されておらず、導入有無が不透明な状況だった。審判インストラクターやアセッサーとしてU23アジア杯に参加した佐藤マネジャーはこの点について現地で質問を受け、運営本部に確認。その結果「脳震盪の交代はやらないというレギュレーション」だと判明したという。
また、佐藤マネジャーは脳震盪による交代ルールの適用有無について「大会ごとに決めている」と説明した。実際、U23アジア杯に限らず、A代表のアジア杯やAFCチャンピオンズリーグ(ACL)などのAFC主催大会でも同ルールを適用せずに試合が行われていた。
一方、Jリーグでは脳震盪による交代ルールが適用され、入念な安全管理の取り組みが進んでいる。佐藤マネジャーは審判員に頭部負傷への迅速な対応を求めていることも強調。場合によっては一方のチームがチャンスを迎えるなか、守備側の選手が頭部の負傷疑いで倒れ込むこともあるが、「止めづらいシーンはある」と正直な胸の内を明かしつつ、「選手の安全を守れるのはあなたたちが早く止めることだけ」と伝え、勇気を持って試合を止めることを指示しているとした。
なお、国際サッカー評議会(IFAB)は今夏からの新競技規則で、脳震盪による交代ルールを「各チーム最大1人まで、使用すると相手チームに自由交代枠と交代回数が1つずつ追加」に改正することを決定している。脳震盪による交代枠が使用された場合、相手チームは自由なタイミングで新たに1人交代を行うことができるようになる。もっとも従来の運用方法は一律で適用できなくなるが、新ルールを適用するかについては各大会の判断となる。
(取材・文 加藤直岐)
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Source: サッカー日本代表
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