チームを一つにした選手ミーティング…“どん底”から這い上がった尚志、6発快勝で全国への切符をつかみ取る!!

尚志高が6発快勝で全国切符を獲得
[6.1 インターハイ福島県予選準決勝 尚志高 6-1 学法石川高 Jヴィレッジスタジアム]

 予選が始まるまでの3週間。チームはどん底にいた。だが、地元開催となるインターハイの出場権を逃すわけにはいかない――。復活した尚志高が圧巻のゴールラッシュで全国行きの切符を手に入れた。

 6月1日、令和6年度全国高校総体(インターハイ)福島県予選準決勝がJヴィレッジスタジアムで行なわれ、尚志が6-1で学法石川高に快勝。今年から全国大会が福島県で開催されるため、2校に与えられる出場枠を確保して、2日の決勝に駒を進めた。

 U-18高円宮杯プレミアリーグEASTに出場している尚志にとって、この準決勝がインターハイ予選の初戦。スーパーシードとして戦う重圧があったのは間違いないが、それ以上に芳しくないチーム状態が気がかりだった。

 5月12日のプレミアEAST第6節の大宮U18戦。「3節の昌平戦でクリーンシートを達成し、(第4節青森山田高戦と第5節の)鹿島アントラーズユース戦で勝ち切れたので、大宮戦は布陣を元に戻しました」(仲村浩二監督)。システムを4-2-3-1から、リーグの序盤戦で採用していた攻撃力がより活かせる4-4-2に変えて臨んだが、0-2で完敗。そこから沼にハマり、勝ち切れない試合が続いた。

 再びシステムを4-2-3-1に戻したものの、第7節のFC東京U-18戦、第8節の前橋育英高戦では早々に先制点を奪いながら、いずれも1-2の逆転負け。準決勝1週間前にまさかの3連敗を喫し、チームには重苦しい雰囲気が漂い、直後の選手ミーティングでは厳しい言葉が飛び交った。

「それぞれが意見を口にしたけど、ちょっと言い合いになった」(FW長坂隼汰/3年)

 だが、話し合いの場がチームを一つにした。前橋育英戦のハーフタイムにミスを追求するような出来事があったが、そうした事象についても議論。「もっと一体感を持ってポジティブな声をかけたほうがいいという意見が出た」(長坂)。前向きな姿勢を取り戻すきっかけとなり、その後の練習で仲村監督から叱責されたこともチームにとってプラスに働いたという。「練習の雰囲気が悪かったけど、監督の言葉で全員の方向性が揃った」(DF西館優真/3年)

 同じ轍を踏むわけにはいかない。インターハイ予選の準決勝に向け、リスタートを切ったチームはモチベーションを高めて決戦に臨んだ。

 4-2-3-1のシステムで臨んだ大一番は、直近2試合のプレミアリーグと同じく開始早々にリードを奪う展開に。前半3分、キャプテンを務める右サイドハーフのMF千住澪央(3年)が、左SB板垣大翔(3年)のお膳立てからヘディングで先制点を奪った。課題だった試合運びも改善され、受けに回ることなく、ボールを動かしながら積極的に追加点を狙っていく。すると、21分にFW関口元(3年)、23分に長坂、26分にはFKの流れから西館がネットを揺らして一気にリードを広げた。

 攻撃の手を緩めない尚志は33分にも加点。MF高橋響希(3年)のFKに板垣が頭で合わせ、5-0で前半を折り返した。

 完全に流れを掴んだ尚志はハーフタイムを終えてからも攻勢を仕掛け、3分に後半開始から投入されたMF阿部大翔(2年)が右サイドを打開した千住の折り返しからゴールを奪う。以降は選手を入れ替えながらタフに戦い、集中力を切らさずにゲームを進めていく。最終盤の34分に学法石川のFW村田駿助(2年)にロングシュートを決められたが、最小失点に留めて歓喜の瞬間を迎えた。

「この準決勝を獲れれば、インターハイはうまくいくかもしれないと感じていた。全国大会はちょっとチャンスがあると思っている。チームが一つにさえなれば可能性はある」とは仲村監督の言葉。壁を乗り越えたチームはまた一つ逞しくなった。だが、まだ終わりではない。決勝が残っている。掴んだ自信をより確固たるモノにするためにも、まずは県王者を目指して全力を尽くす。

(取材・文 松尾祐希)


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Source: 大学高校サッカー

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