森保監督がEURO視察で感じたベースの重要性「代表ではそこまで突き詰めてはやらないんだなと」

日本代表の森保一監督
 ドイツで開催中のEURO2024(欧州選手権)を視察した日本代表森保一監督が8日朝、帰国後の羽田空港で報道陣の取材に応じ、「ヨーロッパ各国からサポーターがスタジアムを訪れていて、フットボールの熱気を感じられていい刺激になった。ヨーロッパの頂点を目指す大会で国の威信をかけて戦う姿勢を見て、戦術的にもメンタル的にも非常に学びになった」と振り返った。

 森保監督は6月下旬にドイツへ渡り、グループリーグのトルコ対ポルトガル、スイス対ドイツ、アルバニア対スペイン、フランス対ポーランド、ジョージア対ポルトガル、決勝トーナメント1回戦のドイツ対デンマーク、イングランド対スロバキア、フランス対ベルギー、準々決勝のドイツ対スペイン、イングランド対スイス戦を視察。印象に残った試合には5日のドイツ対スペインを挙げた。

 森保監督は「お互いに力のあるチームで、事実上の決勝戦と呼ばれているような戦い。お互いに激しく厳しく高い技術、戦術を持って勝利のために戦いに挑む、全力を出し切るというところを見させてもらったのがすごく印象に残っている」と振り返りつつ、2022年末のカタールW杯でも対戦していた両チームについて次のように評した。

「スペインはやはりA代表から育成カテゴリまで同じ絵を描いてサッカーができるという点で戦術の選択肢が多いので、そこが判断につながなっていると感じた。プレーモデルはすごく大切だなとスペインを見て感じた。ドイツはフィジカル的にこれまで大切にしている局面局面で勝っていって主導権を握る部分と、ナーゲルスマン監督が戦術的に守備、攻撃、ボールを動かすか、選手のローテーション、ポジショニングのところを細かく詰めながら戦っていると感じた」

 またグループリーグでは、第3戦を前に敗退が決まっていたポーランドが優勝候補のフランスと1-1の前線を繰り広げた試合が印象的だったという。

「ポーランドは敗退だから消化試合というのではなく、国を背負って戦うという気持ちがすごく出ていた。最後の1試合に勝って、サポーターの皆さん、国民の皆さんに対して喜んでいただけるプレーをしようとしていた。それを聞いたわけではないが、そういうメンタリティを感じた。ポーランドのサポーターの方々も自分たちの国を代表して戦う選手たちを誇りとして、試合が終わった後にスタンディングオベーションで称えていたのがすごく印象的だった」

 その一方で視察を通じ、戦術的には「クラブのように細かくやっているかというと、代表ではそこまで突き詰めてはやらないんだなと感じた」と森保監督。「チーム作りに与えられる時間の中でほとんどのチームがシンプルに、オーソドックスに戦うところを軸にしていると感じた」といい、準備期間が短い北中米W杯アジア最終予選でも同様の傾向を踏まえて戦う姿勢を示した。

「選手の招集人数は23人、26人であったりと思うが、違うクラブから招集する代表チームにおいて、選手たちは日頃23通りの戦術、26通りの戦術でやっている。日本人の選手に合ったこと、チームに合ったことを戦術的にいろんなプランを持たないといけないが、試合まで準備できる時間が少なく、練習をしないで試合をしなければいけないかもしれない中、どうやってどうやってシンプルに選手たちが戦術の絵を持てるか。EUROを見させてもらってベースの部分(の重要性)が非常に大きいなと感じた」

 そうした中、「日本が出ていたらどこまで進めるか?」という報道陣からの質問に「そこは決勝と言いたいです」と笑顔で答えた森保監督。「ヨーロッパの中でW杯と同等の盛り上がりがあり、国と国との戦いという部分ではそれ以上の部分がある。移動が容易で両国のサポーターがスタジアム付近に来やすい。チームもそうだが、サポーター同士の熱い戦い、熱い思いがピッチ上に伝わる大会だと思った」と大会ムードの面でも刺激を受けた様子で、「各国の要人の方々も試合を見に来られている方々が多かったし、日本での大会、試合であったり、アジア杯もヨーロッパ選手権のように盛り上がるように、日本とアジアのサッカーがさらに発展して、盛り上がっていければいいなと思う」と将来的なビジョンも口にしていた。

(取材・文 竹内達也)


●北中米W杯アジア最終予選特集
●EURO2024特集
Source: サッカー日本代表

コメント

タイトルとURLをコピーしました