昨年の全国3位・国見が3-0で長崎決勝進出。今年は攻撃的な特長も積み上げ、昨年超えへ

名門・国見高が3-0で長崎決勝進出
[6.6 インターハイ長崎県予選準決勝 国見高 3-0 諫早商高 長崎県立百花台公園 サッカー場]

 昨夏超えへ、国見が全国王手――。令和6年度全国高校総体(インターハイ)長崎県予選準決勝が6日に雲仙市の長崎県立百花台公園 サッカー場で行われた。昨年度全国3位の国見高は3-0で諫早商高に快勝。7日の決勝では、2年連続の全国大会出場を懸け、長崎総合科学大附高と戦う。

 国見は3回戦で前回大会4強の創成館高、準々決勝で新興勢力の九州文化学園高と激戦ブロックを勝ち抜いて準決勝進出。この日は前半3分、MF門崎健一(3年)の絶妙な右CKから10番FW西山蒔人(3年)が先制点を叩き込む。

前半3分、右CKから国見FW西山蒔人(10番)が先制ゴール
幸先よく得点を挙げた

 幸先良くリードを奪った国見だが、直後にCB川原凜太郎(3年)が抜群の高さのヘッドでクリアした際に相手選手と交錯。負傷交代するアクシデントに見舞われた。右SBに山本透舞(3年)を投入し、右SB野尻慎之助(3年)を左SB、左SB古川聖來(3年)をCBに移してリスタートしたが、リズムを掴むまでに時間を要してしまう。

 攻守で距離感が開いてしまったこともあり、グラウンダーのパスを繋ぐ諫早商から良い形でボールを奪い切ることができない。諫早商は10番FW松永皇龍(3年)のキープ力や司令塔のMF柿平寛太(3年)の展開力も活かして押し返し、パス交換で相手選手と入れ替わるなど反撃。クロスを上げ切るシーンを増やして見せる。

諫早商の10番FW松永皇龍がボールを収める

 前半22分には、正確なキックを見せていたMF小川蔵人(3年)の左CKから松永がヘディングシュート。国見も左サイドでテンポ良くボールを動かして野尻がクロスを上げたほか、右SH江藤呂生(3年)のクロスや門崎、MF出田幸雅(3年)の飛び出しで圧力をかける。

 32分には、左SH原田高虎(2年)がDFを外してからの右足シュートを枠へ飛ばす。だが、諫早商GK濱崎善(2年)が横っ飛びでセーブ。諫早商は主将のCB馬場悠矢(3年)が相手の攻撃を跳ね返すなど、集中した守りも光り、1点差で前半を折り返した。

諫早商CB馬場悠矢主将が前線へフィードを入れる

 諫早商は後半7分には敵陣でボールを奪ったMF秋山勇斗(3年)が左サイドへ抜け出してクロス。だが、国見は決定打を打たせない。国見は川原交代後、上手くいかない時間が増えていたが、注目GK松本優星主将(3年)や守備能力の高い古川、CB上野壮大(3年)を中心に後方の選手たちはほぼバタつくことなく、試合を進めていた。

国見DF古川聖来は序盤に左SBからCBへポジションを移し、守りを安定させた

 また、ハーフタイムに木藤健太監督から「もうちょっと距離を近くしよう。(相手が中を閉じてくるんで)わざと寄っていくくらい近くでいい」と助言された選手たちは、攻撃時のサポートの距離を改善。ボランチのMF切封海音(3年)がパスを引き出し、ダイレクトでのパス交換が増えるなど攻撃にリズムが出た。

 後半8分、国見は門崎が右サイドからGKとDFの間に絶妙な右足FK。フリーで走り込んだ西山が頭でゴール左へ決めて2-0とした。これで落ち着いた国見は、主導権を握ってのゲーム運び。21分には、交代出場のMF坂本聖星(3年)のさばきから、同じく交代出場の右SH稲富絆仁(3年)がドリブルで運んでスルーパスを通す。これで抜け出した門崎が右足でゴールへ流し込んだ。

後半8分、国見FW西山蒔人がこの日2点目のゴール
エースが役割を果たした
後半20分、国見MF門崎健一が決めて3-0

 諫早商も諦めずに攻める。28分、右クロスをファーサイドの交代出場MF溝口純(3年)が左上隅へ決定的なヘッド。だが、「良い準備ができたんで良かった。創成館戦と九文(九州文化学園)戦のシュートは少ないですけど、失点をしてしまって。自分たちの甘さっていうか、隙ができてたんで、この試合は絶対にゼロでいくっていう気持ちでした」という国見GK松本が見事な反応ではじき出す。

 昨年、国見はインターハイで全5試合無失点。準決勝で桐光学園高(神奈川)にPK戦で敗れたが、一戦一戦成長を重ね、我慢強い守備から少ないチャンスをモノにする戦いで勝ち上がった。昨年に比べると守備陣のタフさはこれからだが、松本は「4バックの距離感とチャレンジとカバーの当たり前のことを当たり前にやる。新人戦の時よりはだいぶ良くなってきてると思います」と変化を実感。この日は3-0で締め、決勝へ駒を進めた。

国見の注目GK松本優星主将は好セーブを見せるなど無失点

 国見は選手権優勝6回、インターハイ優勝5回、全日本ユース(U-18)選手権優勝2回の名門校だ。2010年度を最後に全国舞台から遠ざかっていたが、12年ぶりに出場した2022年度選手権で16強、昨年度はインターハイ3位。OBの木藤監督の指導の下、毎年積み上げながら成長し、巻き返してきている。

 今年のチームについて、指揮官は「去年よりもどちらかというと自分たちで攻撃の主導権を持ってやろうとしているところではあります。相手によってはもちろんこれから変わってくると思いますが、そういうところが今年はリズムになっている」と説明する。今季昇格したプリンスリーグ九州2部では、5連勝中でリーグトップの18得点。西山、門崎の強力2トップに加え、少しずつだが得点のバリエーションも、得点する選手の数も増えてきている。

 この日の前半は慎重になりすぎた部分もあったが、後半は交代出場の選手を含めてバリエーションのある攻撃。ライバル・長崎総科大附との決勝では、まずはハードワークから徹底して自分たちの流れ、特長をより表現できるような展開に持ち込む。松本は「自分たちの目標は全国制覇なんで。去年の成績を超えられるように、まず明日(7日)の試合に全力をかけたいと思います」と宣言。2連覇を果たし、全国制覇への挑戦権を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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