全国高校サッカー選手権で名前を広めた中央大FW加納大(4年=静岡学園高)だが、その先にあったのは「すごい苦しい」大学4年間だった。それでも実直に取り組み続けた結果、AC長野パルセイロへの加入内定を掴み取った。
加納は静岡学園高での2年時に高校選手権に出場し、青森山田高との決勝で2点差を追いつくゴールを記録。高校サッカーファンの間で名試合とも称されている一戦で結果を残して3-2の逆転勝利を導き、日本一を経験した。しかし翌年は夏に負傷離脱を余儀なくされると、チームは選手権予選で敗退。前年とは対照的な最終年で静岡学園を卒業した。
その後中央大に進学した加納だが、大学サッカーでは壁にぶつかった。「幼い頃からサッカーをやってきて、高校年代まではわりとスムーズに試合に絡むことができた」キャリアの中、関東大学リーグデビューを果たした2年時の先発出場は1試合のみ。その試合で初ゴールを決められたが、先発に抜擢された翌年の開幕節は前半で交代。3年時にリーグ戦のゴールは無かった。
「選手権でかなり自分の名前が知れ渡って色々な人からの期待や応援の声っていうのは大きくなった中で中央大に入った。たくさんの方が期待してくれるのはすごく良いことですし、それに対して自分の焦りや『やらなきゃ』というのが上手く噛み合わない時期とかもあって、自分のプレーを上手く出せない時期がありました」
4年生になった今年もベンチスタートで始まった。苦しい日々が続いたが、加納は決して折れなかった。宮沢正史監督からは苦しい時にこそ人間性が出ると言われていたといい、「出られないからといって腐ったりやる気をなくすのではなくて、どう前向きに、ひたむきにやり続けられるかというところに、つねに自分にベクトルを向けた。その向き合い方を本当に徹底した」。その努力は実を結び、6月の1部初ゴールを皮切りにシーズンで7得点を記録。終わってみればチーム内最多スコアラーとなり、昨季残留争いを強いられた中央大を4位に押し上げるまでに至った。
そして入学時に一番の目標としたプロサッカー選手になることも、長野で始められることが内定。加納は11日の内定会見を終えて「よりプロの舞台に立って活躍していこうという気持ちがさらに大きくなった」と決意を新たにし、「やっぱり中央大に来て良かったなというところが一番大きい」と話す。
「高校生のときは高卒でプロに行きたいと自分は思っていましたけどプロに行けずに大学に来て、大学4年間はすごい苦しい時間、時期でしたけどもこうやって色々なものを得て、人間としても選手としてもすごく成長できたと思っている。それでこうやってプロに繋げることができたので、本当に中央大を経由してプロに行けたというのは本当に来てよかったなと感じています」
憧れは今季で現役を引退したFW興梠慎三。高い攻撃センスで活躍した浦和レッズのアタッカーからは「学ぶべきところが多い」と述べ、自身もまた「前を向いたときのゴールに向かうプレー、両足どちらからでもシュートを放つことができるプレー」でゴールを量産していく構えだ。
(取材・文 加藤直岐)
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