静岡学園で一番成長したことは「人間性のところです」。怪我から復調の川崎F内定DF野田裕人主将は選手権で感謝の気持ちを伝える

静岡学園高の川崎F内定右SB野田裕人主将(3年=FC DIVINE出身)
 注目DFは、恩返しの日本一を目指す。静岡学園高(静岡)の右SB野田裕人主将(3年=FC DIVINE出身)は川崎フロンターレ内定の注目プレーヤーだ。高校進学後に右SHへ転向。チャンスメイク力とゲームメイク力、そして守備能力も兼ね備えたDFは、前回大会の選手権では1回戦で1ゴールの2アシストの活躍を見せ、評価を高めた。

 股関節の怪我によって選手権後から約半年の期間離脱。インターハイは出場した2試合で勝利し、ベスト8進出に貢献したが、夏に中足骨を骨折して3か月間以上ピッチから離れている。それでも、体幹強化などできることに取り組み、人間としても成長。復帰後、トレーニングで一際目立つプレーを見せていたDFは、選手権予選で優勝してくれたチームメイトやスタッフ、そして家族への恩返しを誓う。その野田がこの1年や、川崎Fについて、そして選手権への意気込みなどについて語った。

―選手権出場へ向けた今の気持ちは?
「正直、凄くワクワクしてるのはありますね」

―選手権は1年前の印象も残ってるかと思うけれど、どういう大会?
「今まで自分たちがやってきたことを出す場所だと思っていますし、去年も経験させて頂いて、自分は周りのチームメイトよりも経験の部分ではあると思うので、そういうところをチームに還元していきたいなと思っています」

―予選は怪我でベンチから見るような形だったが、味方のゴールシーンでは一番に飛び出して喜んでいた。決勝戦、エコパでみんなが喜ぶ姿とか、どのように見ていた?
「自分含めてピッチに立ってる人だけじゃなくて、やっぱり本当にベンチとか、スタンドにいる応援も含めて、本当にチームが一丸となって戦えたこの県予選だと思うんで、(全国大会では)そこは本当により一層、総合力で戦っていきたいなっていう風には思っています」

―予選に出たいという思いも強かったと思うが、どのような気持ちで出ている選手たちを見守っていた?
「もちろん、出たい気持ちはありましたけど、怪我してたんで。でも、ベンチに回って自分ができることっていうのはあるので、その中でも自分ができることを最大限やり切ろうっていう風には考えていました」

―ピッチに出てる選手と同じぐらい嬉しい優勝だった。
「もちろん、試合に出たいっていう悔しい思いはありましたけど、優勝できたことは本当に凄く嬉しかったです」

―優勝決まって、まず思ったこと。全国大会は自分がって思ったのか、どういう気持ちになった?
「本当に開幕リーグ戦5連敗してからは、ここまで来られるとは正直想像できなかったので。本当に今まで積み上げてきたものが1つ形となって結果で出たので、凄く嬉しかったです。インターハイも、選手権も、県予選は自分怪我で出れてないんで、全国に向けて頑張っていきたいなっていう風にも思いました」

―早くピッチ立ちたいって思いは特別強かった。
「ピッチで出場してる選手の姿見たら凄いウズウズしましたけど、出てる・出てない関係なく、本当に勝ちたいっていう気持ちは一緒だったと思うんで、自分が出たいっていうよりは、本当にチームで勝ちたいって思いの方が強かったと思います」

―これほど怪我で苦しんだ1年はなかったと思うけれど、客観的に振り返ると、どういう1年間だった?
「まとめて言えば苦しいシーズンだったかなとは思うんですけど、怪我したからこそできる部分もありましたし、サッカーを客観的に見れた部分もあったので、人間の部分としても、サッカーの見方としても、凄く学ぶことが多かった1年かなっていう風に思います」

―できないことが多いからこそ、学ぼうという姿勢が人一倍だった
「本当に普段できないことをやる機会だと思っていたんで、例えば本を読んでみたりだとか、体幹の身体の仕組みについてトレーナーの方やドクターの方々に教えて頂いたりだとか、そういう身体を知るっていう部分も怪我してしたからこそできたのかなって思います」

―どのような本を読んだ?
「三苫薫さんの人生の歩みだったりだとか。成功している方々の本をたくさん読みました」

―自分に取り入れたことはある?
「当たり前のことなんですけど、食事の部分はちょっと三笘さんの本を読んで改善したというか、より一層意識するようになりました」

―プロになるための身体作りも。
「プロで戦うための身体作りをするにはどうすればいいのかだったり、怪我が多いシーズンだったんで、怪我しない身体を作るために大事なことっていうのは、重点的にではないですけど、1番こだわったかなと思います」

―身体の変化はある?
「体幹は凄く安定した感じがあって、自分の中でも身体がどっしりとなったというか、重くはなってないんですけど、なんか安定した感じは実感しています」

―今の自分を色々な公式戦などで試したい、どんなプレーができるんだろうという気持ち。
「できていない期間の方が長いんで、自分がこの状態でどのようなプレーができて、どのような身体の感覚かっていうのはちょっと不安もありますし、凄く楽しみなとこでもあるんですけど、早く試合に出れるように頑張っていきたいなっていう風に思っています」

―より1歩が前に出たり、相手に引っ張られてても前に足を出せるとか。
「それはできそうだなっていう感覚はあります」

―離脱中、チームメイト、ご家族が自分を前向きにさせてくれた。
「本当に最初のグロインペインの怪我は5か月半離脱したんですけど、本当に心が折れそうな時期もありましたけど、まずは1番近くで両親が支えて下さって、 毎日ポジティブな言葉を掛けて下さいましたし、近くにいるトレーナーさんだったり、チームメイトも本当に励ましの言葉をくれたり、元気をもらったんで、凄い励みにはなりました」

―今までは当たり前だったかもしれないが、怪我してる期間だからこそ、より言葉が刺さるところもあった。
「サッカーできるのは当たり前じゃないっていうことは感じましたし、逆に本当に怪我してる選手の気持ちを自分は分かっているつもりなので、そういう選手の接し方っていうのも、この1年で変わってくるのかなって思っています」

―サポートする側での1年間に。それでも、やってこれたからこそ、今の静学がある。
「今年1年、プレーでは何もチームに還元できてないんですけど、こういう逆にプレーしないからこそできること、他にできることっていうのもあると思うんで。そういう部分では選手個人個人にやっぱりコミュニケーション取って、出れてない選手であったりとかに自分が経験しているアドバイスとかをしたりもしました。試合に出てないですけど、去年経験してることも自分はあるので、そういうのを出し切らないと本当にいいチームにはなれないかなって思ったんで、やるべきことをやってきたつもりではあります」

―選手権で半端ないところを見せて、報われて欲しいが。
「でも、まだまだ隙はあると思っていますし、本当に私生活の部分も含めてもっと突き詰めていかないと、サッカーの神様は味方してくれないのかなって思ってるんで、満足せずにより向上心持ってやっていきたいです。もちろん、こういう形(川崎F内定)になって期待はされると思うんですけど、本当にあまり背負いすぎずに、自分のやってきたことを出す大会にしたいなって思っています」

―特に、どんなところを表現していきたい?
「サイドバックなんで、自分のエリアでは絶対に負けたくないですし、それを徹底して、かつやっぱり攻撃の部分で得点に係わるプレーっていうのも増やして、結果にこだわっていきたいなっていう風に思っています」

―去年の初戦はスルーパスからゴール決めて、クロスから2つアシスト。ああいうパフォーマンスがまた選手権でできると最高。
「去年は本当に周りの方々がスーパーだったんで、自分は本当に自分のやるべきことだけをやってきたんで。たまたまではないですけど、去年は仲間のお陰かなと思っています。去年のことは去年のことなんで。今年は今年。自分が何をやってきて、何を積み上げてきたかだと思うんで、去年の結果をフォーカスせずに、本当に今年やってきたことをぶつけたいなと思っています」

―本当に走る姿だけでもちょっと絵になるけど、どういうところを見れば野田君の凄さに気づいてもらえるかな。
「1番は結果が出せればやっぱり注目ってされると思いますし、本当に意外性のあるプレーだったりとかも自分は特長の1つでもあると思うんで、出していきたいと思います」

―攻撃的サイドバックって言われがちだけど、守備も強い。
「自分の中ではこだわってる部分でありますし、本当に自分のサイドからやられて失点したら、どれだけ攻撃が良くても意味がないと思うんで、まずはそこの部分が1番大事かなと思っています」

―その上で圧倒的なところも出せる選手。
「まずは本当にチーム内で試合に出ることが1番なので、試合に出てから自分の役割を果たすのはもちろんなんですけど、試合に出れるようにするために日々の練習が本当に勝負になってくると思うんで、そこから頑張っていきたいなと思います」

―改めて、静学での3年間、間もなく終わりますけども、どういう3年間だった?
「1年、2年、3年、どれも濃かったなって印象があって、本当に色々なことを感じて、色々な部分で成長できたなって思う3年間で、静岡学園に来て良かったと思います」

―コンバート含めてプロの選手に育ててくれたのも静学だったけれど。どのような影響があった?
「まず静岡学園に来て1番成長したなと思うのは人間性のところです。プレー面もそうなんですけど、まずは人間性のところから1人前の男になるためにはっていうところは、(コーチの齊藤)興龍さんをはじめ、たくさんの指導者の方々に日々教わりましたし、本当に上に行く選手はサッカーのプレーだけじゃなくて人間性もいいっていうところは1番感じれたかなと思います」

―ピッチ外ではどんな3年間だった?
「2年生の時は自分は一応ちょっと何かおふざけというか、おちゃらけタイプなんですけど、今年はちょっとキャプテンにはなったってのもあって、制御はしてないですけど、ちょっと身を隠してるかもしんないです」

―本当はもっとはちゃけられる。
「そういうタイプではあると思います」

―どんな感じに?
「何かイジられ役。 あんまイジる方ではなくて、イジられたりだとか、1番明るいかもしんないですね、うるさかったり」

―県大会の決勝後のカップリフト見ても、 ノリツッコミも全然できますっていう感じ。
「こういうキャプテンがいいのか分かんないですけど、それで本当にチームがまとまるとか、1つになって喜びを分かち合えるのが凄くいいのかなって思います」

―ピッチ外ではどのような過ごし方することが多い?
「割とそうっすね、1日のルーティーンっていうのが大体決まっていて、自分、何時にこれやるっていうのは大体決まってる生活をしてるかなと思います」

―練習終わってからはどう過ごしている?
「そうですね。練習終わってから食堂に行って、風呂に入って、ケアして寝ますね」

―マイブームみたいのがあったら教えてもらいたいんだけど?
「最近は本読むのにハマっています」

―サッカー以外も?
「いや、サッカー選手の本をいっぱい見ます。メッシとかも読みましたし、ネイマールとかも読みましたし、最近は三笘選手を読んでいます。あとはスマホ見るんだったら、例えば大谷翔平選手の9マスの(マンダラ)チャートだったりとかを見て、ちょっと作ってみたりとかもしてましたね」

―じゃあ自分でも作って。中心部はどういうものを?
「中心部には、『世界のスターになる』って書きました」

―そのために特にやんなきゃいけないなって感じていることは?
「まずはもっとメンタル強くなんないと。もっと自分を出せる、その自我がないといけないなっていうのは最近感じています。本当に消極的じゃダメ。日本人は多分、消極的だと思う。世界的に見ても。なんで、その殻を破れるぐらい本当にメンタルっていうのは最近大事だなと思っていますし、やっぱり行動するためには紙に書くことが結構大事だと思ってるんで、言語化して、行動を明確にするっていうのも意識はしていますね」

―フロンターレのスターを超えて、世界のスターに。
「最終目標はそこなんで。その下って言ったらあれですけど、それになるまでの過程として、やっぱりまずはフロンターレで試合に出て活躍するっていうことがありますし、まずはその下に選手権出るっていう目標もあるんで、繋がってるのかなと思います」

―フロンターレのサポーターも野田君がどんなプレーしてくれるのかワクワクしてると思うけれど、選手権でその姿を見せる。
「本当に自分のサイドからは絶対やられたくないですし、そしてやっぱ自分が駆け上がってゴールに直結するプレーで見ている人をワクワクさせたいなっていうのはあります」

―スパイクの話も聞かせてください。普段はミズノのモレリア。
「モレリア2履いているんですけど、取り替えの時はNEO 4を履いています」

―それぞれ着用してる理由を教えて下さい。
「モレリア2は凄いフィット感があって、足に馴染みやすいなっていうのがあって。タッチしやすいのもそうですし、履き心地がいいっていうのが1番です」

―高校に入ってから?
「高校に入ってからです」

―それを履くことによって、自分のどういうところが特に引き出されている?
「安定感というか、正確なタッチだったりっていうのは1番しやすいのかなと思ってるんで、いいと思っています」

―フィット感が安定感もたらしている。
「フィット感はもう間違いなくスパイクの中でもトップクラスだと思いますし、今、練習でもモレリア2を履いていて、モレリア2以外は履けないかなって思います」

―スパイクか選ぶ時に、気を付けていたことは?
「小学生時代の頃は柄で選んでたんですけど。最近はもう履きやすいスパイクを履いています」

―NEO 4については?
「NEO4の方は、モレリア2よりはフィット感はないって言ったらちょっと失礼かもしんないですけど、その分、跳躍だったりとか、走りやすいなっていう風には感じています」

―足が軽くて動く。
「軽くて。アジリティ系とかにも。相性がいいなって思っています。自分と」

―それはどういう時に感じる?
「自分がプレーしていてストレスがないのもそうですし、凄くフィット感はあるんで。履いててストレスがないのが1番です」

―そのスパイクを履いて選手権ではどんなプレーを期待している?
「自分はスピードも武器なんで、スピードを最大限発揮して、攻撃の部分で差をつけたいなと思ってますし、守備のところも絶対に負けないつもりでいます」

―目標とするサイドバックはいる? 誰の映像とかよく見ていた?
「菅原(由勢)選手とかのクロスをちょっと見てるかもしれないです」

―質が高いなと。
「質が高かったりだとか、狙ってる場所がなんか共感できる部分があるんで、そこは参考にしています。何か目的を持ってクロスを上げている印象があるんで、参考にさせてもらっています」

―来年から加入するフロンターレの印象は?
「本当にJリーグのチームの中でも本当に上手いチームだと思いますし、パスだったりとかドリブルで本当に見ている人がワクワクするような試合をしてると思うんで、自分も静岡学園に来て、見てる人をワクワクさせるようなサッカーを目指してきたので、凄く自分にも合うのかなと思っています」

―フロンターレでの目標は?
「まずは先輩方からプロの厳しさだったりだとか学べるものを吸収して、1日を無駄にせずに充実した生活を送って、本当に1日でも早くフロンターレのユニフォームを着てピッチに立って活躍することが目標です」

―選手権はもちろん1戦1戦だと思いますけど、最終的な目標は?
「一戦一戦戦うのはもちろんですけど、やっぱりチームとして日本一っていうのは、もうこの新チーム立ち上げからやってきたんで、本当に日本一取るために、ピッチ内外含めてよりこだわって選手権を迎えたいなと思います」

―それがご家族だったり、チームメイトだったり、スタッフへの感謝を伝えることにもなる。
「間違いなく自分たちの力でここまで来れてないですし、本当にたくさんの方々の支えがあってここまで来れてるので、そういう人たちに恩返しするっていう意味も込めて、やっぱり日本一取って感謝の気持ちを伝えたいなと思っています」

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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