県内最多17回目の全国へ!! 「気持ちのこもった試合」見せた立正大淞南、大社下して4連覇達成

4連覇を達成した立正大淞南高
[6.1 インターハイ島根県予選決勝 大社高 0-1 立正大淞南高 島根県立サッカー場]

 令和6年度全国高校総体(インターハイ)島根県予選決勝が1日に益田市の島根県立サッカー場で行われ、大社高立正大淞南高が対戦。立正大淞南が1-0で勝ち、4大会連続17回目の出場を決めた。

 強い風が吹く中で始まった一戦は、風上に立った大社が敵陣までボールを運ぶ回数が多く、右サイドからのクロスやDF井上太陽(3年)のロングスローなどでゴールを目指す。だが立正大淞南もDF高麗空飛(3年)とDF三島典征(3年)の両CBやGK山田新(2年)が的確に対応し、決定機を作らせない。

 立正大淞南はボール奪取後の素早い攻撃への切り替え、敵陣のスペースを突く動きで押し返そうとするものの、なかなか良い形を作れない。前半26分(35分ハーフ)には、前日の準決勝で2得点を挙げながらも、その後に右足首を痛めて交代で退いてしていたFW三島拓人(3年)が、やはり動きが思わしくないため、FW郷原巧実(3年)との交代でピッチを後に。結局そのまま前半はスコアが動かず、0-0でハーフタイムを迎えた。

 後半は風上の立正大淞南の動きが良くなり、MF山田都愛(3年)、MF山田涼斗(3年)の両サイドハーフのドリブル突破などで攻め崩そうとする。だが大社もDF栗原貫志(2年)とDF武信瑛大(2年)の両CBを中心に守備陣が崩れず、逆に右サイドを崩してセンタリングから惜しいチャンスを作るなど拮抗した状態が続いた。

 しかし9分、大社に思わぬアクシデントが起こる。ボランチとしてチームを攻守に支えていたMF佐々木碧(3年)が敵陣右サイドの深い位置で突破を狙い、立正大淞南の選手が寄せてゴールキックになった直後、ピッチに倒れ込んでしまう。右ヒザを抑えてプレー続行不可能となり、担架で運び出されて交代を余儀なくされた。

 このすぐあとに均衡が破れた。11分、左サイドから攻め込んだ立正大淞南は山田涼斗がエリア内で右足シュート。これは大社の栗原にブロックされたが、こぼれ球に反応した郷原が右足で蹴り込んでネットを揺らした。

 勢いづく立正大淞南はFW若槻大雲(2年)の突破などで追加点を目指すものの、大社も踏ん張って1失点でしのぎ、懸命に敵陣へとボールを運んで同点ゴールを狙う。エリア内まで入り込むシーンもあったが、立正大淞南の守備陣はピンチでもパニックにならず、シュートを打たせない。

 4分と表示されたアディショナルタイムにかけて、大社は遠い距離からでも井上がロングスローを投げ入れてチャンスを作ろうとする。しかし立正大淞南の守備は最後まで崩れず、1-0のまま試合終了のホイッスルが鳴った。

 惜しくも及ばなかった大社の後長直樹監督は「前半のような勢いの中で、もう少しチャンスを作りたかった」とコメント。今年度のチームはサイド攻撃や、井上のロングスローを含めたセットプレーが得点源となっており、さまざまなパターンで崩そうとしたものの、最後まで1点が遠かった。

 2年ぶりにプリンスリーグ中国に復帰した今年度は、より強度の高い相手との戦いを経験することでチーム力を高めることが期待される。後長監督は「チームは良くなっている。相手の球際や強さという土俵だけでなく、そうじゃない土俵のところも、くぐり抜けられるように準備したい」と選手権予選での捲土重来を誓った。

 立正大淞南は県内最多を更新する17回目の出場。野尻豪監督は「戦うところ、部員みんなの夢を背負っているという気持ちのこもった試合だと感じた」と語り、「決勝は、いつもそうですが、うまくいかない。その準備もできていたし、試合に出る選手だけでなく、ベンチの控え選手、応援の選手も、全員が最後まで戦ってくれた良い試合だった」と部員たちを称えた。

 さらに野尻監督は「今年は絶対に勝ちたかった」とも語った。同校OBで現大学4年生の4人、FW古山兼悟(大阪体育大、C大阪加入内定)、DF山田和樹(大阪体育大)、FW稲本起拓(大阪体育大)、DF松村巧(福山大)が教育実習に来ており、今回の予選にスタッフとして帯同。2020年に高校3年生だった4人の代はコロナ禍でインターハイが中止になり、高校選手権も県予選決勝で敗れて出場できなかったため、「ウチの魂を持ったまま大学で頑張っている選手たち。この代のチームを代表して、この雰囲気、優勝の喜びを味わってほしかった」と思いを明かした。

 その上で野尻監督は「OBの姿を見て、どう今後に生かしていくか」と現役生に問いかけ、「いつ、誰が出てくるのか分からないのはウチの強みだと思っている。また全員で、全国大会まで練習したい」と今後のチーム内競争に期待を寄せる。「厳しい時間帯もありましたが、応援の力が大きかったです。あの応援がなかったら最後まで走れなかった」と感謝したキャプテンの高麗も「全国で勝ち上がるために、もっと守備を強化したい」と夏の大舞台を見据えていた。

(取材・文 石倉利英)


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Source: 大学高校サッカー

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