パリオリンピックで準々決勝敗退を喫した日本女子代表(なでしこジャパン)のMF長谷川唯(マンチェスター・シティウィメン)が20日夜、日本での休暇を終えて羽田空港から出国した。オフの間は実家でしっかり休養を取り、「帰った初日はいつも豚汁を作ってもらっています」と日本食を堪能したことを明かした。
グループリーグを2勝1敗の2位で突破した日本だったが、準々決勝で敗戦。日本を打ち破ったアメリカが金メダルを手にした。約2週間が経っても悔しさは残る。長谷川は「そのとき感じた感情は変わっていない。やっぱりまだまだ足りなかった。自分でも自分のパフォーマンスに納得できなかった大会だった」と振り返った。
強国相手に対策を立てて戦いに臨んだ。手応えも感じることはできたが、長谷川は自身の見解を述べる。「自分たちがやりたいサッカーができたかと言われたら、やっぱりまだまだできなかった」と力を込めた。
「こういう戦い方をしようと入った試合が多かった。見ている人たちからしたら面白くなかった部分もあったと思う。それでも勝つために戦ったやり方だったので後悔はない。だけど、もっと自分たちのサッカーで勝ちにいけるようなチーム作りをしなければならない」
グループリーグ第3節・ナイジェリア戦(○3-1)を除き、相手にボールを保持された試合が続いた。第1節・スペイン戦(●1-2)で日本の保持率は31%、第2節・ブラジル戦(○2-1)では43%、準々決勝・アメリカ戦(●)では29%。保持率で上回られた3か国はベスト4に食い込んだ。長谷川は「対戦相手によって柔軟に戦えることも大事」と強調しつつ、ボール保持率の向上を挙げる。「やっぱり自分たちがもっとポゼッションをしたり、ボールを持つ展開を長くしないといけない。ビルドアップをもっと突き詰めてやっていかないといけないと個人的には思っている」と語った。
「世界相手だと、特にスペイン相手に保持率をあれよりも上回れるかというのは確信を持って言えることではない。だけど、やっぱりボールを持っているほうがチャンスを作れる回数が多い分、得点につながるチャンスも多い。自分はそういう考えなので、支配率も大事にしている。だけど勝負の世界はそれで決まるわけではないので、試合によってそういう速攻もできるチームというのは大事」
アメリカ戦では0-0のまま延長戦に突入した。だが、日本は120分間で12本のシュートを放ったうち、ゴール枠内へのシュートは1本のみ。決定機自体をほとんど作れなかった。「いつもの世界大会だと決め切れれば勝てた試合が多かったなかで、今回はそれよりもどうやってチャンスを作るかという、ゴールの確率が高いチャンスを作るためにどうしたらいいかというのはすごく課題だと思った。急ぎすぎてクロスやシュートを狙うのが早いシーンだったり、確率の低いプレーを選んでしまうことがチームとしても多く、個人的にも反省」(長谷川)。浮き彫りになった課題を冷静に見出していた。
新シーズンからシティには長谷川だけでなく、DF清水梨紗、MF藤野あおば、GK山下杏也加が加わった。長谷川は3人のフィットに「本当に不安はない。生活面も含めてサポートできたら」と笑顔。そのうえで自らの成長に集中しており、「3年目はもっとインパクトのある活躍だったり、評価を高めていきたい」と気合いをのぞかせた。
3年後の女子ワールドカップ、さらに翌年のロサンゼルス五輪にも目を向ける。「ひとつオリンピックが終わった段階でチームは新たに変わる。まずはそこに自分が選ばれるように、自チームでどれだけいいパフォーマンスができるか。まずはそこにフォーカスしてやりたい」。再び日の丸を着けて、チーム全体でレベルアップを目指す。「自分自分はやっぱりポゼッションをして、ビルドアップをしっかりしてゴールを狙うチームにしていきたいという考えを持っている。自分が代表チームに入ったら、しっかりそういうのをいろんな選手に伝えられたらいい」とさらなる成長を誓った。
(取材・文 石川祐介)
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Source: サッカー日本代表
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