[6.21 U-16インターナショナルドリームカップ第2節 U-16日本代表 4-0 U-16ベネズエラ代表 Jヴィレッジスタジアム]
「自分は初招集なので、日本の同じ世代の一番上手い選手たちが集まっている場所でどのくらい通用するのか試せることを楽しみにしていました」
「U-16インターナショナルドリームカップ2024 JAPAN」第2戦、U-16ベネズエラ代表を4-0と破った試合の直後、U-16日本代表DF山中優輝(横浜FMユース)は開口一番、そんな率直な言葉を残した。
日の丸を付けて初めて挑む国際舞台。U-16ウクライナ代表との第1戦で試運転は済ませていたとはいえ、国際感覚が急に養われるわけでもない。「今日は南米の強いチーム相手にどれだけやれるのか」と漠然とした不安も抱えながらのキックオフだったようだ。
もっとも、いざ始まってみれば、ボール保持と非保持でシステムが変わる代表の戦術をしっかり消化しながら、「1対1の部分でも対応できた場面も多かったですし、自分の特長も出せたと思う」と振り返るパフォーマンスを見せた。
試合開始当初の対面はベネズエラの10番を背負うMFジェルウィン・アントニオ・スルバラン・ロペス。クセの強い個性派のテクニシャンだが、「しっかり映像でも観ていて、左利きでカットインが得意な選手なので、わざと縦を空けて行かせたりもした」と、相手の特長も頭に入れながら対応してみせた。
もっとも、競り合いに関しては「日本の感覚とまるで違っていて、足の速さもあるし、身体能力も高い」と驚きもあった様子。ヘディングで跳ね返そうと構えていたらジャンプして飛び込んできた選手に先に触られるシーンも作られるなど、国際試合ならではの攻防も体感。刺激的な経験を経て、あらためて「この代表に残りたい気持ちが強くなった」と振り返った。
山中は今季、横浜FMユースの監督に就任した冨樫剛一氏の薫陶を受けてきた。昨年、U-20日本代表を率いて「世界」と戦った経験を持つ冨樫監督は「あの舞台を体験した指導者としての責任があるのはわかっている」と言い、年代別日本代表で「戦える」選手を送り出すことを一つの責務と捉えている。
今季のスタートに当たって、その「候補」と見込まれていたのが山中だった。「身体的な力もあるし、左足もある」と言う資質に加え、努力家のメンタル面についても高評価。プリンスリーグ関東1部で高いパフォーマンスを見せる左SBに代表選手としての可能性を見出していた。
中学時代は神奈川の強豪街クラブ・東急レイエスFCでプレー。当時はボランチだったが、横浜FMからは「左SBで来てほしい」とのオファーを受けたと言う。「1対1には自信があったし、自分に向いているんじゃないかと思った」というポジションへの挑戦を意味するJを代表する名門の扉を叩き、昨季途中からそのポテンシャルを開花させ、今季の飛躍に繋げた。
「今日はクロスの質が悪かったし、そこは改善したい」と得意の攻撃面で、突破は見せたものの味方に繋げなかったことを猛省。「(セネガルとの第3戦は)より集中力を上げて、イージーなミスもなくして勝ちたい」と意気込む。トリコロールの左SBは、今大会でのさらなるブレイクスルーを誓っている。
(取材・文 川端暁彦)
Source: サッカー日本代表
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