[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.19 関西学生L後期第7節 関西学院大1-2大阪経済大 万博記念競技場]
上位争いに踏みとどまる勝ち点3になった。前期を6位で折り返していた大阪経済大だが、後期に入って1勝2分2敗。5連敗とこちらも本調子でない関西学院大との一戦は、インカレ出場権争いの点でも生き残りをかけた戦いになっていた。
そんな試合でエースが前半から魅せた。前半16分、FW村上陽斗(4年=東海大仰星高)が詰めたボレーは枠に跳ね返されたが、こぼれ球をFW下崎琉宝(2年=興国高)が詰めて先制。同27分にはエリア内をパスワークで崩すと、DF森厚達(3年=徳島ユース)のラストパスを村上が蹴り込んで点差を広げた。
「難しい試合になりましたけど、最後は気持ちをみせて全員で戦って勝つことができたと思います。個人としても入りのところでシュートをGKに止められたので、点を取りたいという気持ちが強かった。後半に1点を返されたし、あまりいい内容ではなかったかもしれないけど、勝ち切れてよかったです」
大学最後の後期リーグは、プロ内定選手となって臨んでいる。村上は9月17日に来季のいわきFCへの入団内定を発表。大経大出身のOBでは現在、ジュビロ磐田に所属するDF川崎一輝がいるが、J2以上のクラブでプロキャリアをスタートさせる選手は村上が初めてになる。
プロ選手になることを目指して進学してきた大学では、1年生のころからトップチームで出場を続けてきた。チームは2部降格など難しい時期を過ごしたが、1年次は関西1部で8得点、2年次は関西2部で13得点、3年次は再び1部で9得点とコンスタントに結果を残してきた。
「1年生で入ったときは1部で全く勝てないチームで、ほんまにプロに行けるんかなみたいに思ってたんですけど、自分を信じてコツコツ努力した結果で、プロに行けることになったんじゃないかと思います」。練習から意識を常に高く。2学年上の先輩で、FC岐阜に進んだFW上野輝人が人一倍練習する姿に将来の自分を重ねて努力してきたという。
ただプロで活躍するという次の段階に進むためには、まだまだ実力が足りないとも考えている。特にJ2で得点ランキングを争うFW谷村海那には、練習参加で多くの気づきをもたらされた様子。「ストライカーというか、ハードワークも惜しまないですし、ワンタッチで決めれるところにちゃんと入ってくる。得点感覚の嗅覚のすごさにびっくりさせられました」。またMF西川潤ら同世代の選手にも刺激を貰っているようだ。
大学で結果を残してからプロに進む。個人としては現在7点の得点数を二桁に乗せることを最低限とする。そしてチームとしては総理大臣杯優勝の阪南大を含む上位6チームが出場する大学選手権(インカレ)への出場。大経大が出場となれば、1979年大会以来、実に45年ぶりになる。
大経大は22年より、藤枝や八戸で監督経験を持つ大石篤人氏を指導者として招聘。23年からは監督としてチームの強化にあたっている。村上も「基準がだいぶ上がった」と話すように、走り勝つアグレッシブなサッカーがチーム内に浸透し始めている。チームは現在、6位と勝ち点差1の7位。主将でもある村上は「うちのチームはインカレインカレと考えすぎるとよくないチーム」と一戦一戦を強調するが、古豪復活の機運は高まっている。
(取材・文 児玉幸洋)
●第102回関西学生リーグ特集
Source: 大学高校サッカー
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