[2.24 東京都CY U-17選手権決勝 FC東京U-18 0-0 PK7-6 町田ユース 味の素フィールド西が丘]
いつだって、思考を巡らせてきた。自分が立つ位置。相手が動く場所。ボールがたどる経路。そのすべてを頭の中で掛け合わせ、次に繰り出すべきプレーを弾き出していく。つまりは、考える。サッカーというシンプルで複雑な競技に必要なことを、ひたすら考えている。
「試合の流れを常に考えておくことは意識しています。どんなことも考えることが重要だと思っていて、考えて、考えて、プレーすれば、逆に考えなくてもプレーできるというか、もうそれが身についてくるので、そういうところがサッカーの楽しいところですね」。
FC町田ゼルビアユース(東京)の中盤を取りしきる、時間と空間の支配者。MF関大翔(2年=FC町田ゼルビアジュニアユース出身)が考え抜いて叩き出す最適解は、チームをあるべき方向へと導いていく。
「前半は結構押し込まれる時間が多かったんですけど、その中でどうやって耐え切るかというのと、どうやってそこからチャンスを作り出すかを考えていました。『一歩前に』とは中山さん(中山貴夫監督)からもよく言われるんですけど、それが最初の10分はできていなかったのかなと思います」(関)
町田ユースにとっては大会初優勝を懸けて挑んだ、東京都クラブユースサッカーU-17選手権決勝。プレミアリーグに所属する強豪のFC東京U-18と対峙した一戦は、立ち上がりこそやや劣勢を強いられたものの、相手の強度と圧力に慣れ始めてからは、少しずつ本来のやりたいことが顔を覗かせる。
センターバックのDF佐藤智風(2年)とDF西尾心(2年)からじっくりとビルドアップを図りつつ、「練習の時からビルドアップの形はやっているので、そこに自信を持って繋いでいけば前進はできたのかなと思います」と話す関とMF森高優(2年)のドイスボランチも巧みな位置取りでボールを引き出しながら、サイドへ逃がして起点を作り、そこから一気にテンポアップする形で、相手陣内へと侵入する回数が増えていく。
チームを束ねる中山監督から関へと寄せられる信頼は、絶大だと言っていいだろう。「メチャクチャキーマンです。まずボールを扱う技術が優れているのと、相手のタイミングをずらせるというか、時間のコントロールができますし、5メートルや10メートルのスピードもチームで一番速いんです。だから、切り替えの部分でも守備での貢献度が凄く高いですし、サッカーIQは抜群だと思います」。
後半以降は劣勢を強いられる展開が続いた中で、延長に入ると足を気にし始めた関を指揮官もいったんは交代させかけたものの、「『痛そうだけど……、行けるだろ』と」そのままピッチへ残す決断を。本人も「両足が攣ってしまったんですけど、そのまま気合で行きました(笑)」と110分間を逞しく走り切る。
もつれ込んだPK戦。町田ユースのGK末永幹人(2年)もFC東京U-18のGKも、2人ずつキックをストップして迎えたサドンデスの7人目。関までキッカーの順番が回ってくる。
「今シーズンに入ってから練習試合も含めてPKを2回外しているんですよ。みんなにも結構言われていて(笑)。その中で7人目の自分まで来るとはあまり思っていなかったので、『決めてやる』というよりは、『外さないように……』ぐらいの感じで蹴りました。たぶん今まで蹴ったPKの中では一番良かったです」。
9人目までもつれ込んだPK戦では結果的に敗れ、初優勝は手繰り寄せられなかったものの、効いているプレーを貫いた関のパフォーマンスが、チームの中でも一際光っていたことに疑いの余地はない。


昨年は逆三角形の中盤アンカーを務めることが多かったが、この日の試合をはじめとして今季はドイスボランチも採用され始めている中で、関にはプレーの参考にしている選手がいるという。
「ペドリとかマック・アリスターとか、前にも行けて守備も戦えてという、そういうプレーヤーが好きですね。トップチームだと下田北斗選手の『間を作るプレー』というか、『フォワードとディフェンスの間を作っている人』という感じがあるので、参考にしています」。
もともとゼルビアとの接点は、小学校6年生の時に入ったスクールのスペシャルクラスから。以降はジュニアユース、ユースと順調にカテゴリーを上げてきた中で、クラブがたどってきた明らかな変化も、関ははっきりと感じている。
「やっぱり世間から見られる目もだんだん変わってきて、アカデミーも今まで東京都でこういう上のステージに来ることもそこまで多くなかったですけど、そこはどんどん変わってきているなと感じています」。
「あとはトップチームもJ1にいて、国内の一番上のリーグで昨年も結果を残しているわけで、そういったところは『自分たちももっと上に行かないといけない』というプレッシャーにもなっていますし、良いモチベーションにもなっています」。
いよいよ迎えるアカデミーのラストイヤー。昨年から試合に出ていた選手も多く、期待値は決して低くないだけに、今季の目標を問われた関の言葉にも、力強く熱がこもる。
「まずチームとしては絶対にT1(東京都リーグ1部)で優勝してプリンスに昇格することが第一で、自分としては今までアンカーとしてプレーしていたんですけど、ダブルボランチになるのなら、より前にも行って、得点に絡んでいきたいなと思っています。去年のリーグ戦は無得点だったので、今年はまず3点を目指して、それを達成してからはもっと獲れればいいかなと思っています」。
チームとして着々と積み上げてきた成果を、収穫するための機は熟している。タイムコントロールとスペースコントロールに長けた、陰日向に咲く町田ユースのスペシャルな考える葦。“メチャクチャキーマン”として中盤にそびえる関大翔の存在感、見逃せない。


(取材・文 土屋雅史)
Source: 大学高校サッカー
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