[5.24 インターハイ鹿児島県予選準決勝 鹿児島城西高 4-0 鳳凰高 OSAKO YUYA stadium]
鹿児島城西がプレミアリーグでの成長を示し、全国王手。令和6年度全国高校総体(インターハイ)鹿児島県予選準決勝が24日、南さつま市のOSAKO YUYA stadiumで開催され、鹿児島城西高が4大会連続の決勝進出を決めた。鹿児島城西は鳳凰高と対戦し、4-0で快勝。鹿児島城西は16年度以来の全国大会出場をかけ、25日の決勝で神村学園高と戦う。
初参戦のプレミアリーグWESTは、第7節を終えて2分5敗。それでも、5敗のうち3試合は1点差と、Jクラブユースの強豪相手に守備で食い下がるなど渡り合っている。新田祐輔監督が「(プレミアリーグの経験によって)去年より、潰しのところは早く出来上がっています」と説明する鹿児島城西は、鹿児島高との準々決勝で延長戦を含む90分間を無失点。その堅守を準決勝でも発揮した。
鳳凰は準々決勝で伝統校・鹿児島実高をPKの末に下し、初の4強入り。立ち上がりはMF兒玉幸村(3年)のドリブルなどで相手を押し下げる。だが、鹿児島城西は指揮官が「急成長している」と評するMF常眞亜斗(2年)とMF重盛響輝(2年)のダブルボランチを中心に鋭く、しつこいアプローチを連発。相手が仕掛ける前にボールを奪い切るなど、自陣PAに近づけなかった。
「1対1で5回追っかけろって言ってるんですよ。インターセプト、コントロールした瞬間、前向かせない、遅らせる、(上手い選手はさらに反転して剥がしにくるが)そこまでついて行く」と新田監督。近江高(滋賀)に1-0で勝利した昨年のプレミアリーグ参入戦当時から意識して求められていることを選手たちは表現していた。
ドリブルを得意とする鳳凰に対し、身体を引き離されることなく食らいつき、ボールを奪う。右SB福留大和(3年)が「かわされてもそのままついていって、それを全員がやれば多分いい守備できて、塊が出てくる」と説明したように、鹿児島城西はコンパクトに、塊となって守備。徹底してドリブル、ショートパスで攻める相手を封じると、そこから素早く仕掛けた。
前半15分、鹿児島城西はMF添島連太郎(3年)が推進力を発揮し、敵陣右サイドでFKを獲得。これを10番MF中村玲音(3年)が右足で蹴り入れると、ニアの福留が頭でゴール左へ流し込んだ。
先制した鹿児島城西は福留がインターセプトから攻め上がったほか、高い位置での奪い返しからいずれも攻撃力を備えた左SB柳真生(3年)と右SB福留や中村、MF柿元翔毅(3年)の両翼を活用したサイド攻撃。セットプレーの数を増やし、柳のロングスローなどで相手に圧力をかける。29分には添島が縦パス一本で抜け出し、決定的な右足シュート。だが、鳳凰GK森星瑛(2年)が足で止め、追加点を許さない。
鳳凰はCB志田玄太主将(3年)やCB高倉拓也(3年)が身体を張って守り、セットプレーからゴールに迫るシーンもあった。だが、鹿児島城西は後半6分、重盛の縦パスでU-17日本高校選抜FW大石脩斗(2年)がDFと競りながら強引に前へ出る。最後は切り返しから右足シュートを流し込み、2-0とした。
さらに12分には、右サイドのスローインからボールを受けた柳がゴール方向へ左足クロス。これが混戦のゴール前を抜け、そのままゴールネットに吸い込まれた。畳み掛ける鹿児島城西は、13分にもこの日好フィードを見せていたCB中村慶登(3年)の縦パスで大石が抜け出し、右足で4点目。鳳凰も中盤でしなやかな動きを見せるMF南畝佑星(3年)がボールを引き出し、ラストパスまで持ち込む。だが、鹿児島城西はCB當眞竜雅(3年)やGK藤吉純誠主将(3年)を中心に隙を見せず、4-0で勝利した。
鹿児島城西は4大会連続の決勝進出。過去3度はいずれも決勝で神村学園に惜敗している。今年は、神村学園と同じプレミアリーグに昇格。“高校年代最高峰のリーグ戦”で揉まれながら成長してきた。
藤吉は宿敵との決勝へ向けて、「同じリーグに上がって、同じ強度でやってるんで、(決勝では)やっぱり自分たちが奪って攻撃して、逆に相手が自分たちのプレーできないぐらい、圧倒したいと思います。必ず自分たちのサッカーをして、必ず優勝旗取りたいと思っています」と力を込めた。
プレミアリーグ昇格を果たしてくれた昨年の先輩たちは、「勝ちに対しての執念が凄い代」(藤吉)だったという。その世代は県新人戦、九州新人戦で神村学園に勝利したが、夏冬の全国大会予選決勝で惜敗。先輩たちから学んだことに自分たちの特長、プレミアリーグでの経験を加え、今年こそ、壁を乗り越える。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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