[2.8 NEXT GENERATION MATCH U-18 Jリーグ選抜 4-1 日本高校選抜 国立]
190センチを超えるその立派な体躯には、無限の可能性が詰まっている。中体連からJクラブユースの名門へと針路を取り、自分の力で漕ぎ出したプロサッカー選手になるための大航海。これからも吉田の地で丁寧に日常を積み重ね、煌めく未来を必ず手繰り寄せてやる。
「まずはトップチームに昇格することが一番ですね。そこは今年の大きな目標に掲げていますし、その中で年代別代表に選ばれることだったり、チームで試合に出続けることを意識してやっていきたいと思います」。
若き紫熊を最後方から支える、成長著しい大型守護神。GK小川煌(広島ユース/2年=長崎市立淵中出身)は国立競技場で新たな仲間と共闘した経験を糧に、アカデミーラストイヤーへと逞しく向かっていく。
「相手がどういうサッカーをやってくるかはみんなで共通認識を持ってやっていましたし、自分たちがどういうサッカーをやるのかというのも、この3日間を掛けてみんなで共通認識を持ってやれたことで、試合の入りから落ち着いてやれたと思います」。
小川は終わったばかりの試合を、そう振り返る。サンフレッチェのトップチームが臨むFUJIFILM SUPER CUP2025の前に組まれた NEXT GENERATION MATCH。U-18 Jリーグ選抜の背番号1を任され、ゴールマウスでキックオフの笛を聞く。
前日練習でもGK萩裕陽(名古屋U-18/2年)とは、リラックスした雰囲気でトレーニングに取り組んでいた。何しろ今回のU-18 Jリーグ選抜のGKコーチに指名されているのは、サンフレッチェ広島のトップチームで指導している林卓人コーチ。間違いなくクラブのレジェンドだが、小川にとっては身近な存在だ。
「トップチームのトレーニングに参加した時にも教えてもらっていますし、ユースの練習にも来てくれるので、そこまで変な緊張とかはすることなく練習できていると思います。やっぱり自分のこともわかってくれているので、やりやすいですよね」。林コーチのポジティブな声掛けに、笑顔で応える2人の姿が非常に印象的だった。
「自分の目標はサンフレッチェでプロになるというところなので、その前にこうしてサポーターの皆さんの前でプレーできることはとても良い経験ですし、自分のプレーをここで出して、少しでもサポーターの皆さんに知ってもらえたらいいかなと思っています」。
トップチームの“前座”ということもあり、意気込んで臨んだ一戦。いわゆる実戦は昨年末のプレミアリーグ以来だけに、「自分としても久しぶりの試合だったので、感覚的にもちょっと難しいところもありました」とのことだが、前半16分には相手の鋭いミドルシュートに、足を運んで正面でキャッチするなど、冷静なセービングで守備陣に落ち着きをもたらしていく。
39分には見せ場が訪れる。左サイドをスムーズに崩され、角度のない位置から放たれたシュートが枠を捉えたが、右手で確実に弾き出し、前半最大のピンチを確実に回避する。
「全体的に落ち着いてやれましたし、やっぱりキーパーとしてゼロで終わるのは最低限の仕事だと思うので、そこは良かったかなと思います」。40分間を無失点で抑えると、後半からは萩とスイッチ。結果的にU-18 Jリーグ選抜は4-1で勝利を収め、試合後には2人の守護神にも笑顔が広がった。
小川が中学時代に所属していたのは、地元の長崎市立淵中のサッカー部。GKコーチもいない環境で、なかなか専門的なトレーニングを積むことができなかったそうだが、その才能に目を付けてオファーを送った広島ユースへの加入を決断する。
「今は毎日キーパー練習ができますし、ここまでサッカーのことばかりを考えることも中学生の時はできなかったので、今は本当に充実しています」という環境下で、1年時はAチームでの出場機会を継続的に得るまでには至らなかったが、2年に進級した昨シーズンはプレミアリーグWESTで全22試合にフル出場を果たし、大きな経験を積み上げた。
「(野田知)監督も自分を1年間使ってくれましたし、代表だったりといろいろな経験をしたことで、試合に出始めたころよりはスピード感にも慣れてきて、自分のプレーにもちょっと余裕が出てきたので、去年プレミアで全試合に出させてもらったことは、自分の中では大きな経験になったかなと思っています」。
本人も言及したように、昨年9月には『国際ユースサッカーin新潟』に臨むU-17日本代表に招集され、約1年3か月ぶりとなる年代別代表活動に参加。今回のJリーグ選抜にも選出されているDF千田遼(岡山U-18/2年)、DF林駿佑(川崎F U-18/2年)、DF佐々木将英(FC東京U-18/2年)、FW大西利都(名古屋U-18/2年)らとともに、海外の代表チームと対峙して貴重な経験を得た。
もちろん今回のJリーグ選抜で過ごした3日間で体感したことも、ここだけで終わらせるつもりは毛頭ない。「やっぱり常に高いレベルでやることが大事だと思うので、自チームに帰ってから自分がこの経験をみんなに還元して、チームにとってもプラスになるような働きかけをしていければいいかなと思います」。
スケール感は十分。経験値も着実に纏ってきている。いよいよ迫ってきた勝負の1年の幕開け。193センチというサイズを誇る広島ユースの絶対的守護神。さらなる成長を予感させるポテンシャルを秘めた小川煌の2025年が、今からとにかく楽しみだ。


(取材・文 土屋雅史)
Source: 大学高校サッカー
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