流経大柏が求めるカップ戦で勝つ経験。NBCin堺ユースフェス初戦で堅守の名古屋を振り切り、まず1勝

流通経済大柏高のゲーム主将MF柚木創は存在感のある動き。個人、チームとして成長、結果を求める
[7.20 NBCin堺ユースフェス予選リーグ 名古屋高 0-2 流通経済大柏高 J-GREEN堺]

「ニューバランスカップ(NBC) in 堺ユースサッカーフェスティバル(2024)」が20日にJ-GREEN堺で開幕し、今季プレミアリーグEASTで首位争いを演じている流通経済大柏高(千葉)と昨年度選手権8強の名古屋高(愛知)が激突。流経大柏がMF亀田歩夢(3年)の2ゴールによって、2-0で勝利した。

 この夏に求めているのは、カップ戦で勝つ経験。流経大柏の榎本雅大監督は「(フェスティバルのタイトルを)1個でも、2個でも。ゲーム(内容)をほとんど取ってるんですけど、ゲーム取ってるだけじゃダメなんで」。プレミアリーグで上手さと強さを示してきたが、6月のインターハイ千葉県予選決勝で宿敵・市立船橋高に1-2で惜敗。トーナメント戦で勝ち抜く強さを身につけること、タフで大人な集団になることを目指して大阪遠征を行い、ニューバランスカップに参戦している。

 その初戦は、榎本監督が「相手が良かった。守備でちゃんとブロック作ってくれて、最後まで攻撃する姿勢を持ってくる」と評した名古屋との戦い。名古屋の指揮を執った大久保隆一郎ヘッドコーチも、「(全国大会で上位へ進むことを目指す上で)基準がここなんで。それを伝えたいけど、(言葉だけでは)伝えられないじゃないですか。流経とできるなんて良かったです」と歓迎した一戦は、互いに良さの出るゲームとなった。

 流経大柏はCB奈須琉世主将(3年)がJクラブ練習参加中のために不在。GKが丸山ジェフリー(2年)で松本果成(3年)、メンディー・サイモン友(1年)、富樫龍暉(3年)、堀川由幹(3年)の4バック、稲田斗毅(3年)がアンカーに入り、2列目に和田哲平(3年)、昇純希(2年)、ゲーム主将の柚木創(3年)、亀田歩夢(3年)が並び、最前線に粕谷悠(3年)が構えた。

 一方の名古屋はGK定本翼(2年)、DF太田陸斗(3年)、井上款斗(3年)、伊藤瑠晟(3年)、櫻井神威(3年)、ダブルボランチに佐藤琉輝(3年)と寺地広騎(1年)、トップ下が田口想太主将(3年)、両翼に齋藤力(3年)と川瀬陸(3年)、最前線に生田智丈(3年)が入った。太田、佐藤、井上、川瀬、齋藤は初出場で8強入りした選手権の先発経験者だ。

 序盤から流経大柏がボールを支配しながら押し込む展開に。柚木は「自分たちの特長として守備から攻撃にっていうところはあるんで、攻撃して取られた後の奪い返しっていうところは、今日相手よりも凄い上回れたんで、ゲームを握れたかなと思っています」と振り返る。

流経大柏は序盤から左SB堀川由幹らが積極的な仕掛け

 今年の流経大柏にはテクニカルな左サイドと走力の高い右サイドという特長があるが、この日は左の亀田が止まらない存在に。ドリブルで再三大きく前進して見せる。個々のスキルの高さを活かして攻める流経大柏は稲田や堀川、亀田がドリブルからシュート。そして、17分には左の亀田から粕谷へパスが入り、こぼれ球を亀田が右足で左隅へ叩き込んだ。

前半17分、MF亀田歩夢が右足シュートを決めて先制
カップ戦でのタイトル獲得が目標

 名古屋は失点こそしたものの、守りが堅い。しっかり相手の正面に立ってコースを切り、プレスバックも徹底。ともに出足の速さを見せていた井上と伊藤を中心にゴール前で一歩が出て、強度も高かった。

 取り組んでいるというビルドアップは流経大柏の高速プレスに止められていたものの、縦パス一本で生田がチャンスを迎えたほか、田口がスルーパスを狙うシーンや中央でDFと入れ替わるシーンも。22分には、伊藤の好守を起点とした速攻から左SH川瀬が個の力で敵陣PAまでボールを運んで見せる。また、ポテンシャルが高いというGK定本が前半に続き、後半も好セーブを連発するなど、1点差のまま食い下がった。

名古屋はMF川瀬陸が個の力で左サイドを突破
名古屋は2年生GK定本翼の奮闘も光った

 対する流経大柏は、柚木が視野の広さを感じさせるようなパスで変化を加える。「結構、自分は視野は広い方だと思ってるんで、相手が予測しないプレーだったり、今日みたいに引いてきた相手に対して、ちょっと何か違うプレーがないと、今ゴールっていうのは動かないと思ったんで、ちょっと違うところは見ながら差すボールっていうのは意識していました」と説明。前線の構成によって、この日はセカンドストライカーではなく、ゲームメークの役割を担った10番は運動量も増やして攻撃の中心になっていた。

 稲田や昇が相手のポケットへ侵入して折り返し、そこに和田らが飛び込む。また亀田のミドルシュートや松本、堀川の攻め上がり、粕谷の力強い仕掛けでプレッシャーを掛け続けると20分、亀田が追加点。意表を突くボールタッチ、身のこなしで左中間を攻略し、そのまま対角の左足シュートを決めた。

流経大柏は2年生MF昇純希が抜け目のない動きを見せていた
後半20分に流経大柏MF亀田歩夢が左足シュートでこの日2点目。粘る相手を振り切った

 名古屋の堅守をこじ開けた流経大柏は、立ち上がりに隙のあったDF陣も富樫を中心に徐々に安定。メンディーが抜群の高さを見せ、GK丸山も前への強さ、キャッチ力を発揮する。そして、MF飯浜空風(3年)を投入して試合を締めに行く。一方、大久保ヘッドコーチが「(最終学年の)3年生の力は大きいです。レギュラーを決めずに競争しながらやっている。奮起している子も出ている」という名古屋はMF野上遥弥(3年)、FW湯浅聡一朗(3年)、DF山本悠真(3年)、MF大坪煌英(3年)を交代出場で送り出し、最後まで諦めない戦い。速攻、準備していたというセットプレーで1点を取りに行く。敗れたが、プレミアリーグ上位の相手を苦しめ、同時にその基準を学んだ。

名古屋DF陣はゴール前であと一歩が出るなど見事な守り

 流経大柏の榎本監督は勝ち抜くために「(必要なことは)大会通してのオーガナイズだと思っている」。21日、22日は1日2試合の連戦となる中、勝ち抜く経験をすること。「その上で、自分たちのサッカーの磨いて欲しい」(榎本監督)。夏を通して選手たちが大人になることも期待した。

 柚木は「自分たちはここで優勝しなきゃいけない立場」ときっぱり。そして、「この夏はエノさん(榎本監督)もカップ戦なんか多分多く入れてくれて、トーナメントに向けた夏にしたいとは言っていたんで、今回もですし、今後もトーナメントになった時にどう戦っていくかっていうところも固めていくことがこの夏は大事なのかなと思います」と語った。

 また、高卒でのプロ入りを目指すMFは、「個人としてもやっぱ『勝負の夏』だと思ってるんで、ああやって下で作ることも大事だとは思うんですけど、やっぱ点を取りに行くことだったり、アシストだったりっていうところで結果を残さなきゃ名前を売っていけないと思ってるんで、もっとゴールに絡んでいくようなプレーを今後は増やしていければなと思います」。流経大柏は「ニューバランスカップ(NBC) in 堺ユースサッカーフェスティバル(2024)」をはじめ今夏、個人、チームで成長と結果を得る。

(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー

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