11月29日、第103回全国高校サッカー選手権大会 近畿地区代表校の共同記者発表会が大阪府大阪市の読売テレビで行われ、代表6校の監督が意気込みを語った。
3年ぶり3回目の出場を果たしたのは、阪南大高(大阪)。「毎年代表校が変わる激戦区を5回勝つために、どうやって戦うか今年のチームに当てはめて戦った。今年は自分のことはきちんとできる勤勉性が身に付いた選手が多い。学習成績も高いのが例年にはない今年の良さ」。そう話すのは濱田豪監督で、予選では対戦相手に応じた選手起用を実施。出番を与えられた選手が自らの仕事をこなした結果が全国大会出場に繋がった。
「今年に関しては誰を出しても恥ずかしくない選手が揃っている」(濱田監督)中でも一押し選手は主将のMF福本一太(3年)。指揮官が「言葉を発してチームを牽引するタイプではないのですが、自らの行動でチームを牽引していく」と評するボランチを中心に戦い、まずは初戦突破を目指す。
京都橘高(京都)は新人戦、インターハイのタイトルが取れず、プリンスリーグ関西1部でも苦戦が続いたが、予選を粘り強く勝ち上がり、2年連続11回目の出場権を手にした。選手の頑張りとともに米澤一成監督が称えるのは、コーチ陣の頑張りで「今年はしっかり分析をして臨んだ中、コーチがしっかり汗をかいてくれたのが大きかった」と口にする。
また、本職はアタッカーながらも夏以降チームを安定させるため、DFラインに回ったDF宮地陸翔(3年)とDF増井那月(3年)の存在も欠かせなかった。「チーム事情が苦しかったので、能力を後ろで発揮してもらおうとチームのために泣いてもらった。それが彼らの成長に繋がった」(米澤監督)。
選手権では開幕戦を引き当て、帝京高(東京A)と対戦するため、国立でのプレーが決定済み。米澤監督は「我々は国立には行かせてもらったので、他のみなさんは国立を目指して頑張ってください」と笑いを交えて、他校にエールを送った。
今年の草津東高(滋賀)は新人戦で準優勝、近畿大会で3位になりながらもインターハイは準々決勝で敗退。好不調の波が激しくリーグ戦でも苦戦が続いたが、選手権予選は最後の大会ということもあり、3年生が一致団結して戦った結果、3年ぶり13回目の出場となった。
牛場哲郎監督がチームの大黒柱であるMF上原周(3年)とともに注目選手として挙げるのは「プレーで攻守に渡ってチームを支えてくれている」MF寺川剛正(3年)。予選直前に3-4-2-1から4-2-3-1にシステム変更した際、寺川が「トップ下がいませんよね?僕がやりますよ」と牛場監督に声を掛け、適任者不在のポジションにおさまったという。
選手権は昨年度の選手権で滋賀県代表の近江高が準優勝を果たしたため、第2シードとして2回戦からの登場。牛場監督は「端っこで目立つ位置にいるので、サッカーでも目立てるように頑張りたい」と意気込みを口にした。
「今年のチームは例年以上に煮え切れないと思いながら、ずっとチームを作ってきました。夏はインターハイ予選で敗れましたし、リーグ戦も思うような結果が出ず、苦しいシーズンをずっと続けえてきた」と話すのは奈良育英高(奈良)の梶村卓監督。だが、夏以降の成長は著しく、昨年の予選は延長やPK戦など接戦を勝ち上がることが多いが、今年は全ての試合で2点差以上をつけて勝利し、4年連続17回目の選手権出場を決めた。
指揮官がキーマンとして挙げるのはDF竹田奏(3年)、GK内村篤紀(2年)、FW藤川陽太(3年)の3名。中でも藤川の評価は高く、「夏以降一番伸びた選手。予選でも全試合で点を取ってくれているので、全国でも彼が取ってくれたら」と全国での活躍に期待を寄せる。
滝川二高(兵庫)は昨年12月に就任した小森康宏監督の下、3年ぶり22回目の出場を果たした。選手とのミーティングを繰り返し、県内3冠を目指したチーム作りを行なう中、新人戦の優勝は果たしたものの、インターハイ予選は準決勝で敗退。強度が足りないと気付いた選手たちが夏以降、プリンスリーグ関西2部で成長を果たし、全国大会出場を手繰り寄せた。
注目選手として小森監督が挙げるのは主将のMF三宅蔵ノ助(3年)。「テクニックに優れていて、ゲームメイクだけでなくゴールも狙える。能力の高い選手。声で引っ張るタイプでは全くなく、凄く大人しい選手」(小森監督)。三宅以外にも今年のチームは実力者が揃うが、見据えるのは目の前の試合のみ。「3年ぶりで誰も全国大会を知らない。初出場と同じ。先のことは考えていない。初戦だけに集中したい」と指揮官は口にする。
今年の近大和歌山高(和歌山)は藪真啓監督が注目選手として挙げる左利きのドリブラーMF松林優(3年)を筆頭に1年から選手権を知る選手が多く、経験値の豊富さ売り。インターハイ、選手権ともに負けた昨年の悔しさをバネにし、新人戦、インターハイ予選、県1部リーグ、選手権予選の県内4冠を達成している。
予選決勝では初芝橋本高に先制される展開を強いられたが、「今年は後半に巻き返せる力がある」(藪監督)強みを発揮し、後半の2ゴールで逆転勝利に持ち込んだ。2年ぶり10回目の選手権となる全国では初戦で昨年度のインターハイ王者である明秀日立高(茨城)と対戦。苦戦を予想する声も多く聞かれるが、藪監督の鼻息は荒い。「どこと当たっても何とも思わない。どこと当たっても強豪なので、相手に対して臆することなくチャレンジャー精神で挑んでいって、一発かますだけ」。
今年はAブロックに入った阪南大高以外の5校が、Dブロックを引き当て近畿勢の対戦があり得るトーナメントになっている。日々、切磋琢磨しあってきたチーム同士の戦いは熱戦必至。一つでも多くのチームの上位進出に期待だ。
(取材・文 森田将義)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー
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