桐光学園が2戦連続のPK戦勝利で8強入り。作陽学園は3戦連続無失点も涙

桐光学園高がPK戦を制し、準々決勝進出
[7.30 総体3回戦 作陽学園高 0-0(PK3-5)桐光学園高 JヴィレッジP7]

 桐光学園がしぶとく勝ち上がり、8強に駒を進めた。令和6年度全国高校総体(インターハイ)「ありがとうを強さに変えて 北部九州総体 2024」サッカー競技は30日に3回戦を行い、桐光学園高(神奈川1)は、PK戦5-4で作陽学園高(岡山)を下して準々決勝進出を決めた。

 70分間の戦いは、互角だった。前半に優位だったのは、桐光学園だ。10分が経過するまでにボール保持により主導権を掌握。3トップにボールを入れて敵陣に押し込み、セットプレーの機会を多く得ると、MF増田遥希(3年)のロングスロー連投などで相手ゴールに迫った。

 作陽学園もFW大西卓磨(3年)を起点に押し返し、ミドルシュートなどで反撃したが、桐光学園は前半34分に増田のロングスローからDF岸本椿右(3年)が惜しいヘディングシュートを狙ったり、前半35+2分にDF杉野太一(3年)のクロスからMF吉田晃大(3年)のヘディングシュートがクロスバーに当たったりと、より際どいチャンスを作っていた。

 しかし、後半は、作陽学園のペースとなった。左MFに快足ドリブラーで2試合連続得点中の吉田央(3年)を投入。吉田の高速アタックで相手を下がらせ、空いたスペースを使ってポゼッションを展開。後半12分には、中盤に球際の強さが光るMF飯田龍之進(3年)を投入して、圧力を増した。

 後半18分、中盤から相手背後へ抜けたボールを飯田が右足アウトサイドのワンタッチシュートで狙うなど、優位に試合を進めた。ただ、酒井貴政監督が「(後半勝負の)ゲームプラン通りだったが、決め切れなかった。シュート数ももっと増やし勝ったが、粘り強く守られてしまった」と話したとおり、ゴールが遠かった。

 桐光学園は、主将の杉野を中心にゴールを割らせなかった。逆に3バックから4バックに変化し、逆襲を狙った。ところが、後半のクーリングブレイク明けに選手交代でギアを上げようとした矢先、FW丸茂晴翔(3年)が負傷で交代。パワーダウンを強いられ、こちらも得点を挙げることはできず、拮抗した試合は、0-0のままタイムアップを迎えた。

 PK戦は、ともにキッカーが成功させていく中、作陽学園は、攻撃面で際立っていた吉田が4番手で失敗。シュートがゴール右に外れた。先攻の桐光学園は、主将の杉野が5番手でシュートを成功させ、PK戦5-3で決着がついた。

 敗れた作陽学園は、1回戦、2回戦も無失点。主将を務めるDF松本歩希(3年)が「PK戦でも負けは負け。試合中に決め切る力が足りなかった。サイドからのクロスが僕たちの一つの形なのに、そこからの得点がなかった」と悔しがったように、結果は力不足と捉えて次に進むしかない。

 それでも、全国大会を3戦無失点で終えた手応えも得た。4年間、遠ざかっていた全国で勝負ができる自信と、FW久城壮司(3年)が「自分たちがボールを持つ時間が長い中、最後のシュートをもっと練習しないといけないと思った。最後の大事な場面で一歩が出なかったり、攻撃の形が定まっていなかったりした」と話したフィニッシュ場面の多彩さと力強さという課題を持ち帰った。

 勝った桐光学園は、翌31日の準々決勝で昌平高(埼玉)と対戦する。10番を背負うMF吉田は「守備が堅く(失点)ゼロで抑えた中、攻撃陣の得点力が足りなかったし、自分がもっと活躍しなければいけなかった。明日は、自分たちのサッカーを体現したい。自分も点に絡んで、少しでもチームに貢献したい」と意気込みを語った。

 桐光学園は、初戦となった2回戦で帝京大可児高(岐阜)にPK戦で勝っており、2試合連続のPK戦勝利となった。FW丸茂の負傷の影響が気がかりだが、鈴木勝大監督は「ケガは残念だけど、チームを作るのは、僕の責任。明日もしっかりと戦いたい」と総力戦で臨む気構えを示した。次戦は、最高峰プレミアリーグに所属する昌平が相手となるが、70分の戦いでの勝利を目指す。

(取材・文 平野貴也)


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Source: 大学高校サッカー

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