[12.7 インカレ予選ラウンド 中央大0-1東海学園大 味フィ西]
複雑な表情を浮かべた。中央大は東海学園大に0-1で敗戦。フル出場したMF家坂葉光(4年=東京Vユース/岡山内定)は試合後、しばらく目頭を腕で覆っていた。
しかししばらくすると、同時刻に行われていた試合でファジアーノ岡山が初のJ1昇格を決めたという知らせが届いた。「スタンドにいた親に聞きました」。ただ大学サッカーが実質的な“終戦”を告げた直後、仲間の前で喜びをみせることもできなかった。
「正直複雑な気持ちですけど、J1に上がってくれたのはすごく嬉しい。でも所属している中大を日本一にして卒業できればよかったけど、それができなくて残念です」
今季を「激動な1年間だった」と振り返った。今季開幕前に行われたデンソーカップチャレンジには、関東選抜Bの一員として出場。プレーオフから優勝に導く活躍をみせると、3月には全日本大学選抜にも初選出された。
それと同時にJクラブからの関心も高まり、まずは古巣の東京Vの練習に参加。獲得オファーはでなかったが、直後に参加した岡山の練習で高評価を受け、即日オファーに繋げた。「すごく雰囲気がよくて、自分のスタイルにも合っていたので、すぐにサインしました」。その後も契約を決めたことを知らない他クラブからの問い合わせがあったという。
「本当に激動の一年。チームでは去年の途中からウイングバックをやっていたけど、選抜で初めてサイドバックもやらせてもらって、慣れないポジションで試行錯誤しながらやっていたら、評価をしてもらえた。夢であるプロの世界に行けたということで成長できた1年だったと思います」
プロで楽しみにする試合がある。高校までを過ごした東京ヴェルディ戦。緑に染まった味の素スタジアムでのプレーは、憧れ続けた舞台だった。そして岡山がJ1昇格を決めたことで、敵としてではあるが、来季そこに立てる可能性が出てきた。「こみ上げるものがあるんじゃないですかね」とポツリと話した家坂。ただ「本当に育ててもらったクラブなので、いい恩返しがしたい」とも続ける。
「岡山の勝利のために特長を出してプレーしたい。そして子供に夢を与えらえるような選手になりたい」。希望に胸を膨らませる新生活は、J1リーガーとしてスタートさせる。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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