前育2トップに苦戦した東福岡DF大坪聖央「自分のせいで…」悲痛な涙は4年後プロへの糧に

東福岡高DF大坪聖央(3年=春日イーグルスFC U-15)
[1.11 選手権準決勝 東福岡高 1-3 前橋育英高 国立]

 タイムアップのホイッスルとともにピッチに崩れ落ちた後、あまりの無念にしばらく立ち上がることさえできなかった。東福岡高DF大坪聖央(3年=春日イーグルスFC U-15)は試合後の取材エリアでも「自分のところから失点が続いて……。自分のせいで悔しい結果になった」と声を詰まらせ、敗戦の責任を背負った。

 1回戦・尚志高戦(◯0-0、PK5-3)、2回戦・正智深谷高戦(◯2-0)、3回戦・阪南大高戦(◯1-0)、準々決勝・静岡学園高戦(◯0-0、PK5-4)と4試合連続クリーンシートの堅守を武器に、国立まで勝ち上がってきた東福岡。準決勝でも前半を1-0とリードし、順調な戦いぶりを見せていたが、ハーフタイム明けに悲劇が起きた。

 まずは後半3分、ビルドアップを試みた大坪がFW佐藤耕太(3年)のプレッシャーを受けると、そのままボールを奪われて佐藤の先制ゴールを献上。同9分には、大坪が今度はFWオノノジュ慶吏(3年)に振り切られ、ラストパスから佐藤の2点目を許した。そして同13分、圧巻の突破を見せたMF白井誠也(2年)にも決められ、スコアは1-3。この約10分間の形勢が試合の行方を分け、東福岡はベスト4敗退が決まった。

 試合後、東福岡の平岡道浩監督は1失点目のミスについて「私の指示が悪かった」と回顧。「当初のプランではビルドアップで落ち着いて繋ぐところを繋ごう、サイドハーフとサイドバックの間が空いていたので落ち着いて狙おうと思っていたが、準備が足りない状況で僕がつなげという言葉を言ったので、大坪が少しテンパった形になり判断を奪ってしまった」と大坪のプレーをかばった。

 それでも大坪は「自分があそこで引っ掛けてしまったせい。立ち位置、準備の部分が足りなかった」と自責の念を吐露。指揮官の指示だけでなく、「自分たちでボールを持つ時間が欲しいというのがあった」と選手間での共通認識もビルドアップの判断につながったといい、「自分でも大きくプレーすれば良かったと思っている」と悔やんだ。

 日本一への道筋が潰える3失点。そのショックは抱え切れないほどに大きく、大坪は試合後、国立のピッチに座り込み、しばらく立ち上がることができなかった。仲間に支えられて整列に向かった後も、あふれる涙は止まらなかった。

 それでもこの国立の舞台まで辿り着いたのは、ここまで4試合無失点に導いた大坪の貢献があってこそ。この1試合で過去の積み重ねが消えるわけではない。185cmの上背を活かした空中戦、DF山禄涼平(3年)とのコンビで見せた阿吽のチャレンジアンドカバーなど、国立のピッチに立つにふさわしいパフォーマンスを続けていたのも事実だ。

 そんな大坪は卒業後、関東の強豪・東京国際大に進学予定。この国立で流した悲痛な涙を飛躍のきっかけにするチャンスは大いに残されている。

 この日は同じ関東の慶應義塾大に進むオノノジュとのマッチアップでも「もっと自分が弾けていたらチームとして楽だった。筋力の部分も大事だし、ステップワークもアジリティも上げていきたい」とレベルアップの必要性を痛感していた大坪。次なるリベンジに向けて「地道に日々の努力が必要。自分に負けない気持ちで続けていければ」と決意を語る。

 試合後の取材エリアでは「しっかり努力し続けて4年後にプロになれるように頑張りたい」としながらも、「まだ後悔がある」とすぐには切り替えられない様子だった。それでも時は進んでいく。最後は「下を向いても、まだ先は長い。1年目から試合に絡めるように帰ってからすぐに準備していきたい」となんとか前を向き、未来への帰路に着いた。

(取材・文 竹内達也)


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Source: 大学高校サッカー

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