10番でなくとも…絶対的な存在に。静岡学園のチャンスメーカー、MF天野太陽がスキルと前への姿勢を発揮し、ゴール演出

静岡学園高MF天野太陽(3年=大阪市ジュネッスFC出身)が右足ループシュートでゴールを狙う
[5.26 インターハイ静岡県予選準決勝 静岡学園高 3-0 富士市立高 藤枝総合]

「(監督の川口)修さんからも、高田(優)君みたいになって欲しいみたいに言われていて、僕も優君みたいなプレーができたらいいなっていうのはあるんで、目標にしているところであります」

 目標は前10番のMF高田優(現徳島)。静岡学園高の新たなチャンスメーカー、MF天野太陽(3年=大阪市ジュネッスFC出身)は高田のような欠かせない存在、チームを勝たせる存在になることを目指している。

 元々、トップ下やボランチを得意とする天野だが、現在は右サイドハーフ(SH)としてのプレーを続けている。この日も、「右なら真ん中よりは余裕持ってボールを持てたりする」というポジションで、視野の広さと技術力を活かした運ぶドリブルやパス、また運動量を発揮していた。

 前半31分には、右サイドから対角のパスでチャンスの起点に。そして、33分には「来るかなっていうのはありました」とGK有竹拓海(2年)の左足ロングキックに反応する。これを絶品のファーストタッチでコントロールし、背走するDFの前へ、PAでファウルを受けてPKを獲得した。

 有竹と2人の精度でビッグチャンスを創出。「トラップでファーストタッチ大事だなと思ってたんで、そのファーストタッチで相手の前に入れたのはよかったかなと思います」。自ら蹴ったPKは、狙いすぎてゴール左外へ。それでも、後半ファーストプレーで天野が追加点を演出する。右スローインで相手の背後を取り、素早い判断でラストパス。これが富士市立のオウンゴールを誘い、2-0となった。

 川口修監督も「PKを帳消したプレーになって、あれでゆとりが出た。ああいう1点でだいぶチームが落ち着いたりする」と評価した1点。天野はその後も右サイドをコンビで切り崩そうとしたほか、相手の意表を突くループシュートやプレースキックでゴールを目指し続けた。

「チャンスメークは自分の特長でもあるんで、多くチャンスを作るところやチームにちょっとしたアクセントを加えるのは自分の持ち味なんで、そういうところは練習から意識してやっています。(今日は)最初は相手のプレスとかにハマったりする部分とかがあったんですけど、PKを取ったシーンとかでも、前に行くっていう意識が自分の今日のプレーに繋がったのかなっていうのがありました」。普段から意識していることに加え、より前への姿勢を持ってプレーしたことが良い形で勝利に結びついた。

 天野は昨年、けが人が続出している中でプレミアリーグの先発も経験。今年は静岡県選抜に選出されるなど注目度を高めている。本人は伝統の10番を背負うことを意識していたというが、県新人戦は怪我。3月下旬からは静岡県選抜の欧州遠征もあり、シーズン前にアピールすることができなかった。

 背番号「7」で新シーズンをスタートしたが、切り替えてプレー。「ちょっと悔しいですけど、今は番号とか気にせずに、自分のプレーを表現できたらいいなっていうのはあります」。まだイージーミスや守備の課題があることは確か。それでも、「チームで絶対的な存在になりたいなっていうのはありますし、チームが苦しい時に、自分がチームを勝たせられるような選手になりたい」。ゴール、アシストを連発した高田のように仲間たちを引っ張り、静岡決勝でも静岡学園を勝たせる。

後半開始直後、右サイドからのラストパスで2点目を演出

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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