[11.2 ルヴァン杯決勝 名古屋3-3(PK5-4)新潟 国立]
歴史に残る激闘、少なくとも今年のベストバウト候補に挙げられる試合になった。ただアルビレックス新潟にとって悲願の初優勝にはあと一歩届かなかった。「チームポッシブルという言葉を使って我々は可能なチームなんだと言い聞かせてきた。その境界線を越えないといけないという中で、右足は越えたかもしれないけど、左足が越えられなかった」。松橋力蔵監督は独特の言い回しで悔しさを噛み締めた。
近くて遠いとはまさにこのことか。経験の少なさからかミスが目立った前半に2点のビハインドを背負った新潟だったが、後半26分にMF谷口海斗のヘッドで1点を返すと、後半アディショナルタイムにFW小見洋太が劇的なPK弾を決めて延長戦に持ち込む。
延長に入っても先行したのは名古屋だったが、延長後半6分にロングカウンターから小見が決め切って再び同点に追いつく。PK戦にもつれた死闘は、大げさでなく見るものすべてに感動を与えた。真っ先に悔しさを語った主将DF堀米悠斗も「なんとなくですけど、やり切った感がある。今日のゲームに後悔は全くない。本当にいいゲームだったなと思います」としみじみと話した。
試合前から新潟サポーターの大移動が話題になっていた。観戦チケットは当然前売り段階で完売。新潟からの新幹線は臨時便が出されたが、試合当日朝の新幹線チケットは早々に売り切れとなった。名古屋サポーターも大挙していたが、初のタイトルマッチに燃えるオレンジ色の熱気は、試合前から独特の空気感を作り出していた。
PK戦で失敗したFW長倉幹樹について、堀米は「この大会に関しては間違いなく彼がここまでチームを連れてきた。今はどんな声をかけても、悔しさはすぐには消えないと思うけど、自分たちは幹樹に対して感謝の想いしかない。また週明けの練習から幹樹がいい顔をして、元気が入ってこられるように、いい雰囲気を作りたい。もっともっと大きな選手になってほしい」とかばうと、サポーターについても「やっぱりアルビレックスはサポーターがいてこそのチーム。今日は本当に素晴らしい応援を、彼らも120分プラスPKまで本当にやり切ってくれた」と感謝を示していた。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 国内リーグ
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