「まだまだ」も、東京学館が千葉準決勝で市立船橋と100分間の好バトル

東京学館高は延長戦で敗れたものの、CB熊谷大輝主将(左端)が同点PKを決めるなど名門・市立船橋高を苦しめた
[6.12 インターハイ千葉県予選準決勝 東京学館高 1-2(延長)市立船橋高 東総運動場]

「何も達成してない、って子どもたちには言っているのでまだまだです」。東京学館高は関東大会予選に続き、インターハイ予選でも準決勝進出。そして、インターハイ日本一9度の市立船橋高と延長戦まで熱戦を繰り広げたが、久野直之監督は「まだまだ」を強調していた。

 立ち上がりに失点も各選手が味方を信じて走り、競って、セカンドボールを回収。その勢いのある攻守の前に市立船橋は後手に回り、ファウルの数が増えていた。一方の東京学館は県内外の高校生チームや大学生との練習試合で磨いてきた強度を発揮。球際のバトルで互角以上とも言える戦いを見せ、相手を押し込むことに成功していた。

 そして、久野監督が「春先も試合に出ていないです。2年生までメンバーも入ったり入んなかったりで、この代になって出てきてくれた選手。ウチのチームを象徴する選手です」というMF木内楓(3年)のロングスローやFK、CKからゴール前のシーンを増やした。

 市立船橋も簡単にはゴールを破らせてはくれない。だが、東京学館は後半13分、右サイドからのクロスに信じて走り込んだFW宮田都碧(3年)がPKを獲得。CB熊谷大輝主将(3年)が右足でゴール左隅に決めて同点に追いついた。

 さらに両ワイドの突破力を活用するなど勢いを持って相手ゴールに迫り、PAで混戦も生み出していたが、シュートをブロックされるなど次の1点を奪うことができない。東京学館DF陣もCB黒澤颯斗(3年)が身体を投げ出してブロックするなど良く踏ん張っていたが、延長前半アディショナルタイムに失点。最後は相手の運動量にも屈する形で競り負けた。

「子供ら一生懸命やったと思うんですけど、でもやっぱり最後、(市立船橋の)勝負強いところはさすがだなって。そこはもう見習わなきゃいけないし、凄く勉強になりました」と久野監督。ただし、100分間、伝統校を苦しめる戦いをしたことも間違いない。東京学館OBで、5月から平迫宣之前監督の後任として指揮を執る久野監督は、応援席で懸命に声を出し続けていた控え選手たちを指差し、「一番頑張った。あいつらが一番ですね」と讃えていた。

 千葉4強入りは素晴らしい結果だが、「まだまだ」だ。ここから各チームが選手権予選へ向けて強化するだけに、この結果に満足することなく、ライバルたち以上の日々を過ごさなければならない。技術面、勝負強さなど準決勝で学んだ課題も改善して成長し、「もちろん、千葉県を頑張って制して、選手権出るっていうのが一番の目標です」(久野監督)という目標実現に挑戦する。

東京学館を「象徴する選手」(久野監督)というMF木内楓
10番CB黒澤颯斗らDF陣も良く踏ん張った

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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