日本代表の大切な腕章を託されたのは自然な流れだったのだろう。国際経験の少ない選手が多数呼ばれた今回のアジア大会。その中にあってU-16年代から数多くの国際試合を経験してきたDF馬場晴也(札幌)の経験値は特別なものがある。大岩剛監督は後ろの選手に主将を任せる傾向があることを考えても、納得の選択だった。
「16くらいの時から結構な数の国際試合をやってきたので、大岩さんもそこを評価して任せてくれたんだと思う。今回キャプテンをやらせてもらっているので、そういう(国際試合ならではの)意識付けの部分でもチームを助けられるようになりたい」
チームをまとめて戦い、そして勝つこと。「当然、あと4試合やるつもりでいる」と言う馬場の今大会に関する考え方は明確だ。そしてもちろん、個人としても高いパフォーマンスを示すという決意がある。
「パリに向けてアピールするという気持ちも当然あるけれど、そこはうまく整理してやれている」
移籍した札幌では「ちょっと特殊なやり方」(馬場)というチーム戦術だけでなく、代表チームとは振られるタスクやポジションも違っている。久々に4バックのCBとしてプレーする中で「最初の試合は少し戸惑いも出てしまった」と言うが、「2試合こなしたので、もう感覚は戻った」と手応えも得ている。
その上で、こう語る。
「このチームは、もっと良いチームになれると思っている」
チーム集合当初、「初めて話す選手が半分くらいいて、名前も知らない選手もいた」と笑って話すように、馬場にとっても相手にとっても未知の存在というのが多数いる状態からのスタートである。急造チームであることは否めなかったが、だからこそ大事になる部分を馬場は経験として知っている。
「みんなで集まってゲームをしたり、いろいろな人に話し掛けて交流を深めていくこととか、昔から代表でやっていて『凄く大事な部分』と思っていた。ピッチ内でも互いに要求し合うことが大事になるし、みんなが聴く耳も持っている。凄く良い雰囲気でやれるようになったと思う」
もちろん連係面ではまだまだお互いを理解し合えていない部分も残るし、本当に勝負の懸かった場面で問われる団結力やチームとしての対応力など、未知数の部分はある。ただ、馬場が感じているのはむしろ伸びしろだ。
「(大会を戦いながら)もっと良いチームになっていくと思うし、優勝できるチームになると思っている」
1試合ずつ積み上げて勝てるチームになって最も良い色のメダルを勝ち取る。“馬場主将”の目標は、実に明瞭だった。
(取材・文 川端暁彦)
●第19回アジア大会特集ページ
Source: サッカー日本代表
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