パリ五輪OA選出難航の複雑すぎる理由…所属クラブ了承から五輪直前移籍で招集白紙のリスクも

U-23日本代表
 パリオリンピックに向け、オーバーエイジ枠(OA)の選考が難航しているようだ。U-23日本代表は30日に6月のアメリカ遠征メンバー25人を発表。そのなかに24歳以上のOAは含まれなかった。山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が会見で選考の難しさを明かした。

 8大会連続12度目の五輪出場を決めたU-23日本代表。7月のパリ五輪を前にした最後の活動で6月にアメリカ遠征を行うが、そのメンバー25人にOAの選手は含まれなかった。山本NDは「長い時間をかけて丁寧に進めてもらっている」と現状を説明。OA選手の出場意思、所属クラブの意向、OA選手の移籍の可能性などが絡み合っていることを挙げた。

 これから夏の移籍期間に入ることが、難しさをさらに上げているようだ。現所属クラブからは招集の了承を得られても、今夏移籍した場合は改めてその移籍先と交渉しなくてはいけない。また所属クラブの指揮官が変われば、招集を断られる可能性も出てくる。現状でOAとして計算していても、それぞれの問題が本大会目前に起きて招集白紙となる可能性もゼロではない。A代表選手からのOA選出ならば、クラブでの序列が下がればA代表招集にも影響を及ぼすため、選手たちも慎重を期しているようだ。山本NDは「われわれの成長の証」「日本サッカーの正しい成長」と日本サッカー界のレベルアップによる嬉しい悲鳴としながら、深刻さを強調する。

「移籍先のクラブがどこになるか決まらない状況のなかで、(OAの選手は)五輪のチームに迷惑をかけたくないという思いもある。じゃあ行きますよと本人が言っても、そのなかで突然大きな移籍が動き出せば、五輪期間がクラブでのトレーニングという大事な時期になる。その時期にトレーニングに参加していなければ、ポジションはとてつもない競争のなかで行われるので、ポジションが取れなければ9月のワールドカップ予選も呼ばれなくなるリスクもある。彼らは本当に悩んでいると思う」

「W杯の頂点から逆算して五輪での成長は欠かせない。だが、難しい選択を選手に背負わせることも我々としては避けたい。そのなかでのギリギリの選択。大岩監督とも相談しているが、日本サッカーの成長の大事な節目と感じている」

 山本NDは「6月末ぐらいが登録ギリギリ」と期限をほのめかしつつ、「我々が扉を閉ざしているわけではないので、メンバー登録ギリギリまで努力は続けていく」と力を込めた。本大会を最善の形で挑むために、水面下の交渉は続けられるようだ。

(取材・文 石川祐介)


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Source: サッカー日本代表

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