トップ昇格内定の東京VユースFW川村楽人が大一番で大活躍。先輩FWからの助言活かした左足弾など2G1A

東京ヴェルディユースFW川村楽人は2ゴール1アシストの活躍
[6.22 U-18プリンスリーグ関東1部第7節 東京Vユース 7-2 横浜FMユース ヴェルディグラウンド]

 速いだけでは、相手に怖さは与えられない。ゴールが奪えてこそ、本物のアタッカーだ。スピードと決定力が備わったエースFW川村楽人(3年)が大一番で輝きを放った。

 6月22日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2024関東1部の第7節が行われ、東京ヴェルディユースはホームで横浜F・マリノスユースと対戦。ともに無敗でそれぞれ2位と首位に位置するチームの大一番は、前者に軍配が上がった。

 U-16日本代表が参戦している「]U-16インターナショナルドリームカップ2024 JAPAN」に、FW浅田大翔(2年)、DF山中優輝(2年)、DF藤井翔大(1年)を送り込んでいる横浜FMユースに対し、東京Vユースは序盤から圧倒的な攻撃力を示す。

 13分に左WG川村が先制点を決めると、続く23分には右WG井上寛都(3年)がクロスに合わせてヘディングでネットを揺らした。33分に「今年のオフ期間に体重が4kg増えて推進力が増した」(横浜FMユース・冨樫剛一監督)という右MF関野愛紀(3年)に単騎で突破されて1点を返されたが、40分にMF今井健人(2年)のゴールで再びリードを広げた。

 後半12分に横浜FMユースMF吉沢実頼(3年)に得点を許して再び1点差に迫られたものの、東京Vユースは一気にギアを上げて突き離しにかかる。19分にオウンゴールで4点目を奪うと、21分には川村が加点。勝負を決めると、終盤にも途中出場のFW山田将弘(2年)が2ゴールを奪ってゲームを締め括った。
 
 首位攻防戦を制したチームにおいて、抜群の存在感を示したのが川村だ。

 昨秋のU-17ワールドカップに出場した経験を持ち、既に来季からトップチームでプレーすることが内定している。プロデビューはまだ叶っていないが、5月29日に行われたレアル・ソシエダとの親善試合でトップチームの試合に初出場。実績は十分で、ユースチームでも今季は目覚ましいプレーを見せている。

 そうした手応えを得ていたなかで、この横浜FMユース戦では左ウイングで後半38分までプレーして2ゴール、1アシストの大活躍。13分にMF粕谷晴輝(3年)のスルーパスに抜け出し、冷静に右足で先制点をゲット。2-1で迎えた40分には右サイドからのクロスが逆サイドに流れてくると、迷わず仕掛けてゴール前に折り返す。今井のゴールをお膳立てし、チャンスメーカーとしての役割を遂行。そして、圧巻だったのが後半21分の得点だ。今井のスルーパスをゴール前で受けると、一気に運んで得意ではない左足を一閃。ファーサイドに決まり、取り組んできた成果を見事に示した。

「トップの練習に参加しても、左足のセンタリングやシュートが必要だと感じた。カットインはみんなできるけど、それだけではワンパターンで最終的に通用しなくなる。そこで違いを作るために左足を武器にしたいと思って、普段の自主練習から取り組んできた」

 左足の精度は昨季から課題にしてきた部分。U-17ワールドカップでも大会期間中の練習中に指摘される場面もあった。だからこそ、新たな武器にするべく取り組むなかで、トップチームの得点源・FW染野唯月から助言があったという。

「染野くんからシュートを学んだ。特に左足のシュートはこの間、教わったばかり。左足で打つ際にボールをどこに置くかを助言され、ニアにもファーにも打てる場所にファーストタッチをしないといけないと言われた」

 左足で目覚ましい一発を決めた川村だが、それ以外でも成長の跡を示している。第7節終了時点でリーグトップの9ゴールをマークしており、課題だった決定力に磨きがかかっている。逆サイドのクロスに対しては必ずゴール前に入っており、この試合はチーム最多の6本のシュートを放った。

「去年はスピードを生かしたドリブラーという感じだと自分で思っていたけど、得点が流れの中からなかなか取れていないと感じていた。今年はゴールが奪える選手になりたいと思っていて、ドリブルだけじゃなくて得点が取れる怖い選手になりたい」

 意識が変わり、よりゴール前で力を発揮できるようになった。シュートを警戒されるようになったことで、今度は周りをうまく使う場面が増加。お膳立てをする回数が増えており、この日のアシストもまさにそのパターンだった。自分でシュートを放つ考えもあったが、相手DFをうまく引きつけて今井のゴールを演出した。

 川村の成長に関して、薮田光教監督も目を細めており、賛辞を惜しまない。「プロで早く試合を出るために何が必要かをよく話している。守備をサボらないとかもあるんですけど、今できることは攻撃の特徴をひたすら上げていくこと」とした上で、こう評する。

「仲間をうまく使うことができるようになり、アシストが増えているのは成長の証。元々個の力でゴールを取る力があったので、いろんなことが少しずつできるようになってきた。怖い選手というか、掴みづらい選手になりつつある」

 右肩上がりで成長を続ける男はトップチームでのプレーはもちろん、代表での活躍も見据えている。先日、フランスで行われたU-19日本代表のモーリスレベロトーナメントは映像で確認し、「自分の刺激になった。U-19代表には良いウイングの選手がいるので、そこを跳ね除けていくぐらいの実力を見せないといけない」と気持ちを新たにした。

 怖い選手に変貌を遂げた“ヴェルディのエース”は止まらない。さらなる高みを目指し、努力を重ねていく。

(取材・文 松尾祐希)


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Source: 大学高校サッカー

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