[11.17 選手権鹿児島県予選決勝 鹿児島城西高 1-0 神村学園高 白波]
DFに再コンバートされたのは、約1か月前。鹿児島城西高DF浮邉泰士(2年=鹿児島育英館中出身)が、7連覇中の王者・神村学園高の前に立ちはだかった。見て欲しいところは「対人の強さ」と言い切る181cmCBは、際の攻防で身体を張り、相手の抜け出しを幾度もブロック。打倒・神村学園への思いを身体全体で表現した。
「もうほんとに今まで1年間なかなか勝てなかったりして、悔しい思いをずっとしていて、この一戦だけに全部、今までの悔しさとかそういうものを全部もう体現して、ほんとに、ほんとに、もうほんとに死んでもいいぐらい、身体を張りました」と振り返る。
相手の前線は高さこそないものの上手くて、速い。だからこそ、意図的に裏のスペースを消し、走ってきた相手の前に身体を入れて対応。神村学園はインターハイ得点王のU-18日本代表FW名和田我空(3年)ら多彩な攻撃タレントを擁し、計14本のシュートを打たれたが、それでも最後まで身体を投げ出してシュートコースを乱すなどゴールを許さなかった。
浮邉は元々DFだが、今年1月の県新人戦準決勝からFWを務めていた。前線でもポテンシャルの大きいプレー。だが、新田祐輔監督は選手権予選1か月前に浮邉をDFへ再コンバートした
「結局、止めれるやつがいなくて。(10月13日に開催されたプレミアリーグの)大津の時に(得点ランキング首位のFW)山下景司を誰が抑える?って言ったら、やっぱ浮邉と思って使ったら、山下も完璧に抑えた」。CKのこぼれ球を決められて0-1で敗れたが、前向きなゲームに。続く静岡学園高戦は0-0、今月の米子北高戦も1-1と浮邉は「プレミア通してもそんな『すごっ』て思うフォワードもそこまでいなかったし。プレミア通して結構自信になりました」と手応えを持ってこの神村学園戦に臨んでいた。
FW時代も学びの機会になったが、「自分としては、やっぱディフェンス結構好きで、(再転向は)嬉しかった」というDFのポジションで生き生きとプレー。隣でプレーするCB常眞亜斗(2年)の存在も大きい。「(常に)やっぱガッツがあって、メンタルもすごくいいし。ミスもそこまで少ないので、頼りになります」と浮邉。全国大会でも対戦相手を封じ込んでいく意気込みだ。
「やっぱ個人では絶対に自分の特長の空中戦と1対1の強さは絶対に負けない。で、チーム全体としては、今日みたいにチーム全員でまとまって、声出して、気持ち出して、国立に立って、絶対に全国優勝したいと思います」と宣言。将来的に「今日みたいに気持ち出して、どの選手も余裕で抑えるようになりたいです」という強力DFが、選手権でも自信を持って相手FWを止め続ける。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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