「凄い感慨深かった」“代表復帰”の帝京CB田所莉旺が存在感。プロになるためにも、選手権での活躍を誓う

帝京高のU-18日本代表CB田所莉旺(3年=川崎F U-18出身)は攻守に存在感のある動き
[10.26 選手権東京都Aブロック予選準々決勝 帝京高 4-2 東海大高輪台高 NICHIBUN SAKURA FIELD]

 約2年半ぶりの年代別日本代表復帰。所属チームをJリーグクラブユースから高体連の名門へ変え、積み重ねてきたことが一つ実を結んだ。帝京高の187cmCB田所莉旺(3年=川崎F U-18出身)は、10月にU-18日本代表のスペイン遠征メンバーに選出。その注目DFが、選手権東京都Aブロック予選準々決勝で存在感のあるプレーを見せた。

 自身が「成長を感じている」という相手ボールにアタックする部分で違いを表現。また、東海大高輪台高の巧みな連係で崩されかけながら、田所は瞬時にやや前方にいた相手選手と身体を入れ替えてマイボールにするシーンがあった。

 加えて、幅広いカバーリングで相手の裏抜けを阻止した。一方で、より周囲にアンテナを張って「もっと自分中心に声かけなきゃいけないなっていうシーンも多い」と反省。2失点したことに加え、DFラインが不意に背後を取られるようなシーンもあっただけに改善することを誓っていた。

 得意の攻撃面では会場を沸かせていた。対角の左サイドハーフへのサイドチェンジや前線へのロングボールで局面を一変させたほか、セットプレーで高さを発揮するなど攻撃力を発揮。U-18日本代表でも攻撃面でやれることを確認できたが、「守備の能力は自分としても全然足りないと思っている」という。

 U-18日本代表では船越優蔵監督から「もっと絶対的にゴールを守れるっていうか、そういう選手になって欲しいっていうようなことは言われました」。1歳年下のCB大川佑梧(鹿島ユース)の駆け引きの上手さなど多くを見習い、「自分がもっとやらなきゃいけないな」と実感。自分の課題を再確認できたことを前向きに捉え、代表チームに「戻れた」ことを今後へのエネルギーにしていた。

 田所は川崎Fの育成組織出身で2021年U-15日本代表候補、2022年U-16日本代表と2023年U-17ワールドカップを目指していた世代の“代表常連組”。壁に当たった時期があり、「違う環境になった時に、自分に何ができるのかという思いも強くあった」と2023年シーズン開幕直前に名門校の帝京へ活動の場を移した。だが、昨年は夏冬ともに全国大会出場を逃す結果に。代表チームからも遠ざかったが、最終学年となり、プリンスリーグ関東1部などでスケール感の大きなプレーを見せてU-18日本代表選出を果たした。

 スペイン遠征では川崎F育成組織時代のチームメートであるDF柴田翔太郎(川崎F U-18、3年)らと再会。「自分が久しぶりに選ばれて、やっぱ知った顔を見た時に、やっとなんかこう、長い時間かけてやってきたものが1つ形として現れたなっていうところで、自分の中でほんと、凄い感慨深かった」という。同時にU-17ワールドカップなどを経験し、U-18プレミアリーグを日常とする選手たちとの強度の差も実感。途中離脱して帰国した後はピッチ内外での意識から変え、代表選手としての振る舞い、プレーも自覚して日々を過ごしている。

 U-18日本代表合流直前には、オランダ1部リーグクラブのU-20チームへ練習参加。パススピードの速さや身体能力の高さを体感した一方、自身の攻撃面の特長を表現することもできたという。言葉の面でも苦労したというが、「やれる」手応えも感じた2週間。この練習参加は「(ピッチ内外で)次の自分のできる枠みたいなのをこう大きくする機会だったと思います」と代表活動同様に貴重な経験となったようだ。田所の将来の目標はA代表で川崎F時代の“先輩”DF高井幸大(川崎F)やDF板倉滉(ボルシアMG)を超えること。Jリーグクラブからも関心を寄せられる中、田所は選手権での結果と高卒でのプロ入り、自身がより大きく成長できる場を掴むことを目指している。

 その田所は、選手権出場を果たし、U-18日本代表のチームメートたちと対戦することを熱望。「あのタイミングで(U-18日本代表に)呼んでもらえたことは、ほんとに自分としては大きいなって思っていて。大谷湊斗(昌平高)とか、嶋本悠大(大津高)とか、(神村学園高の名和田)我空とかもそうですけど、高体連の選手もいたので、やっぱ選手権で対戦したいなっていうところがあります。自分がプロになるために海外に行ったこともそうですけど、やっぱ選手権で活躍することがより近道になると思うので。あと2つ。ほんとにチーム全員で取りたいなと思います」。今冬、チームのため、自身の将来のためにも勝ち続け、可能性を広げる。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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