[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.8 プレミアリーグプレーオフ決勝 浦和ユース 1-1(PK4-3)京都U-18 サンフレッチェビレッジ広島第一球技場]
延長戦を含む110分間、PK戦にまでもつれ込む激闘。特に後半、延長戦は相手にボールを保持され、我慢の時間帯が続いた。それでも、浦和レッズユースは1失点のみで切り抜け、PK戦で勝利。憧れのDFと同じ「28」を背負う188cm、84kgの大型CB阿部慎太朗主将(3年=リベロ津軽SC U-15出身)の存在が、非常に大きかった。
映像分析で相手のロングボールの多さや、細かな部分の上手さを頭に入れての戦い。それでも、相手にハイプレスを剥がされ、押し込まれる時間が続いた。DF間を割られて決定的なピンチを迎えるシーンも。だが、阿部は「最後ゴールを割らせなければ失点はしないっていうところでは、コース限定して打たせても入らないシュートを打たせてGK小森(春輝)に止めさせたり、あとはチャレンジアンドカバーとか、そういうところは徹底できたのかなっていう印象です」と振り返る。
阿部は前への強さを発揮したほか、的確なカバーリングも連発。1点リードを粘り強く守り続けた。後半33分に追いつかれ、自身も、チームメイトも落胆する部分があったことは確かだ。だが、ここで主将が気持ちを奮い立たせ、身体を張った。左サイドからPAへ抜け出したきた相手選手をブロック。また、PAにこぼれたボールにいち早く反応してクリアした。
「(追いつかれ、)全員がちょっと気持ちが沈んだ時に、ちょっと考える時間があって。(プレーオフ決勝で敗れた)去年のことを思い出したら、『こんなとこで負けられないな』っていう気持ちが思い出されて。それで、やっぱり自分で自分のことを動かそうっていう気持ちと、苦しい状況で自分が盛り上げてチームメイトを動かそうっていう気持ちは持っていたので、 それでチームで延長まで持っていって、そこから失点しなかったっていうのは良かった点かなって思います」
この試合を最後に、来季から琉球トップチーム監督へ転身する平川忠亮監督から学んだことは多いという。「ほんとレッズのレジェンドなので。レッズを背負う責任だったり、ほんとこのエンブレムを背負う意味だったり、戦う姿勢っていうのはやっぱ長年ほんとレッズで示し続けてた方なので、そういう部分もほんとに教えてもらいました」。その恩師とのラストゲームで勝利。大学進学予定の阿部は、浦和の赤いユニフォームを再びまとって、ピッチに立つことを宣言した。
「これでレッズのユニフォームを着ることが最後にならないように。大学4年間で、自分を見失わず、ほんとここに戻ってきて、このチームで、トップチームで活躍して、世界に行くっていう夢はブラさずに、サッカーに情熱を注いでいけたらなって思います」
目標とする姿は変わらない。「自分は28番背負っていて、これは元レッズの(アレクサンダー・)ショルツ選手の影響。守備でも1人で守れるし、攻撃でも1人で打開したりとか、ビルドアップの細かい上手さだったり、そういう全てを兼ね備えたセンターバックに自分はなりたいなと思っています。あとはやっぱりキャプテンやらせてもらって、人間性っていうのはやる前よりはもちろん良くなったとは思うんですけど、自分に足りないものが多いので、そこも成長していけたら超一流のプロに近づけるのかなと思います」。大器は4年間で技術面、精神面でもよりレベルアップし、浦和、世界で活躍するようなCBになる。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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