[11.30 J1第37節 柏 1-1 神戸 三協F柏]
前半から好守に目立っていた。DF関根大輝は、前半はFW宮代大聖、後半に入るとMF佐々木大樹と個性的な相手とのマッチアップに冷静に対応。さらにオーバーラップから何度もチャンスメイクを図っていた。
だが最後の最後の“ミス”がもったいなかった。1点リードを死守していた柏レイソルだが、後半アディショナルタイム10分、CKのこぼれ球の対応でDFラインを上げる際に、関根の反応が一歩遅れる。副審はオフサイドを判定したが、VARの介入によりその判定は取り消され、相手ゴールが認められた。
柏はこれで5試合連続で後半アディショナルタイムに失点。それもすべてが勝ち点に関係する失点になってしまっている。関根も「正直勝てた試合」と肩を落とすと、「後半疲れが出てきた中で、最後の後半40分過ぎの守備のクオリティは下がってしまった。代表に行ったときに90分集中し続けることを学んだけど、そこは自分に足りないところだと思います」と自らに矛先を向けた。
激動の1年が終わろうとしている。本来は大学4年生世代の関根だが、今春より拓殖大サッカー部を辞めて1年早く柏に正式入団することを決断。今夏のパリオリンピック出場を意識した決断だったが、その目標を見事に叶えると、10月にはW杯予選を戦う日本代表に初招集された。最もインパクトを残したのは、五輪予選となった4月に行われたU23アジア杯だっただろうか。正確なキックから好クロスを連発する姿に新世代の長身SBの誕生を大いに予感させた。
関根自身も「日本代表にまで入るとは想像していなかった」と振り返る。ただ「自分が経験したことのないようなレベルをこの1年で知ることができた」からこそ、現状の物足りなさも自覚している。今季のJリーグで言えば、ゴールはおろか、アシストもゼロ。「数字が残っていれば印象は変わると思う。そこはまだまだ足りないところなので、練習するしかない」。本人も大いに気にするところだ。
関根が一年早く退部した拓殖大は今季、関東リーグ2部の戦いで苦戦して9位でフィニッシュ。先日の明治学院大との2部参入プレーオフを何とか引き分けて2部残留を決めた。退部してからも試合結果は当然、気にしていた。「拓殖の関係者やレイソルの方が受け入れてくれて、今の自分がいる」。恩を示すためにも「もっと上のレベル」の結果を残すことを目標にする。
そして世界へ。日本代表で一緒に過ごした選手たちとコミュニケーションを取る中で、世界に意識を向けることの重要性を改めて実感した様子。「もっと上のレベルを知れたからこそ、もっと上に行きたいと思うようになった。世界をみれば若くない年齢。自分も早く追いつけるように頑張りたい」。“大卒”選手となる来季、今年以上のインパクトを残してみせる。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 国内リーグ
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