完全アウェーとなったサウジアラビア戦はメンバー外で見守った。日本代表として初めてワールドカップ出場を懸けた戦いを目の当たりにしたMF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)は「6万人のアウェーサポーターのなかで試合をしていた選手たちが本当にうらやましかった。自分もピッチに立ちたかったという思いが正直なところ。だけど、まずは自分と向き合って、しっかりとレベルアップすることを考えながら次もいい準備ができたら」と振り返った。
2022年夏のE-1選手権以来となる2度目の日本代表に帯同する藤田。一週間を経てそのレベルの高さに「楽しい日々」と表現しながらも、メンバー外となったサウジアラビア戦には当然悔しさもあったようだ。特に、自身と同じポジションであるMF守田英正やMF遠藤航の名前が挙がると「本当にレベルが高い2人だった」と率直な感想を語った。
「でも、自分も早くそこで戦わないといけないという思いが強い。越えないといけない壁ではある。しっかりと足元を見ながらがんばりたい」。そう語る藤田は、2度目の日本代表入りについて「正直遅いと思う部分が多い。焦ってはいるけど、いま自分にできることに着目しながらやれたら」と本音を垣間見せた。
E-1選手権後にA代表に定着はできなかった。しかし世代別代表最後の活動であるU-23日本代表でキャプテンとして、藤田はチームをパリオリンピックに導いた。今夏フランスでの激闘を終えたなかで、9月シリーズは招集の声がかからなかったが、今回はしっかりとメンバー入り。順調なステップアップにも見えるが、藤田はU-23日本代表の恩師・大岩剛監督の言葉を借り、“遅いと思う”理由を明かした。
「剛さんが言っていたが、オリンピックの前にA代表を経由してオリンピックというところで言えば、自分はそういったこと(定着)はできなかった。自チームの話でも早く5大リーグでプレーしたいという気持ちもある。そういった部分でもまだ叶っていない部分もあるので、まだ自分の思い描いている通りには行っていないと思う」
サウジアラビア戦後には名波浩コーチから声をかけられたという。「ここに参加してからも何回か話をさせてもらっている。ここにしっかりしがみつけと言ってもらった」。まずは日本代表で自身の実力を認めさせながら、定着と台頭を目指していく。
(取材・文 石川祐介)
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Source: サッカー日本代表
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