[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.16 インターハイ茨城県予選決勝 鹿島学園高 2-0 明秀日立高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]
圧巻の動きで全国王者をねじ伏せた。前半40分、鹿島学園高はFW山本葵(3年=FCアビリスタ出身)が右タッチライン際でボールを受けてターン。背負っていたDFと入れ替わり、一気に加速する。さらにタックルに来たDFをかわしてゴール方向へドリブル。最後はGKを引き付けてからラストパスをMF山入端琉海(3年)へ通し、先制点をアシストした。
「足元はあんま上手くないですけど、背負いながら前向いて突破は得意だったんで。そこは自分がやんないとダメなところだった。それをやっただけです」という山本のビッグプレー。後半勝負で守備重視だった鹿島学園に、貴重な1点をもたらした。
山本は序盤から明秀日立高の脅威になり続けていた。前半11分には、右サイドでDF2人を強引に剥がして前進。「元々、1対1だったら多分負けないなっていうのはもうずっと思ってるんで」というFWは、その後も簡単には止まらなかった。
鹿島学園は風下の前半、押し込まれる時間の連続。だが、山本は個の力でもボールを収めて時間を作り、チームを引き上げていた。後半にも前線でボールを収めてシュートの起点になっていたほか、コーナー付近に追い込まれながらDF2人を剥がしてゴールへ迫るシーンも。鈴木雅人監督もエースFWの個の力を評価していた。
「プリンス(リーグ関東1部)でもあれは効いていたので。不器用ではあるものの、やっぱり一人で持って行く力というのは確かにあります。これからのサッカーの中でいくらグループ、組織って言っても、世界ではやっぱりまず個の集まりがチームになっている」。準決勝でも突破からアシストを記録。178cm、68kgで特別筋トレをしている訳でも無いというが、天然芝のピッチでその馬力、スピードはより光っていた。
この日、インパクトのある動きを見せたが、得点できなかったことを反省。「やっぱり、今日いいプレーできたと思うんですけど、点取れてないんで。FW2人が今点取れてなかったんで、そこは直して、(インターハイでは)得点取って得点王を目指していきたいなと思っています」。全国大会では青森山田高との対戦を希望。代表クラスの強い相手と真っ向勝負して、上回って、ゴールも決める意気込みだ。
5月、OBで憧れの存在でもある日本代表FW上田綺世(現フェイエノールト)が来校。一緒にトレーニングをする機会を得た。「動きも全然違うし、シュートのスピードも違う。背負った時に引きずってく力がもう全然違った」。目標とするレベルは、まだまだ先だった。それでも、山本は高校時代の上田に負けない馬力の持ち主。課題改善とともに個性をもっともっと磨き上げ、先輩ストライカーに近づく。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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