パリオリンピックを目指すU-22日本代表は10月のアメリカ遠征メンバーを発表。チームは現在アジア競技大会に参加しており、7日には決勝で韓国と対戦するが、そのメンバーは入らず。大岩剛監督はオンライン会見で「今回、日程上選出しない決断をした」と語った。
U-22日本代表は9月上旬にバーレーンでU23アジアカップ予選を戦い、グループ首位で来年4月にカタールで行われるU23アジア杯出場を決めた。その直後、9月20日からはアジア大会がスタート。メンバーを総入れ替えして臨み、13年ぶりの優勝を懸けた決勝に進出した。
指揮官は、アジア大会メンバーについて「来たときとまったく違う表情をしている」とその変貌ぶりを語る。今後の招集にも「全員がそれに値する」と評価。「これは大げさではなくて、大会を通じて非常にいいグループになっている。所属カテゴリーに関係なくいいグループになってきている、(常連組と)遜色ないと思っています」と称賛した。
しかし、アメリカ遠征は日程がタイトだ。メンバーは8日にアメリカ・フェニックスに到着し、14日にU-22メキシコ代表と、17日にU-22アメリカ代表と対戦する。7日まで連戦を戦い抜くアジア大会メンバーはその疲労が考慮され、アメリカ遠征には選出せず。MF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)、MF鈴木唯人(ブレンビー)、MF山本理仁(シントトロイデン)、FW細谷真大(柏)ら常連組が名を連ねた。
U-22世代では2人が復帰、1人が初選出となった。GK佐々木雅士(柏)は今年6月の欧州遠征以来の選出。A代表招集や怪我がU-22活動と重なっていたDFバングーナガンデ佳史扶(FC東京)は昨年11月の欧州遠征以来となった。横浜FCMF近藤友喜は4月の候補合宿で招集されていたが、今回初の正式メンバー入り。今季プロデビューのルーキーだが、横浜FCでは2年間を特別指定選手としてプレー済み。特徴のあるドリブルは今季J1の舞台でも威力を発揮している。
今年5月のU-20ワールドカップに出場したU-20日本代表の世代からは5人が選出された。MF松木玖生(FC東京)は9月のU23アジア杯予選に引き続き選出。DFチェイス・アンリ(シュツットガルト)は昨年6月にウズベキスタンで行われたU23アジア杯以来の招集となった。同じくU-20W杯メンバーのGK木村凌也(日本大)、MF福井太智(バイエルン)は初招集。また、MF新井悠太(東洋大)もU-20世代だが、U-20日本代表も含めて過去に世代別代表経験はない。しかし25シーズンに東京ヴェルディ加入が内定しており、特別指定選手としてJ2リーグですでに2得点を決めている。
新井の招集はひとつの“サプライズ”。大岩監督は新井を引き合いに「名前が出た選手以外の選手も、われわれにとってはしっかりとしたターゲットということは伝えていきたい」とすべてのパリ五輪世代にメッセージを送る。
また、初招集組についても印象を語る。福井について「U-18を担当したときに間近で見ている。彼がどれくらい成長しているかを踏まえた上で今回期待して招集した」と、アンリについて「ひさしぶりのアンリも、映像ですけれどもしっかりとしたプレーをしている」と言及。「今回新しく何人かの選手が来る。そういう選手と普段呼ばれている選手をしっかりと融合させること。それプラス、スピードや技術的な要素をもっとレベルアップしていく必要がある」と狙いを明かした。
22年3月に発足した大岩監督体制では、藤田、細谷、バングーナガンデ、DF半田陸(G大阪)、GK鈴木彩艶(シントトロイデン)、MF川崎颯太(京都)の6人がA代表に招集済み。10月シリーズでは鈴木彩が2度目の招集となった。まだ招集されていない選手も欧州遠征で強豪と対戦し、過酷な環境下のU23アジア杯予選を勝ち抜き、経験を積んだ。当初から大岩監督が挙げていた「A代表経由パリ五輪行き」や「タフでい続けること」といった目標が少しずつ形になってきている。
チームの完成度について、指揮官は「これはゴールがないことだと思っている」と持論を述べる。来年4月のU23アジア杯はインターナショナルマッチウィークではないため、メンバーもクラブ事情で招集できない可能性が高い。だからこそ、誰が出ても同レベルのパフォーマンスが出せるようにしなくてはいけない。「当然うまくいかないこともある。勝率を上げるために、(勝利を)確実にしていくためのトレーニング、ゲームトレーニングをしたい」(大岩監督)。来年4月のU23アジア杯、そして来夏のパリ五輪に向け、残り時間でさらなる成長を目指すつもりだ。
以下、アメリカ遠征のメンバー
■スタッフ
団長:反町康治
監督:大岩剛
コーチ:羽田憲司
GKコーチ:浜野征哉
フィジカルコーチ:矢野由治
テクニカルスタッフ:越智滋之
テクニカルスタッフ:渡邉秀朗
■選手
▽GK
1 佐々木雅士(柏)
12 野澤大志ブランドン(FC東京)
23 木村凌也(日本大)
▽DF
2 内野貴史(デュッセルドルフ)
21 大畑歩夢(浦和)
3 西尾隆矢(C大阪)
5 木村誠二(FC東京)
17 バングーナガンデ佳史扶(FC東京)
15 畑大雅(湘南)
4 鈴木海音(磐田)
22 チェイス・アンリ(シュツットガルト)
▽MF
13 平河悠(町田)
19 近藤友喜(横浜FC)
20 山田楓喜(京都)
10 鈴木唯人(ブレンビー)
7 山本理仁(シントトロイデン)
8 藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)
14 三戸舜介(新潟)
18 新井悠太(東洋大)
16 松木玖生(FC東京)
6 福井太智(バイエルン)
(取材・文 石川祐介)
●第19回アジア大会特集ページ
Source: サッカー日本代表
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