青森山田にPK戦で敗れるも、“赤い壁”、攻撃面の成長も「伝わったかなと思います」。矢板中央はまた切り替え、ピッチ外から成長して秋冬の戦いへ

矢板中央高のDF佐藤快風主将は敗戦後、チームメートら応援してくれた人々に感謝
[7.30 総体3回戦 青森山田高 0-0(PK5-4)矢板中央高 JヴィレッジP2]

 伝統の“赤い壁”も、「新たな挑戦」(高橋健二監督)で強化していることも表現した。矢板中央高(栃木)は3年連続のベスト8進出を懸けて青森山田高(青森)に挑戦。鉄壁の守りで青森山田をシュート3本、無得点に封じ、相手を上回るシュート5本を放った。だが、0-0で突入したPK戦の末に4-5で敗戦。3回戦敗退となった。

 矢板中央はプリンスリーグ関東1部で高体連勢トップの3位。それでも、青森山田などプレミアリーグのチームに「勝たないと日本一は目指せない」(DF佐藤快風主将、3年)と理解し、セットプレー、空中戦、全てに置いてプレミアリーグ勢の基準を意識して大会に臨んでいたという。
 
 この日は相手のセットプレー、速攻によってゴール前のシーンを作られた。だが、MF田中晴喜(3年)らが高さで対抗。本来、アタッカーのMF外山瑛人(3年)もアンカーの位置で「『自分が守備やってやろう』っていう気持ちで。3バックだけじゃ対応できないということで、縦の動きはやっぱり意識しています」とプレスバックを徹底していた。

攻撃的なMF外山瑛人(7番)も守備で奮闘。矢板中央の“赤い壁”が相手の前に立ちはだかった

 そして、佐藤、DF岡部秀裕(3年)が連続でシュートブロックするなど赤いユニフォームがゴール前で“赤い壁に”。U-17日本高校選抜候補のGK藤間広希(3年)もハイボールで強さを発揮するなど決定打を打たせなかった。

矢板中央の“闘将”DF佐藤快風
GK藤間広希がハイボールをキャッチ

 伝統の堅守は健在。佐藤は「やっぱり矢板中央は、1点はもう絶対許されないんで、そこはもう身体張っても、(接触プレーで)血が出ても、何が何でもやるしかないっていうのは、そこはもう“何くそ根性”で自分たちもやってるんで、対山田とかそういうのじゃなくて、もう日本一取るために何するかっていうのは、行動が態度に出たなって思います」と頷いた。

 また、矢板中央は攻撃面でもDF小倉煌平(3年)がボールを運ぶ力を見せていたほか、FW渡部嶺斗(3年)のキープ力などを活かして攻め返す。そして、前半途中に投入されたFW堀内凰希(3年)が高速ドリブルでチャンスメーク。後半8分には、堀内を起点とした速攻から外山がスルーパスを通し、FW山下魁心(3年)が左足シュートを打ち込んだ。直後にはサインプレーの右CKの流れから堀内が決定機を迎え、その後も堀内が2本のドリブルシュート。回数は限られたものの、壁を超えるために取り組んできた攻撃面の特長を青森山田相手に発揮した。

DF小倉煌平は攻撃力も発揮
FW堀内凰希は高速ドリブルなどからシュート3本を放った

 佐藤は「やっぱ空中だけじゃなくて、地面についてしっかりパスを繋げる、ドリブルができる、1対1でかわせる、1対1で勝てる、そういう選手がどんどん増えていってるっていうのが、今のチームの現状。そこで山田相手に対して戦えたっていうのは、自分たちの一番の成果、成長かなっていうのは、見ていた人にも伝わったかなと思います」と前向きだった。

 冬へ向けて、佐藤は青森山田のピッチ外の姿勢を見習い、「当たり前のことを当たり前に」できるチームにする考えだ。「矢板中央としてさらに進化するためには、このままじゃ日本一取れないんで、(PK戦負けで下を向くのではなく)もう切り替えて前向くしかない。自分がもう切り替えて、もう全員に言い聞かせるしかないんで。そこはもうやるしかないです」と力を込めた。

 その青森山田を倒すことも目標になる。矢板中央は2018年度の選手権準々決勝で青森山田に1-2で惜敗。2020年度の選手権準決勝でも0-5で敗れている。今回、背中を捉えたが、PK戦で惜敗。高橋監督は「だいぶ見えてきたんで。今年PKだけど、もう一回、冬に挑戦したいなと思います」と語った。

 また、外山は「選手権に向けてもう一回、自分たち一人ひとり改め直して、チーム一丸になってやっていきたいと思います」。秋冬の目標はプレミアリーグ昇格、そして、選手権で青森山田に勝って日本一になること。この日の敗戦から切り替え、ピッチ内外でどこよりも成長して目標を達成する。

選手権で青森山田にリベンジする

(取材・文 吉田太郎)


●全国高校総体2024特集
Source: 大学高校サッカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました