[12.6 プレミアリーグプレーオフ1回戦 札幌U-18 0-1 富山U-18 ホットスタッフフィールド広島]
富山U-18がプレミア初昇格へ王手――。高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 プレーオフ(広島)は6日に1回戦を行い、プリンスリーグ北信越優勝のカターレ富山U-18が同北海道王者の北海道コンサドーレ札幌U-18に1-0で勝利。富山はプレミアリーグ初昇格をかけ、8日の2回戦で東京ヴェルディユース(関東1)と戦う。
富山は2017年のプリンスリーグ北信越初参戦から7年目で初優勝。プレミアリーグプレーオフ初参戦を果たした。プレーオフ初陣となった札幌戦は、GKが仙田琥太郎(3年)、DF白川紳晴(3年)、出村拓郎(3年)、主将の小田切祐真(3年)、野嶋竜斗(3年)、MF吉崎裕大(3年)、新保瑠偉(3年)、片原太智(3年)、折橋蓮(3年)、長谷川岳久(2年)、FW高川諒希(3年)の11人が先発した。
一方の札幌はプレミアリーグが発足した2011年にEAST優勝。2015年の降格後、プレーオフ(参入戦)に5度出場しているものの、突破することができていない。プリンスリーグ北海道で優勝し、6度目の挑戦となる今回の初戦の先発はGKが竹内琉真(3年)、DF坂本勘汰主将(3年)、小澤秀太郎(3年)、菅谷脩人(3年)、徳差優利(1年)、MF畑嘉人(3年)、庄内航汰(3年)、川崎幹大(2年、U-17日本代表)、安達朔(3年)、FW品田太郎(3年)、牧野岳(2年)の11人だった。
立ち上がり、札幌は右サイドで存在感のある動きを見せたSH庄内やSB坂本、また左の安達を活用。川崎や畑が係わりながらサイドへボールを動かし、ドリブルでの仕掛けやクロスへ持ち込もうとした。17分には高川のドリブルからのパスがPAの品田へ通り、左足シュート。だが、これは富山守備陣に阻まれた。
対する富山は序盤、なかなかボールが落ち着かなかったものの、14分に左SB野崎のクロスのこぼれを片原が左足シュート。前半半ば頃からはCB出村が1つ奥にいる左SH折橋へボールをつける回数を増やす。出村、小田切の両CBが吉崎を経由したビルドアップに加え、DF背後へのロングフィードを織り交ぜながら攻撃をコントロール。高川や長谷川、テクニカルなボランチの新保も裏抜けを狙うなどチーム全体で動きが出ると、右SB白川がPAの高川へパスを差し込むシーンもあった。
明堂和也監督は「ちょっと慣れてきてからは少しボールを持てるようになったし、元々背後の意識は選手たちにはかなり持たせてるので、長いボールでの1発の背後と、それで下がれば、しっかり動かすっていうところは、上手くやってくれた」と評価。ただし、札幌は187cmDF菅谷と小澤の両CBや187cmGK竹内による中央の守りが堅い。決定打を打たせずに試合を進めた。
その札幌は32分、右への展開から庄内がDF前に潜り込んでクロス。だが、富山GK仙田に阻まれると、速攻からチャンスになりかけたシーンでも相手CB小田切に止められてしまう。また、「とにかく守備とかはプレスバックも含めて徹底させていました」(明堂監督)という富山は片原、折橋の両SHが献身的なプレスバック。攻め切られる前にボールを奪い返していた。
後半、札幌はトップ下の牧野がマークを外して前を向く回数を増加。7分には牧野のパスから安達が左足シュートを狙い、23分には右の庄内の左足シュートが枠を捉える。だが、富山は吉崎が幅広くカバーリングするなど無失点を継続。相手の時間帯もありながら、彼らの強みだという自分たちで修正する力も発揮しながら試合を進める。
富山はハーフタイムに明堂監督から「(中央は分厚いので、)少し外からボールを外して動かして、そうやって揺さぶりながら前進しようっていう話と、(前半は通っていなかったが)あれをやり続けることで相手は多分下がると思ってたんで、そこだけは欠かさずやるように」と指示をされていたという。その言葉通りに、背後を見せながらボールを動かすことを徹底。そして、31分に札幌ゴールをこじ開けた。
最終ラインからのロングパスで片原が右中間へ抜け出す。そして、左前方の高川へラストパス。これを高川が右足ダイレクトで決めた。プリンスリーグ北信越得点ランキング2位(12得点)のエースが先制ゴール。富山の選手たちは喜びを爆発させた。
この後、札幌はFW市田蒼葉(2年)、MF上ヶ嶋柊也(3年)を投入。富山もMF石崎拓矢(2年)とFW山出祥矢(2年)を送り出す。札幌は40分、上ヶ嶋の左CKから菅谷が決定的なヘッド。だが、富山GK仙田が好反応でかき出すなど、押し込まれる時間が増える中でも崩れずに攻め返していた。最後はDF朝比奈寛泰(2年)とDF坪内音頼(2年)投入で試合を締めた富山が1-0で勝利。初のプレミアリーグプレーオフで1勝を挙げた富山の明堂監督は、「7年かかってここに来てるので、この1勝はかなりデカいと思いますし、クラブにとっても凄く意味のある1勝だったんじゃないかなと思います」と語った。
ただし、まだ昇格を成し遂げた訳では無い。主将の小田切は「プリンス優勝することも初でしたし、ここに来て1勝、初めての1勝をできたことは凄く嬉しく思っています。本当に勝てて嬉しい気持ちでいっぱいです。でも、次勝たないと何も意味ないので、そこは切り替えてしっかりやっていきたい」と力を込めた。
プレミアリーグ昇格をかけた大一番の対戦相手は因縁のある東京Vユース。富山の選手たちは3年前、富山U-15の一員として日本クラブユース選手権(U-15)大会に出場した。予選リーグで高川が2試合連続決勝点を決め、鹿島ジュニアユース、RIPACE SCに勝利。決勝トーナメントへ進出したが、その初戦で東京Vジュニアユースに0-5で完敗を喫している。
吉崎は「3年間で培ってきたものがあると思うので。どれだけヴェルディとの差が縮まったか、それを試すチャンスだと思う」と語り、小田切も「自分たちがどれだけ成長できたかを示せるいい機会だと思います。(3年前は)もうほんとに何もできずに終わったっていう印象があったんで、そこをリベンジしてしっかり勝ちたいと思います」と力を込めた。7日には、小田切の父・小田切道治監督が指揮を執るトップチームが11年ぶりのJ2復帰をかけてJ2昇格プレーオフ決勝で松本と対戦。トップチームとの同時昇格へ、富山U-18が関東王者の東京Vユース相手に3年間の成長を示して勝つ。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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