日本サッカー協会(JFA)は14日、パリ五輪に臨む日本女子代表(なでしこジャパン)メンバーを発表した。池田太監督は同大会に向けて18人を選出。記者会見に出席し、質疑に答えた。
●池田太監督
「本日、パリオリンピックメンバーを発表するわけだが、我々なでしこジャパンは昨年にアジア2次予選を勝ち抜き、今年の2月にDPRコリア(朝鮮民主主義人民共和国)とアジア2枠のうちの1枠を勝ち取るためのホーム&アウェーの厳しい戦いをなんとか勝ち進み、パリオリンピックへの切符を手にした。本当に選手は日々成長してくれたし、その中で昨年のワールドカップ、いくつかの活動、そしてアジア予選を経てここまでたどり着いた、そういった気持ち。そして、今日発表するメンバーだけでなく、日頃から女子サッカーを支えてくれている方、またここに選ばれなくともこれまで一緒に女子サッカーを支えてくれている方々、選手の皆さんの日頃の活躍、成長を本当に嬉しく思っている。ありがとうございます。私が率いているなでしこジャパンは女子サッカーの中ではトップのカテゴリーなので、そのなでしこジャパンが世界大会、国民の関心の高いオリンピックで活躍、躍動することは女子サッカーの発展、普及も含めて、とても影響の大きいものなので、そういった覚悟、責任を感じている。そして今日発表するメンバーとともにオリンピックを戦うことを私自身大いに楽しみにしているし、自信もある。その中でこれからの活動も含めてMS&ADカップ、直前キャンプで良い準備をして戦っていきたい」
─中2日の日程を18人で戦うわけだが、サイドバック、ウイングバックをできる選手が少ない印象。どういうバランスを考えて選考したか
「中2日でタフな試合になるというのは覚悟していて、その中で選手をどう起用していくか、何かあったときにどう対応していくかの想定はスタッフと議論してきた。サイドの選手をどう起用していくか。これまでの活動の中や試合以外のところでもテストしてきた。システムによっては攻撃的なサイドの選手、守備的なサイドの選手がいるが、DFの選手がサイドをやれたり、攻撃的な中盤で登録している選手がウイングバックをやれたりだとか、そういったポリバレント性も考えて、これまで積み上げてきたものを共有しているので対応できる」
─メンバー18人を決断したのはいつか
「いつ決断したかというのは、いろいろな手続き上のこともあるので今朝というわけではなく、2日前にチームスタッフのミーティングを経て、私自身、最後の決断をして選んだ」
─女子W杯でトレーニングパートナーを務めたDF古賀塔子(フェイエノールト)とMF谷川萌々子(ローゼンゴード)が18人という狭い枠に入ってきた。2人の成長をどう考えているか
「古賀はワールドカップ帯同の後、自分を成長させるために海外のクラブに所属し、試合にも関わり、またなでしこジャパンの活動ではトレーニング、国際親善試合の中で彼女の持っているDFとしての強さ、スピード、ボールを持ち運べる、ビルドアップに関われるといった良さが見えてきたので今回の18人に選んだ。谷川も持っている爆発力、パワー、見ているところもそうだが、年齢に関係なくしっかりと武器を持っていると判断したからメンバーに入った」
─今回のメンバー構成に込めた思いは
「18人+4人。私は22人というくくりでオリンピックを戦っていこうと考えている。その22人を選ぶうえでは、もちろん一人一人が持っている力を出し切れる選手であるかが第一だし、また中2日で戦う中でタフさも求められるので、個人としてもそうだがグループとして戦い抜けるタフさ、そういったこれまで積み上げてきたものも重視した。自分の持っている力も出しつつ、仲間の力も引き出せる、ピッチ上はもちろんだが、それ以外のところでもチームの為に献身的にプレーできる、動ける、そういった部分も考えるうえでポイントになった。あとはグループステージをどう戦っていくかという戦術的な部分でもポジションバランスも含めて、本当に22人、18人を選ぶという作業は、監督の仕事とはいえ厳しいものがあった」
─これまでDF熊谷紗希(ローマ)がキャプテンを務めたが、パリ五輪でも継続するか
「今メンバーを発表したので本人と話したわけではないが、このチームをずっと引っ張って戦ってくれている熊谷にまたチームをまとめてもらう」
─チームとしての目標設定は
「選手からもそうだし、DPRコリアとのアジア最終予選を勝ってパリの切符を手にしたときも、ここから先はオリンピックの戦の中で、やはり頂点、金メダルは目指そうといったことは話した。だけど、この12チームで戦うというところではグループステージも厳しい戦いになると思うし、ノックアウトステージに行っても、もちろん強豪国と戦うので、まずは目の前の一試合一試合をしっかりと戦い、そしてその先にある金メダルというところを目指していきたい」
─谷川、古賀のメンバー入りは、なでしこジャパンの将来を考えるうえでも非常に大きなこと。池田監督はどう考えるか
「彼女たちだけでなく、日本女子サッカーでは3年前にWEリーグも始まり、それに伴ういろいろな環境や意識の変化、また目標設定など、女子サッカーを取り巻く環境というものも含めて未来をしっかりと作っていかないといけない。その2人の成長のみならず年齢に関係なく、日々選手たちは成長していってくれている。その成長のスピードを落とさぬよう我々もサポートできればと思う」
─主将・熊谷に期待することは
「キャプテンとしてもそうだし、選手としてもそうだが、やはり彼女の経験というものは、このチームの大きな財産だと思うし、オリンピックで想定外のことが起きたときに対応してもらえる。若い選手とフラットにコミュニケーションをとりチームを引っ張ていってもらいたい」
─パリ五輪に向けてパワーアップしたところは
「ワールドカップを終えて、またいろいろな取り組みやさらに成長しようというところで、もちろんアジアの予選もあったが、これまで戦ってきている中で、選手たちと積み上げてきたことはなかなか伝えるのは難しいが、選手のピッチ内での解決能力、選手がピッチ内で悩まずに思い切ってプレーができる。そういった部分は増えてきた。そういったところは短い期間で積み上げることができた」
─グループステージではどのような戦い方を想定しているか
「対戦順で言うと、スペイン、ブラジル、ナイジェリアという部分で、中2日で戦っていく中で、やはりグループステージの初戦の大切さ、勝ち点を取っていかないといけないという部分、またそれと同時に、12チームで3グループ、3位チームまでが通過できる、その中で勝ち点を積み上げていく手堅さみたいなものも考えていかなければいけない。初戦が終わっての第2戦、いろいろなパターンを考えていかなければいけないし、実際にどういうことが起きるかを踏まえて、まずは初戦をしっかりと迎え撃つこと、そして3戦通して勝ち抜けるプランといった総合的な考え、そういったことを練っている」
─メンバーを選ぶうえで考えたこと、苦悩や葛藤はあったか
「いろいろな角度から選手選考を考えなければならなかった。中2日のタフなゲームをやっていくうえで、どう戦っていくことができるか、選手のローテーション、ポジション適正も含めて考えた。また高さや速さ、日程、対人へのタフさなど、フィジカル的な強さを持った選手をどう入れようかなど、多方面から考えてこのメンバーを選んだ」
─FW浜野まいか(チェルシー)の成長を受けて期待することは
「ワールドカップでは、彼女本人も悔しい思いをしたと思っている。そこからチェルシーの方でトレーニングし、そこでの活躍を追っていた。彼女の良さである、しっかりとした技術、運動量、2列目からの飛び出し、持っているアイディアなど、そういった部分はチームの力になってくれる。彼女の成長、そしてこのチームでオリンピックを戦っていくうえで、良さがチームの助けになってくれると判断し、今回のメンバーに入れた」
●パリオリンピック(パリ五輪)特集(サッカー)
Source: サッカー日本代表
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