[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.22 クラブユース選手権(U-18)GL第1節 広島ユース 2-1 京都U-18 維新みらいふスタジアム]
24時間前、サンフレッチェ広島ユースMF中島洋太朗(3年=広島ジュニアユース)は同世代の仲間とは異なるステージで戦っていた。
21日に行われたJ1第24節の鳥栖戦。出場機会こそなかったが、ベンチから戦況を見守った。試合終了時点では第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)に出場するユースチームに合流するか決まっていなかったが、コンディションを見極めた上でミヒャエル・スキッベ監督がユースの野田知監督に連絡。土壇場で参戦が決まり、22日午前中に先輩たちが広島に戻るなか、一人だけ山口で新幹線を降り、チームメイトの下へ向かった。
「来てくれるんだったらスタメンで使うことは決めていた」(野田監督)。チームに合流してから約6時間。指揮官が絶大な信頼を寄せる10番は試合開始から圧倒的な存在感を示し、攻守で格の違いを見せつける。
3-4-2-1の布陣でボランチの位置を任されると、今季初先発となったMF野口蓮斗(1年)を助けながらゲームをコントロール。縦に速い展開のなかでも攻撃のスイッチを入れるパスを通し、守備面では予測とポジショニングを駆使してこぼれ球を回収していく。
「暑さもあったし、僕は移動もあったけど、試合に出る以上はチームの勝利に貢献しないといけない。今日の試合に関して、相手はロングボールを狙っていて、前に強い選手もいたのでボランチの上下動が大事になる。セカンドボールの回収はめちゃくちゃ意識していた」
運動量は後半に入っても落ちず、高い位置に顔を出しても攻守の切り替えはサボらない。猛ダッシュで帰陣してスペースを埋めるなど、献身的なプレーでチームに貢献した。守備だけではなく、得意の攻撃面でも“らしさ”を発揮。後半12分には鮮やかなスルーパスでチャンスメイク。アタッキングゾーンで受けると、中に入っていくと見せかけて、ノールックでFW井上愛簾(3年)にボールをつないだ。惜しくもゴールとはいかなかったが、視野の広さとアイデアが詰まった中島らしいプレーだった。
今季はトップチームに帯同しつつ、状況に応じてユースの試合に参戦する日々が続く。コンディション調整は簡単ではないが、ザルツブルクに移籍したMF川村拓夢やMF松本泰志といった先輩たちと日頃から接しているだけで大きな学びがあるという。
「攻撃面では自信を持ってやれていて、自分の特徴を出していける。試合に出ている先輩たちからインテンシティを連続して出す部分を学んだ。トップチームで試合に出ている人たちはそこに長けている。そういう選手と普段から練習できる点は大きいし、吸収しないといけない。自分の課題としている守備を長所にしている先輩が多いので、良い環境に身を置けていると思う」
現状で今大会はグループリーグ終了までの参戦が決まっている。以降はトップチームとの兼ね合いになるが、まずは目の前の試合に全力を尽くすのみ。20年ぶりの大会制覇に向け、やるべきことは変わらない。トップチームで吸収したことをチームに還元し、勝利に貢献するだけだ。
(取材・文 松尾祐希)
●第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)特集
Source: 大学高校サッカー
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