[7.14神栖ワールドユースフットボール予選リーグ マドリード選抜 0-3 前橋育英高 神栖市矢田部サッカー場]
日本サッカー界の将来を担うユース年代選手のサッカー競技力向上と健全な心身の育成、そして、世界の強豪選手たちと切磋琢磨して「世界」が現実的な目標になることを期待し、「第1回神栖ワールドユースフットボール」が13日から茨城県神栖市で開催されている。国内の強豪15校とマドリード選抜(スペイン)の計16チームが優勝を争う大会は、2日目の14日午前にマドリード選抜と前橋育英高(群馬)が激突。前橋育英が3-0で勝った。
マドリード選抜は「文化の違いを知り、試合でしっかり戦うためです」という理由で今大会に参戦。ラーヨ・バジェカーノやヘタフェの選手たちが、日本で書道体験など文化にも触れながら、3日間の戦いに挑戦している。
だが、この日のゲームは、大半の時間帯で前橋育英がボールを支配。5分に左WB牧野奨(2年)の左クロスからFW佐藤耕太(3年)がヘディングシュートを放つと、その後も攻守で差を生み出すMF石井陽主将(3年)やMF柴野快仁(2年)のチャンスメークから佐藤やFWオノノジュ慶吏(3年)がシュートへ持ち込んだ。
そして15分、前橋育英は中央、PA外側でこぼれ球を拾った石井がグラウンダーの右足シュート。これを左隅へ突き刺し、先制した。攻勢を続ける前橋育英は切り替え速くボールを奪うと、ほとんどバックパスすることなく、角度をつけた1タッチ、2タッチのパス交換で前進。守備で隙のできていたマドリード選抜を攻め立てた。
ただし、マドリード選抜はオノノジュや佐藤の決定的なシュートをGKダニエル・ブラーボ(フエンラルラダ)がストップ。また、前橋育英のDF鈴木陽(3年)も「身体が大きくて、身長があるんで、競り合いとか負けるシーンが多かった」と振り返ったように、マドリード選抜はFWホルヘ・カレェス(モストレス)ら突破力のある選手やスキルの高い選手が複数いた。マドリード選抜は敵陣での奪い返しからゴール前のシーンを作り出したほか、強引に中央突破するシーンも。だが、前橋育英は鈴木が抜け出してきた相手をブロックするなど簡単にはゴールに近づけない。
この日、前橋育英はBチームがプリンスリーグ関東2部で用いていた3バックにAチームもチャレンジ。Bチームで3バックのセンターを務めていた鈴木は、「3人の後ろの連係とボランチとかで潰せるように意識していました」と早速Aチームでも経験を活かして、守りを引き締めていた。
前半終了間際にクロスから決定機を作られたものの、無失点を継続。また、前橋育英は攻撃面でもショートコンビネーションでの崩しに加え、右WB坪井蒼季(2年)、左WB牧野が再三敵陣深い位置に侵入してクロスへ持ち込むなど、多彩な攻撃で2点目のチャンスを作り続けていた。
マドリード選抜は後半、セットプレーなどからゴール前のシーンも作ったが、前橋育英はGK藤原優希(3年)や鈴木、DF久保遥夢(2年)、DF山田佳(3年)の3バックが崩れない。そして、後半15分、前橋育英はMF竹ノ谷優駕(2年)のスルーパスでFW四方田泰我(2年)が右中間を抜け出し、中央へラストパス。これをMF黒沢佑晟(3年)が押し込んで2-0とした。さらに19分、黒沢が左サイドで粘り、最後はクロスを大外のMF白井誠也(2年)が1タッチでゴール。相手の厳しいチェックに怯まず、戦った前橋育英が3-0で快勝した。
ヘスス・オルテガ監督の率いるマドリード選抜は、「大会のグラウンドも凄く良く、参加チーム全体のレベルも高いと思いました」と神栖市の環境や日本の高校生のプレーを評価。一方の前橋育英は秋冬の飛躍へ向けて一つ経験を積んだ。
今年の前橋育英は昨年からのレギュラーの多くを残すなど前評判が高いが、インターハイ予選準決勝でPK戦敗退。山田監督は「今は競争なので、試して。この1か月、2か月はやっていきます」と語る。これに対し、Bチームから昇格組の鈴木は「監督に言われているのはプレミアまで1か月半くらい時間が空くので、この中で競争してチームとしてレベルアップ図っていこうということなので、負けないように頑張っていきたい。僕、身長なくて技術もあんまないんですけれども、コーチングとか気合の部分でもっとアピールしていきたい」と力を込めた。
今大会の目標は、優勝することと成長することだ。この日の午後、鹿島学園にも勝ち、予選リーグ3連勝でグループ1位突破。神栖ワールドユースフットボール最終日(15日)の準決勝、決勝も個人、チームでチャレンジし、勝って大会を終える。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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