2028年ロサンゼルス五輪まであと3年。ロサンゼルス五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ2005年生まれ以降の「ロス五輪世代」において、年代別日本代表未招集の注目選手たちをユース取材ライターの森田将義記者がピックアップ
京都橘高のFW伊藤湊太(2年)は今、高体連で最もホットなストライカーかもしれない。185cmの大型ながらもスピードは十分。後方からのパスを左サイドに流れて受けると、勢いに乗ったドリブルでシュートまで持ち込む。
「たくさんJのスカウトも来て、見られるのは分かっていたので得意にしているドリブルを最大限に出してアピールしようと思っていた」。そう振り返る2024年度選手権開幕戦の帝京高戦では得点こそ奪えなかったが、特徴を存分に発揮し決定機を何度も演出。自らの名前を売ることに成功し、大会後にはU-17高校選抜にも選ばれた。
すでにJクラブが関心を寄せており、2月には練習参加も経験。「基礎の部分が足りないと思ったので、もっと練習していかないといけない」と課題を口にする一方、ストロングポイントであるドリブルやDF裏への飛び出しに関しては確かな手応えを得たという。
「一週間練習参加を経験させてもらい、プロに行けるんじゃないかという可能性が見えてきました。プロは凄い場所なんだろうと思っていたのですが、想像以上にやれたので、プロ入りに向けてもっと頑張ろうと思えました」。
今年に入ってからJクラブへの練習参加とU-17高校選抜選考合宿を経験し、成長速度は加速している。「練習参加から帰ってきて、ボールを持ってから自分でやろうという気持ちが強くなった。プレーに余裕を感じる」と口にするのは植木颯大コーチだ。
22日に挑んだ近畿高校サッカー選手権大会の準決勝は、後半途中からの出場となったが、伊藤らしさを感じるスピードを生かした抜け出しからダメ押しとなる2点目をマーク。同じく途中出場となった決勝は思い通りにボールが入らず、納得のいかない試合内容になったが、改めてスケールの大きさを感じるプレーを披露した。
今でこそサイズと速さを兼ね備えた本格派のストライカーとして存在感を見せるが、ガンバ大阪門真ジュニアユースに加入した当初は小柄で、ポジションも今とは違いサイドハーフだった。当時のエース格は、ガンバ大阪ユースに進んだFW中積爲(2年、2024年U-17日本代表)。伊藤は多くのアシストを記録したが、得点は数えるほどで「ガンバ門真のみんなが『爲が凄い!』となっていたので悔しかった」と振り返る。
家から自転車で通えるとの理由で入学を決めた京都橘でも当初の持ち場はサイドハーフ。昨年の春先はサイズ感を買われ、CBとしてプレーしていた。だが、昨夏以降、FWに本格転向すると様々なストライカーのプレー集をチェックし、点の取り方を研究。ベースとして持っていたキックの上手さ、インパクトの強さと合わさり、現在のブレイクに繋がっている。
フィジカル面や細かな技術面など伸びしろは十分。まだ高卒でのプロ入りと大学進学で悩んでいるというが、今の活躍が続けば獲得に興味を示すJクラブは増えるだろう。これまで無縁だった世代別代表もあり得ない話ではない。「もっと点を決めて、もっとドリブルもしていけば代表も見えてくる。これからはインターハイ、選手権があるので、そこでしっかり点を決めて結果を残せる選手になりたい」。そう意気込む伊藤のストーリーはまだ始まったばかりだ。
(取材・文 森田将義)
Source: 大学高校サッカー
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