[11.20 プレミアリーグWEST第12節 静岡学園高 0-0 東福岡高 時之栖A]
20日、延期されていた高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第12節の9位・静岡学園高対8位・東福岡高戦が静岡県御殿場市の時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンドで行われ、0-0で引き分けた。
それぞれ激戦区の県予選を突破し、選手権出場を決めている名門校同士の一戦。静岡学園は2度、東福岡は3度の選手権優勝歴を持ち、今冬の目標はともに日本一だ。その2校は今月18日の選手権組み合わせ抽選会で同じAブロックに入り、青森山田高や尚志高(福島)とともに“死のブロック”を構成することになっている。
ホームの静岡学園は、今月16日に静岡県予選決勝を戦ったばかり。中3日ということもあって決勝から先発を総入れ替えし、「(選手権予選期間中も)モチベーションが高かった」(川口修監督)という選手たちを起用した。GKは野口晟斗(3年)、DFがゲーム主将の矢澤怜士(3年)、今田桜雅(3年)、國領英夢(3年)、吉田俐軌(2年)、MF山縣優翔(2年)、加藤佑基(3年)、池田双葉(3年)、四海星南(2年)、藤本虎之介(3年)、FW大木悠羽(3年)の11人でスタート。初出場の吉田を除くと、選手権予選決勝を大学受験のために欠場した加藤やU-16日本代表の山縣らプレミアリーグでの経験値も高く、先発奪還へのアピールの一戦でもあった。
一方の東福岡はすでに2011年の発足初年度から続くプレミアリーグWEST残留を決定。この日は、守りの要であるCB山禄涼平(3年)がコンディション面を考慮されて欠場した。代わりにトップ下で先発した西田煌(2年)を除くと、選手権予選決勝と同じメンバー構成。GK後藤洸太(3年)、DFは柴田陽仁主将(3年)、福川聖人(3年)、大坪聖央(3年)、塩崎響(3年)、MF大谷圭史(3年)、佐藤宏耀(3年)、児玉愁都(3年)、神渡寿一(3年)、西田、FW伊波樹生(3年)という11人で気温8.1度という寒さと雨のアウェーゲームを戦った。
前半は激しいボールの奪い合いに。東福岡は平岡道浩監督が「静学は(個々の技術力が高く)、相手に対して本当に“殴り合い”できるような間合いじゃないと何でもされてしまうから。やっぱりそこはしっかり要求しました。いい距離感でやったんじゃないですか」と説明したように、ボールを保持してくる相手に対してアプローチ、スライドを速くしてビルドアップさせることを許さない。
この日は柴田、大坪、福川に加え、CBとして本職中盤の塩崎が最終ラインに入っていたが、柴田が「本当にどこでもできるし、本当に信頼あるんで。慣れないポジションだったけど、ほんとに頑張ってくれた」と評するプレー。動き出しの質の高い相手FW大木に苦戦した部分もあったが、シュートを打たせなかった。加えて、東福岡は試合のポイントに挙げていたという加藤、池田の静岡学園の両翼に対しても、SBと中盤の選手が人数を掛けて対応。スペースを与えず、相手に強みを出させない。
だが、静岡学園も切り替えの速い守備によって四海らが高い位置での奪い返しに成功。特に山縣と藤本のダブルボランチが回収の部分で健闘し、選手権予選で大活躍の相手FW伊波を186cmCB吉田が身体を張って食い止める。また、試合を通して矢澤、国領、今田もゴール前で集中して守っていた。
この日、静岡学園は相手のプレッシングに苦戦。DFラインからボールを運ぶことがなかなかできなかった。だが、「真ん中の藤本と山縣は良かった」(川口監督)というように、存在感のあった山縣、藤本のダブルボランチのところで前進し、山縣のスルーパスや加藤と大木のコンビネーションでチャンスも作る。
東福岡は18分、左サイドから攻め、最後は中央の児玉がドリブルシュート。25分には神渡が佐藤とのワンツーで左サイドを抜け出し、ラストパスを通す。だが、児玉の決定的なシュートを静岡学園GK野口がビッグセーブ。東福岡はなかなかサイドから出ていくことができず、この決定機のように神渡と児玉の両ウイングと佐藤、西田の絡んだ崩しの回数を増やせなかった。
静岡学園は後半開始から池田とFW上田悠世(2年)を入れ替え、東福岡も西田とMF杉谷俊哉(2年)を交代した。静岡学園は10分、上田が敵陣で前を向いて前進すると、加藤の左クロスに上田が飛び込む。
だが、普段に比べると、後半も後ろに重く、大谷らがセカンドボールを回収する東福岡の攻撃を受ける形となった。東福岡は14分に児玉と伊波を切り札のMF稗田幹男(3年)とFW山口倫生(2年)へ交代。稗田との連係でPAへ飛び出した右SB福川がGKをかわすシーンがあったほか、カウンターから山口、神渡と繋ぎ、杉谷と稗田がチャンスを迎えるシーンもあった。だが、静岡学園は矢澤や吉田、今田がカバーリング、またシュートブロックして得点を許さない。東福岡も190cmGK後藤がハイボールの処理など雨中で安定感の高い動き。185cmCB大坪も高さを発揮するなど、相手の前に立ちはだかっていた。
終盤はややオープンな展開に。静岡学園は上田の折り返しに加藤が決定的な形で走り込み、東福岡も稗田が奪い返しから縦に仕掛けて神渡へラストパスを通す。だが、互いに決め切ることができない。静岡学園は後半42分にMF天野太陽(3年)とMF原星也(3年)、同45分にDF望月就王(3年)とMF篠塚怜音(2年)をピッチへ。終盤、ゴール前へ押し込まれたものの、何とか全員で凌ぎ切った。
静岡学園は3試合を残してプレミアリーグ残留決定。川口監督は「ヒガシ相手に失点ゼロだし、(先発メンバーを総入れ替えした中で)良くやったと思います。こういうのがやっぱり自信になって、グッとここから伸びてくるから」と出場チャンスを得た選手たちが勝ち点1を奪取したことを称えていた。
一方の東福岡・平岡監督は今年1年間取り組んできた守備に関して「積み上げた分、出ていると思います」と評価。その一方、攻撃面に関しては準備の部分を含めて指摘し、「まだまだ、(選手権初戦で対戦するプレミアリーグ勢の)尚志さん相手にもっと攻撃できるように。彼らもよくわかったんじゃないですか、この質じゃダメだと」とより質を向上させることを求めていた。ともにプレミアリーグ残留を決め、ここから選手権への準備を兼ねた3試合に。静岡学園はプレミアリーグでの開幕5連敗、東福岡もインターハイ予選敗退と互いに苦しい時期を経験しながら、乗り越えてプレミアリーグ残留と選手権出場を決めている。磨いてきた力を選手権で発揮し、“死のブロック”突破と日本一を目指す。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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