日本サッカー協会(JFA)審判委員会は11日、都内でメディア向けレフェリーブリーフィングを開催した。鹿島アントラーズが東京ヴェルディ戦で獲得したPKについて、佐藤隆治JFA審判マネジャーは「ノーカードはありえない」と適切な懲戒罰が下されなかったことを認めた。
8月25日に行われたこの試合の後半41分、相手GKが飛び出している状況でMF藤井智也がシュートを打つと、ゴール前のDF綱島悠斗にブロックされた。主審は当初ノーファウルと判断したが、VARの介入でオン・フィールドレビュー(OFR)を行った結果、ボールは右腕に当たっていたとしてPKに変更。ただ綱島にカードは提示されなかった。鹿島はこのPKを決めて1-2と1点差に迫ったが、そのまま追いつけずにタイムアップを迎えた。
佐藤氏はこの事象について「GKが飛び出していて、ディフェンスが(斜め後方に)1枚いるけれど当然手は使えないので、ほぼエンプティゴール(無人の状態)の考え方」と説明し、得点の阻止と判断すべきだったと説明した。
その上でカードの色を巡っては、偶発的なハンドによるPKの場合に一段階下げるという今夏の競技規則改正点がポイントになる。つまり今回の事象は意図的と判断すればレッドカード、偶発的と判断すれば一段階下がってイエローカードとなる。
ファンの間でも議論を巻き起こしたが、佐藤氏はボールに向けて腕を広げる動きがあったことから「基本的には赤」との見解。ただFWルイス・スアレスが南アフリカW杯で退場となった場面を例に挙げて、綱島の動きはゴールから掻き出すようなものではないことから、ルール変更の背景を踏まえて「偶発的」で警告と判断することも理解できるという。
警告か退場かはグレーの事象だったが、実際の試合ではイエローカードさえ出ていない。佐藤氏によれば主審はボールの軌道を見て「ゴールには入らない。(枠から)逸れる」と考え、得点の阻止には該当せずノーカードと判断していた。これについて佐藤氏は「明らかにゴール方向にシュートを打っている」として誤りだと結論づけ、少なくともイエローカードの必要性を示すとともにVAR担当審判員に対してもOFR中のコミュニケーションに課題があったと振り返った。
鹿島に関してはそのほか、7月14日の横浜F・マリノス戦でMF名古新太郎がDFエドゥアルドとの接触で倒れたシーンについて、本来はPKを貰うべきだったことも説明された。VARは最終的にDFがボールをキープしたことなどからノーファウル判定をフォローしたというが、「後方からのチャレンジであることと、明らかに接触されたことで(名古が)倒れ、そのことでマリノスの5番(エドゥアルド)はボールを保持できた」としてVARの介入が必要だったと示された。
(取材・文 加藤直岐)
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