U-23日本代表 アメリカ遠征メンバー発表 大岩剛監督会見要旨

大岩剛監督
 日本サッカー協会(JFA)は30日に都内で記者会見を行い、6月のアメリカ遠征に臨むU-23日本代表メンバー25人を発表した。会見では大岩剛監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が質問に答えた。

 パリオリンピック出場を決めたU-23日本代表は、6月7日と11日にアメリカでU-23アメリカ代表と対戦する。

以下、会見要旨

山本昌邦ナショナルチームダイレクター
「まずはご報告として、4月にカタールで行われたU23アジアカップにおいて、我々の目標であるパリ五輪出場と、そしてアジアチャンピオンという目標をしっかり達成したことで、この6月の重要な強化試合につながるし、パリ五輪につながったというところを本当に嬉しく思う。皆さんのサポートに感謝申し上げたい。この6月の活動だが、今お話ししたように五輪で最高成績を収めることは重要な目標ではあるが、選手が成長していく過程のなかでひとつでも多くの素晴らしい経験を積んで、我々の究極の目標であるサムライブルーのワールドカップの頂点というところの通過点として大事な試合をこなせることが大切と思っている。そういう意味ではこの6月の2試合、25名の招集になった。そのなかからオリンピックの本番は18名の選手で戦うことになる。ご存じのように日程も非常に厳しいなかで戦っていく。選手たちが成長する場としてはこれ以上ない成長の舞台だと思う。そこに向けてこの6月シリーズ、しっかりとチーム作りとともに選手の成長というところと、その18名の中にどうアピールしてもらえるのか、また新しい選手も招集させていただいている。全体のチーム、そして個人個人の成長というところを楽しみにしている」

大岩剛監督
「U23アジア杯において、パリオリンピックの出場権と優勝という結果を残すことができた。これはひとえに選手派遣に協力をしていただいている各クラブの皆さんのおかげでもある。公の場で感謝を伝えることができていないので、改めてこの場をお借りして、トップクラブの皆さん、関係者の皆さんに感謝の気持ちを伝えたい。ありがとうございます。そして、我々はそのアジア杯を戦い抜いたことによって得た自信とともに、パリオリンピックに向けて準備を進める。そして、この6月のIW(インターナショナルマッチウィーク)の期間を使ってしっかりとチームをさらに強化するということ、それを目的としてアメリカとの2試合を戦っていきたい」

──今回招集された海外組は五輪本番で招集できるのか。また、未招集の海外組は五輪で呼べる可能性はあるのか。
「オリンピックに対しての活動という位置付けだが、いま現在の選手がいいコンディションでいること、そしてIWという我々が唯一選手を招集できる期間でこの活動に呼べる選手を今回は選ばさせてもらった。大前提としてオリンピックに向かう活動。オリンピックに向けての準備も当然やりながら、ただ今回来ている選手たちがオリンピックに招集できるということは、国内組も含めてコンディションも含めて、まだまだ先があるので、しっかりとここも踏まえた上で活動を続けていきたい」

──チェイス・アンリがひさびさの招集、そして佐野航大は初招集。現状をどう評価して、どう期待をかけて呼んだか。
「2人とも非常にいいコンディションでいるというリサーチのもとで今回招集した。ひとつ下の世代の選手たちだが、我々のグループにおいてもしっかりと力を発揮できる、グループのなかで活躍できるという評価のもとで今回招集をお願いして了承を得た」

──25人と多めに招集した意図は何か。U23アジア杯で未招集だった選手たちに期待することはあるか。
「オリンピックに向けての最後の活動なので、チーム力を上げるために、競争力をいま以上に上げるためにこの人数でお願いをした。そして、U23アジア杯に呼んでない選手も、いま現在の彼たちのコンディションであったり、活躍というものをしっかりと見ながら今回招集させていただいた」

──オーバーエイジ(OA)をこのタイミングでは呼ばなかった。その経緯、現状はどうか。
山本ND「OAの選手たちに関しては、長い時間をかけて丁寧に進めている。一方で、たくさんのハードルがある。個人個人のオリンピックに出場したいという意思であったり、所属クラブの了承も取らなきゃいけないところであったり、我々の成長の証だと思うが、移籍する選手の可能性というところで言うと、移籍先との了承も取り付けなければいけない。A代表の選手たちは、今回なかなか移籍の可能性が高い選手もいる。そういう意味で移籍先が決まったとして、そこから交渉に入っていく過程の形になっている。そこのハードルはかなり難しさを極めているという状況はある。そんな中で、今回この選手という確約というか、実際にパリ五輪に出場できるというところに成り立ってないということがそれぞれの選手にある。そういうところが極めて難しい調整にはなっている。ただ我々が扉を閉ざしてるわけではない。メンバー登録ギリギリのところまで努力は続けていく。もちろん監督、個人スタッフが必要とされる選手の中ということになるし、一番は選手の意思、クラブとの調整になる。本当に複雑なもの。A代表にいる選手が中心になるが、この選手たちが大きなクラブで本当に必要とされているということ。違うステージにたどり着いている。選手たちの成長によって、所属クラブで彼らが本当に必要とされているなかで、かなり交渉というのはクラブもしくは所属クラブの監督が決まっていないとか、そういうような状況もあって動きがなかなか進まない。ますます今後、今回の五輪チームだけでなく、選手たちが成長していけばかなり難しい交渉になっていくんだろうなというところは想定している」

──今回の活動でブラッシュアップしたいところ、チームとして改善したいところ、どういったトレーニングをしたいか。
大岩監督「IWはトレーニングをする時間は少ない。移動もあり、そして選手の到着の日程も違う。その中でしっかりと我々のコンセプトであったり、スタイルであったり、プレー原則をしっかりと全選手がもう一回再確認をする。新しい選手にはしっかりとチームにおける自分の立ち位置を認識してもらう。そういう作業をしっかり進めていきたい」

──これから本番までのカレンダーでいま発表できる予定はあるか。
山本ND「メンバー発表に関して、オリンピックはJOC、IOCとの調整、FIFAの登録の期限諸々ある。そんな中で、常にオリンピックの事案に関してはJOCと連携を取りながら、情報交換しながら進めている。実際はかなり早い段階での登録期限というのが設定されており、一年前に選手が決まっている競技もあるが、ギリギリまで交渉しているところ。6月末ぐらいが登録ギリギリのところ。今まだ発表できる段階ではないが、決まったら速やかにメンバー発表と、スケジュールをお伝えできるようにしたい」

──OA枠の選手の中で国内組の選手はいるか。アメリカとの初戦は非公開となっているが、情報の公開はあるのか。
「具体的な質問で非常に答えにくいところ。OA枠の国内組の話は、事前に登録したメンバーというのがある。具体的な名前を発表することはできないが、その枠の中から選ぶということになる。そこもかなり精査して進めている。非公開に関しては、アメリカの協会と我々も含めて準備した中でそういう話が出てきた。実際に両チームで形を整えるということになっている。メンバーや結果をどこまで皆さんにお伝えできるかというところは、監督以下現場、広報と調整して、できる限りそういう風には考えている。ここでどこまでかというのはお伝えできないが、鋭意努力はしたい」

──国内組で松村優太が去年11月以来の招集となった。招集意図や期待するところは何か。
大岩監督「我々の活動、これまでの活動の中で、彼だけではなくて、たくさんの選手を招集して活動してきたなかで、いま現在の彼のパフォーマンス、そしてグループにおける彼の役割というものが、しっかりとチームが進んでいくうえで必要だと思い、今回招集させていただいた」

──チームができあがっているなかで佐野を初招集したが、期待するところはあるか。
「彼のオランダでの活躍はもう説明する必要はないと思っている。彼が自信を持ってパフォーマンスを我々のグループの中でしっかりと発揮してくれることが、競争力を上げてチームのレベルアップにつながる。初めての招集になるが、非常に大きな期待をしている」

──5月末に予備登録リスト50人を提出したなかで、今回の海外組は入っているという認識か。
山本ND「今回発表になった選手たちはすべて登録されている。五輪の出場は可能な状況。海外組の招集に関してはいろんなハードルがある。一年以上前から海外オフィスのスタッフが努力した結果だと思っている。今回呼べた新しい選手を含めて楽しみにしている」

──久保建英が五輪不参加を明言した。
大岩監督「彼だけではなく他の選手も交渉の中で難しいという話は聞いている。私としては山本NDにお願いをして、今回の活動もオリンピックに向けての選手選考も、しっかりといろんな条件を加味しながら、最後の最後までできたらいいと思っている」

──今回メンバーが変わった中で、U23アジア杯で培った一体感をどのように継続していきたいか。
「一体感という認識の捉え方がそれぞれ変わると思うが、グループにおいて多くの困難であったり、そういうものが時に一体感を生んだり、ひとつのアクシデントが一体感を生んだり、いろんな形がある。我々が向かうべきところ、ターゲットを明確にすることで、全員で一歩ずつ進んでいくという姿勢を今までもやってきて、今後もそのスタンスでやり続けていけば、おのずと高いところを目指す一体感のあるグループを作れるんじゃないかなと思っている。言葉だけじゃなく、我々の行動によっていろんなアクシデントを越えながら、大きい山を一歩一歩登っていきたい。そうすることでチーム力が上がっていけばいい」

──OAの交渉期限について、どのぐらいまでに目処をつけるのか。
山本ND「OAの選手たちに関しては、それぞれに置かれている状況がまったく異なる。一人ひとり丁寧に進めていって、ギリギリということになろうかと思う。常に海外のスタッフが、クラブとのコミュニケーションであったり、本人とのコミュニケーションであったり、本当に頭が下がるぐらいスタッフが丁寧にやっている。選手やクラブに挨拶に行ってもらっている。ヨーロッパの選手たちが多いので、チームの監督が代わったり、移籍の状況があったり、移籍すればまた移籍先のクラブと決めなきゃいけないというタイミングの難しさというところは非常にハードルも高い。シビアなコミュニケーションが求められている。海外のスタッフの努力に頭が下がる思い。本当によくやっていただいている。五輪の活動も含めての我々の力を結集して、いい形で整えられる努力はしたい。冒頭で申し上げた通り、いくつかのハードルを一つひとつ乗り越える必要があるということをご理解いただければ。選手の成長があるからこういう難しい状況になった反面、嬉しくも思い、日本サッカーの正しい成長なんだろうなというところ。我々に求められているハードルも上がってきている。そのくらいオリンピックのメンバー、OAやU-23の海外組も同じことが言えるが、そういう状況に来ている」

──同世代ですら招集の難しい選手がいて、OAも厳しい状況。今回招集したメンバーで実質的に戦わざるを得ない可能性もあるが、そういうことも踏まえているか。
大岩監督「今回招集をした選手たちが今回のU-23日本代表という形で活動する。それを前提にアメリカ戦の2試合をやるが、まずは勝利を目指すというところは変わらずやっていきたい。そして、その先にあるオリンピックだが、その都度召集できるコンディションのいい選手で臨みたい。それぞれ目的をしっかり持って活動をしていきたいと思っている」

──FC東京から4人が選出された。人数制限もある中でサバイバルの要素があるのか。招集の理由は何か。
「サバイバルという認識はしていない。今回はIWなので、我々の活動の中で彼らがコンセプトの中でしっかりプレーができるということをしっかり確認をしながら、競争力のあるグループを作るためには彼らの力が必要だという認識の上で、FC東京にお願いをして招集させていただいた」

──OAは予備登録も含め、土台に上がっている候補となる選手はどれくらいいるのか。
山本ND「一番私が困る質問がズバッときた。人数に関してはここでは申し上げられないが、移籍の可能性があるなかで、移籍先のクラブがどこになるか決まらない状況で、(OAの選手たちは)五輪のチームに迷惑はかけたくない思いもある。本当にデリケート。じゃあ行きますよと本人が言った中で、突然大きな移籍が動き出せば、五輪の期間にクラブでトレーニングがあって大事な時期になる。とてつもない競争の中でやるレベルの選手たちなので、ポジションが取れなければ9月のワールドカップ予選も呼ばれなくなってしまうリスクもある。彼らは本当に悩んでいると思う。ワールドカップの頂点から逆算して五輪の成長は欠かせないと思うが、難しい選択を選手に背負わせるのは、我々としては避けたいところもある。その中でギリギリの選択になる。もちろん大岩監督とも相談しているが、日本サッカーの成長の大事な節目と感じている。この経験は先々には活かしたいと思っている」

──チームコンセプトを表現できる選手を求めてきたが、最後の選考合宿となる期間を選手にどのように過ごしてほしいか。
大岩監督「チームコンセプトが一人歩きしがちだが、その中で自分の特徴や強みを出すことが代表のあるべき姿だと思う。そういう認識は選手に対してずっと言い続けてきたこと。その中でいかに競争力を上げて、お互いが成長していくことがチーム力を上げる。そしてチームがひとつになっていくという流れになっていくと思う。そういうところは求めながら、ただチームが勝つというところもしっかり求めていきたい」

──佐野はいろんなポジションでプレーすることができる。どのポジションを適正だと考えているか。
「いま佐野が出ているポジションもそうだが、我々のグループで行けば6番や8番のプレーヤーという認識をしている。チーム事情にもよるが、しっかりと彼の特徴を把握した上で、試合で活躍できる状況を作ってあげたい」

(取材・文 石川祐介)


●パリオリンピック(パリ五輪)特集(サッカー)
Source: サッカー日本代表

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