初のオリンピック、そして昨年のワールドカップに続く2度目の大舞台を心待ちにしているようだ。日本女子代表(なでしこジャパン)は14日にパリ五輪メンバー18人を発表。記者会見を開いたMF清家貴子(三菱重工浦和レッズレディース)は「去年のW杯ベスト8で敗退したときからこの悔しさを世界の舞台で晴らしたいと思ってWEリーグで戦ってきた。そういう舞台で戦う権利を得られたことがうれしい」と笑顔を見せた。
メンバー入りは電車の中で知ったという。「実はこの前に浦和レッズのパートナー企業に表敬訪問に行く予定だった。その道中の電車のなかでYoutubeで観ていた。うれしかったけど一人だったのでグッと押し殺して、着いたら浦和の方もいておめでとうと言われて、ようやく実感が湧いた」。国際的な大舞台は昨年のW杯に続いて2度目。そのときの悔しさが蘇った。
W杯のグループリーグでは初戦・ザンビア戦で5-0、第2節・コスタリカ戦も2-0と快勝。さらに第3節ではスペインを4-0と大量得点で撃破した。続く決勝トーナメント1回戦でもノルウェーに3-1で勝利。しかし快進撃は準々決勝で止まり、スウェーデンに1-2で敗れていた。
初めての世界大会となったW杯は「自分自身が試合に出たい、活躍したいという気持ちが強かった」。その後悔はいまだに残っており、五輪に向けて「自分自身のプレーも見せたいが、それよりも日本を勝たせたい思いが強い」と決意を新たにしていた。
悔しい形で終わったW杯だが、その舞台で戦う面白さを味わった。大会前まではボール保持から崩してゴールという形が多かったが、W杯では相手にボールを持たれて日本が引いて守る展開が増えた。だが、日本はカウンターからの得点で快進撃を続ける。「こういう戦い方ができる日本が面白いと思った」。ブレイクを果たした宮澤ひなたはマンチェスター・ユナイテッドに移籍。「ステップアップもできるし、チームとしての可能性をすごく感じた」と初めての体験を思い返していた。
池田太監督が指揮するなでしこジャパンは3-4-3と4-3-3のシステムを使う。清家は自身のポリバレント性を挙げ、「前線だったら1トップでもサイドでもできる。WBも左右できると思う。どこで出てもしっかりしたパフォーマンスができるようにやっていきたい」と強調する。そして今シーズンのWEリーグ得点王、ベストイレブン、MVPの3冠は成長の証だ。「やっぱり得点の部分が今シーズン一番成長した」と胸を張った。
五輪でもWEリーグで見せつけた実力を示していく。「自分が点を取ればチームを勝たせる確率が上がる。出場した試合では得点を目指したい」と前向き。毎試合得点を達成すれば得点王も視野に入るが、「正直そこはあまり意識したくない」と慎重な姿勢ものぞかせる。「チームのためにどんなプレーができるかにフォーカスしたい。けど、達成できたらうれしい」とチームのために、自らの力を発揮するつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
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Source: サッカー日本代表
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