ユース審判員が今年も高校選抜選考合宿でレフェリング「仲間でありながら競い合い」レジェンド主審からも学んだ4日間

6人のユース審判員が4日間の合宿を通して成長
 日本高校サッカー選抜候補とU-17日本高校サッカー選抜候補が選考合宿を行った25日から28日までの4日間、全国から集まった6人のユース審判員が帯同してトレーニングマッチなどで主審と副審を担当した。

 全国高体連サッカー専門部が行うこの試みは今年で4年目。日本サッカー協会(JFA)からは会議室の確保などのサポートを受けているという。各都道府県に募集をかけ、選手活動も続けている6人の高校生レフェリーが選出された。Jリーグ主審の俵元希審判員などが指導を行い、3日目からは元ワールドカップ主審の西村雄一氏も合流。トップクラスのスキルをユース審判員に伝えた。

 ユース審判員は初日から11対11のゲーム形式で行われた練習に参加し、高校サッカーのトップレベルを体感。2日目と3日目の各選抜候補チームと大学生チームの練習試合では、初日の経験をもとにポジショニングの取り方などを意識して笛を吹き、フラッグを上げた。ユース審判員が選考合宿でレフェリングを行うことについて、選抜候補選手からは「自分たちのために、そして自分が成長しようと頑張ってやってくれているので本当にありがたい」といった言葉も。立場は異なるものの、同じ高校生としてピッチ上で高め合った。

 また各日の夜には、ディスカッションや研修会が行われた。それぞれが講師の指導を受けながら改善点や良かった点などを確認し、翌日以降のレフェリングへと繋げていく。昨年から英語でプレゼンテーションを行う時間も設けられたといい、話すテーマは「推し(好きなものや場所、人など)」。サッカーに関係することにこだわらずそれぞれが「推し」について英語で仲間に伝えることで、語学力や発信力の大切さを学んだ。

 日本高校選抜候補とU-17日本高校選抜候補が対戦する最終日の練習試合は、今合宿のパフォーマンスをもとに主審や副審の割り当てを決定。工藤海人(1年/大体大浪商高)審判員は「仲間でありながら競い合いながら、切磋琢磨してやってきた」と振り返り、1本目の主審に抜擢された下堀航輝(2年/盛岡中央高)審判員は謙遜しながら「みんな絶対上手くなっています」と充実ぶりを示した。副審のみの担当となったユース審判員からはこれを糧としてさらなるレベルアップを目指すように意気込む声も聞かれた。

 今回のメンバーが集合形式で集まるのはこの合宿のみ。今後はオンラインミーティングなどで刺激を与え合いながら、全国高校総体(インターハイ)の担当審判員入りを目指してそれぞれの所属する地域で研鑽を積んでいく。

 以下、参加したユース審判員のコメント。

●下堀航輝(2年/盛岡中央高)

―今回の合宿の感想を教えてください。
「同年代のトップレベルの選手たちが集まるということで興味もあり、審判員として選手から刺激をもらって成長できると思って応募しました。どうマネージメントすれば選手全員が安全安心に家に帰れるのかを考えるのがレフェリーだと分かったので、今後そういった気持ちでレフェリングしたいと思えた合宿でした」

―技術面で得られたものはありますか?
「納得のいくジャッジをする上でポジショニングがすごい大事だと気づきました。距離が遠すぎず近すぎず、一定の距離を保ちながらゴール前までいってボールの動きを予測して動くという、シームレスなポジショニングの取り方を得られたなと思います」

―今後の目標を教えてください。
「審判員だけじゃなくて色々な面でサッカーに関わっていきたいというのがあります。審判でも選手でも、他のスタッフやトレーナーという道でもサッカーに関わっていきたいと思っています」

●小川隼弥(2年/湯沢高)

―今回の合宿の感想を教えてください。
「全国レベルで関われる研修はあまりないので、チャレンジしたいなと思って申し込みました。4日目に主審の割り当てを貰えなくて今すごく悔しい気持ちで、自分に何が足りなかったかとか改めて見直す機会になりました。他の人の長所とかを盗んで、また地域に帰ってやり直したいなと思っています」

―今回の合宿で得られたことを教えてください。
「選手とのコミュニケーションの取り方ですね。西村雄一さんの講義を聞いて、選手が審判員をリスペクトする(ように言う)のではなくて、審判員が選手をリスペクトしてコミュニケーションを取ると、もっと良い試合になるのではないかなと思いました」

―今後の目標を教えてください。
「やっぱり西村雄一さんみたいになることですね。憧れています」

●寺谷大助(2年/壬生高)

―今回の合宿の感想を教えてください。
「高校のサッカー部の監督が元国際審判員の高山啓義先生で、『やりたいです』と言ったら応募してくれて参加することができました。自分の審判に対する課題や反省すべきところ、良いところを改めて見つけられたのでしっかり振り返りをして一人のレフェリーとして頑張っていきたいです。高校選抜候補や大学のレベルを痛感できたので、自分のメインは選手活動なのでそこに向けても頑張っていこうと思います」

―審判活動を始めたきっかけを教えてください。
「自分はGKなんですけど、GKは(プレーの争点から)遠いことが多いじゃないですか。遠いところだとなぜファウルなのか、ファウルじゃないのかみたいな(ことが分かりづらく)、そういうことで疑問を思ったのがきっかけです。そこから正確に審判を学んでいく上でルールをちゃんと覚えて、フェアプレーを大切にしたいと思いました」

―憧れの審判員はいますか?
「あまりレフェリーを意識して試合を見てはいないですけど、結構海外サッカーを見るのでこの人はすごいと思ったのがダニエレ・オルサートさん(元セリエA主審/元国際主審)。大舞台をめちゃくちゃやっていてマネジメントやコミュニケーションの仕方がすごいと思いました。日本だと高山先生もそうですし、J1を吹いている審判員はすべて目標というか、そういう人たちを目指してやっていきたいと思いました」

●工藤海人(1年/大体大浪商高)

―今回の合宿の感想を教えてください。
「来たときと比べてガラッと自分のレフェリングが変わったなと感じていて、なぜレフェリーがいるのかという根本的なところから考えさせられた合宿でした。レフェリーが自己満足でリーダーシップを発揮することは簡単ですけど、それでは誰もついてこない。選手のみんながついてきてくれて、こんなレフェリーに試合を任せたいと思ってくれること(が大事)。そう思われたいと感じました」

―今後の目標を教えてください。
「僕としては学校の教員になりたいという夢があります。大学で教員免許を取るために勉強をしながら審判活動もして、将来的にはJリーグ担当や国際審判員にもなっていきたいです。その道は長いので、教員をしながら審判をしてという人生になると思っています」

―憧れの審判員はいますか?
「大阪でずっと僕の面倒を見てくれている西橋勲さん(プロフェッショナルレフェリー/国際副審)。西村雄一さんに『西橋くんに旗の使い方が似ているね』というふうに言ってもらえて、僕のレフェリーの基礎を作っているのはそういった身近なプロフェッショナルレフェリーの存在なのかなと思います」

●中村陸(2年/稲生高)
―今回の合宿の感想を教えてください。

「学校の先生に紹介が来て、『行きたいです』と即答で言いました。まず自分の強みが分かったところがあって、スプリントがあまり得意ではないと思っていたんですけれど、武器と(周りに)言ってもらえて見つけられました。また、選手のコミュニケーションの取り方が分かったことが、この合宿に参加して良かったと思う部分です」

―今後の目標を教えてください。
「将来はJリーグで審判をしたいです。できなかったとしても審判じゃない形だとしてもサッカーに関わり続けたいと思います」

―憧れの審判員はいますか?
「憧れは三重県の安川公規さん(Jリーグ担当主審)と中澤涼さん(Jリーグ担当副審)。僕が怪我しているとき、Jリーグを担当している安川さんが足の怪我から審判を始めたことを知って審判について気になり出しました」

●小早川稀(2年/大社高)

―今回の合宿の感想を教えてください。
「最初に来たときはただ自分の実力を一旦出してみる、他のユース審判員やインストラクターに見てもらうだけなのかなと思っていました。この4日間を通して日々見つかっていく課題に1試合ごとにトライしていくことが、自分たちが毎日試合を担当する意義だなと思いました。研修ではレフェリーがまず選手をリスペクトするから選手は選手同士や監督、審判をリスペクトするのだなと、そういう相乗効果で試合は良い雰囲気になると学べました」

―今後の目標を教えてください。
「将来的な話をすればJリーグや上の方にいきたいです。今の近い目標であれば新人戦や総体県予選の大会にしっかり呼んでもらえて、そこから上へと登っていくことです」

―憧れの審判員はいますか?
「Jリーグを見ていることが多いので荒木友輔さん(プロフェッショナルレフェリー/国際主審)や飯田淳平さん(プロフェッショナルレフェリー/国際主審)。そして、今回来ていらっしゃった西村雄一さんも自分がいつもテレビで見ている人なので、良い刺激を受けました」

(取材・文 加藤直岐)


●第103回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました