[11.17 高校選手権山口県予選決勝 高川学園高 4-2 小野田工高 維新みらいふスタジアム]
第103回全国高校サッカー選手権山口県予選決勝が11月17日に行われ、高川学園高と小野田工高が対戦。高川学園が4-2で勝ち、6年連続30回目の出場を決めた。
キックオフ10分前、11時55分の公式計測の気温が25・6度という季節外れの暑さの中で始まった一戦は、開始直後から大きく動く。開始わずか15秒でCKを得るなど意欲的なスタートを切った小野田工に対し、高川学園も3分(40分ハーフ)にCKを得ると、MF中津海蓮恩(3年)のキックを中央に飛び込んだDF柿本陽佑(3年)がヘッドで合わせ、いきなり均衡を破った。
だが小野田工も15分、左サイドを突破したMF川本時生(2年)が、DF出廣旺雅(3年)とのパス交換からセンタリング。ファーサイドから飛び込んで右足で合わせようとしたFW村上秀人(3年)が、高川学園の選手のクリアをブロックする形になり、こぼれ球がゴール前に落ちると、MF中野遥翔(3年)が左足で蹴り込んで同点ゴールを奪った。
優勝候補の高川学園が追いつかれる展開に会場は大きくどよめいたが、そのわずか67秒後だった。再開のキックオフから攻め込んだ高川学園は、ゴール前でパスを受けたFW田坂大知(3年)が最終ラインの背後にスルーパス。タイミング良く抜け出したFW大森風牙(2年)が右足で流し込み、すぐさま勝ち越しに成功する。
高川学園は24分にも田坂が最終ラインの背後に抜け出すと、飛び出してきた小野田工GK井町直裕(3年)をドリブルでかわし、角度のないところから右足で狙ったものの、右ポストに当たって決まらず。28分には大森が右サイドから抜け出し、井町に寄せられながらもドリブルで突破したが、崩れた体勢を整えてから放ったシュートは、懸命に戻った小野田工DF竹本大空(3年)にブロックされた。
その後も決定機を作りながら3点目を奪えずに前半を終えた高川学園だが、後半も押し気味に進めると、9分に追加点。左サイドを攻め上がった柿本が、先にボールに追いついた相手から奪い取ってセンタリング、中央でフリーとなっていた大森が左足ボレーで決めてリードを2点に広げた。
高川学園は攻勢を強めるが、小野田工は劣勢を強いられながらも踏ん張って反撃の機会をうかがう。35分にはエリア外左サイドでパスを受けたFW河口愛翔(3年)が、約25メートルの距離から右足でGKの頭上を破るミドルシュートを決め、1点差に詰め寄る。
その後も足を止めずゴールを目指した小野田工だが、高川学園は冷静に対処して決定機を作らせない。4分と表示された後半アディショナルタイムの40+4分には、MF宮城太郎(2年)が右サイドのスペースに送ったパスを中津海が折り返し、中央でフリーとなっていた大森が難なく蹴り込んでハットトリック達成の4点目。これで勝負は決まり、再開のキックオフから間もなくして試合終了となった。
2016年度以来8年ぶりに決勝まで勝ち上がり、1981年度以来43年ぶり4回目の選手権出場、2000年度のインターハイ(全国高校総体)以来となる全国大会出場を目指した小野田工は、懸命に食い下がったが敗戦。最終ラインが徹底して高い位置を保ち、背後のスペースをGK井町がカバーする戦いで真っ向勝負を挑んだが、わずかに及ばなかった。
インターハイ予選は初戦の2回戦で宇部鴻城高に屈したものの、今回の予選3回戦で雪辱を果たし、勢いに乗って勝ち上がった。今年度から指揮を執る武田英明監督は「第一に走ることがベースで、プラスしてテクニック・良さを、どこまで引き出せるか。自分たちの力を伸ばせるチャンスをもらって、ここまで来た」と振り返り、「3年生の姿で足りないもの、足りたもの、両方を見せてもらったと思う。それを糧に、またチャンスをつかんでほしい」と下級生に期待を寄せた。
高川学園は早い時間に先制しながらも追いつかれ、嫌な流れになりかけたが、終わってみれば覇権は譲らず、節目となる30回目の出場。江本孝監督は「先制後にうまく試合を運べなかったのは課題」と指摘しながらも、「勝負事なので失点することはある。最初の失点後に、すぐ勝ち越し点を取れたのは、この1年間の成長だと思う」と語った。
5年ぶりにプリンスリーグ中国に復帰した今年度は、より高いレベルの戦いでチーム力を高めてきたものの、全国に向けては「守備力をしっかり鍛えていきたい」と江本監督。キャプテンのDF沖野眞之介(3年)も「スキをなくし、チームの強みである守備を強化したい」と語り、さらなるレベルアップを期していた。
(取材・文 石倉利英)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー
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