市立船橋が2度リードも川崎F U-18が追いつき、2-2。互いに悔しいドロー決着

後半31分、川崎フロンターレU-18FW恩田裕太郎が右足ループシュートを決め、2-2
[4.13 プレミアリーグEAST第2節 市立船橋高 2-2 川崎F U-18 グラスポ]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EASTは13日、第2節2日目を行い、船橋市法典公園(グラスポ) 球技場(千葉)で市立船橋高(千葉)と川崎フロンターレU-18(神奈川)が激突。雨中の一戦は市立船橋が2度リードを奪ったが、川崎Fが追いつき、2-2で引き分けた。

 ホームの市立船橋は、昌平高(埼玉)に1-2で敗れた前節から先発4人を変更。GK辰侑樹(3年)、右から左近作怜(3年)、森本陽太(3年)、斉藤健吾(2年)、野地透生(3年)の4バック。中盤は森露羽安主将(3年)と孫本晟馬(2年)のダブルボランチで右SH勝又悠月(2年)、左SH秋陽凪(3年)、そして、末永悠晴(2年)と佐々木瑛汰(2年)が2トップを組んだ。

 一方、川崎Fは東京Vユースに3-2で逆転勝ちした開幕戦と同じ先発11人。GKが松澤成音(3年)でDFは右から平内一聖(3年)、林駿佑主将(3年/2025年U-18日本代表)、ペイシェンス海翔(3年)、柏村涼太(3年)の4バック、楠田遥希(3年)と小川尋斗(2年)がダブルボランチを務め、右に藤井漣祐(3年)、左に新堀翔(3年)、前線で平塚隼人(3年)と初戦2発の恩田裕太郎(3年)がコンビを組んだ。

名門校と強豪Jクラブユースとの一戦は雨中の戦いに

 立ち上がり、ホームの市立船橋がプッシュする。長めのボールを活用しながら、同サイドに人数をかけた攻守。左の佐々木、右の左近作がドリブルで深く切れ込んでラストパスを狙う。また、末永が縦パスから抜け出そうとし、勝又がドリブルで大きくボールを運んで相手を押し返した。

市立船橋の2年生FW佐々木瑛汰は勝ち越し点をアシストするなど打開力を発揮

 対する川崎Fは林を中心に落ち着いた守備対応。前線の恩田へボールを入れ、そこを起点に連動した攻撃でゴールを目指す。だが、先制したのは市立船橋だった。16分、敵陣中央でセカンドボールを回収した秋がドリブルでDF間を強襲する。カバーの相手DFが濡れたピッチに足を取られたこともあり、秋は一気にPAへ侵入。そのまま正確な右足シュートをファーサイドのネットへ流し込んだ。

川崎FのCB林駿佑主将が1対1で相手をストップ
前半16分、市立船橋MF秋陽凪が右足で先制ゴール
チームを勢いづける先制点だった

 追う展開となった川崎Fは10番FW平塚がシャープな動き。23分には左サイドで平塚が奪い返すと、恩田が逆サイドへ展開する。これを受けた藤井が右足シュート。市立船橋GK辰が反応したものの、こぼれ球を新堀が左足で押し込んで1-1とした。

前半23分、川崎FのMF新堀翔が左足で同点ゴール
ゴール前のこぼれ球を押し込んだ

 川崎Fは前半からサイドチェンジが効いていた。高い位置を取る平内、柏村の両SBも活用して分厚い攻撃。だが、サイドに良い形で展開しながらも、ここからスピードアップすることができず、市立船橋にスライドする時間を与えてしまう。30分には恩田のパスから右SB平内が縦に仕掛けてラストパス。ここに恩田が走り込んだが、シュートは枠を外れた。

 すると33分、市立船橋が勝ち越しに成功する。左スローインから孫本がPA方向へ斜めのパス。森とのコンビから佐々木が縦へ抜け出し、マイナスのラストパスを通す。これを勝又が右足ダイレクトで決め、2-1とした。

前半33分、市立船橋MF勝又悠月が右足ダイレクトで勝ち越し点
鮮やかな崩しから相手を突き放した

 川崎Fの森勇介監督は「(前節、)ヴェルディさんに2点も取られてるので、市立船橋さんなんかもっと前に圧力あるっていうのはもう映像で分かっていたので、その中で簡単に、あんな軽く失点してしまったのは、トレーニングでやっていたんですけど、やっぱ自分の持って行き方が悪かったかなと思って…映像を見てまた反省します」。川崎Fはこの一週間、守備、マインドの部分を強調してトレーニング。それでも、個々の甘さが出ていたことを新指揮官は指摘し、「何とか高められるようにやっていければなと思っています」と語った。

 市立船橋はこのあと、末永の奪い返しからのシュートや、佐々木の仕掛け、セットプレーでゴールに迫るが、川崎Fの林やペイシェンスに止められ、畳み掛けることができない。一方の川崎Fは中央から藤井、新堀がショートパスを連続で通しに行くシーンなどがあったものの、前半はチャレンジする姿勢を欠いたところも多く、ハーフタイムには森監督から檄を受けていた。

 後半立ち上がり、川崎Fは小川がドリブルで1人、2人と剥がして右足シュート。6分には平塚からのパスを受けた小川の右足シュートがリフレクションする形でゴールへ向かう。だが、市立船橋GK辰が懸命に伸ばした手に当て、ボールはクロスバーをヒット。川崎FはCKから迎えたチャンスもポストに阻まれて追いつくことができない。

川崎FのFW平塚隼人はシャープな動きで存在感
市立船橋の192cmGK辰侑樹はビッグセーブを見せるシーンも

 14分、川崎Fは柏村を左SB菊池京(2年)へスイッチ。直後には左サイドでのパス交換から藤井が右へ展開し、平内が抜け出して左足シュートを放った。守備対応が後手になった市立船橋に対し、川崎Fは楠田や小川、新堀が遅れて出てきた相手選手を巧みなファーストタッチなどで剥がして前進。ただし、市立船橋はゴール前で踏ん張る。よく前に出てバトルしていた斉藤と森本の両CBや運動量の光る森が中心となって相手の攻撃を凌いでいた。

 川崎Fは21分に楠田をFW廣瀬寧生(2年)へ交代。攻撃に厚みを加えて攻め続けると31分、小川のスルーパスで恩田が相手DFの前に出る。そして、右足ループシュートで同点ゴール。攻め続けて市立船橋ゴールをこじ開けた。一方の市立船橋は直後に末永とFW仲野真翔(3年)を交代。さらに37分には斉藤、秋、勝又をCB細内統伍(3年)、左SH山本一誓(3年)、右SH小川夢成(3年)へ3枚替えする。

後半31分、川崎FのFW恩田裕太郎が同点ゴール

 川崎Fは右サイドで抜群のスピードを見せる平内を活用。林や菊池も空いたスペースへ攻め上がるなど相手を呑み込みに行く。そして、平塚のクロスに恩田が飛び込むなどゴールを脅かした。それに対し、市立船橋も野地や左近作が強引に前へ。山本のパスから仲野がシュートへ持ち込み、左近作の右クロスに仲野が飛び込もうとする。だが、GK松澤と林を中心とした川崎Fの守りは堅い。

 その川崎Fは43分に藤井、平塚をMF木下勝正(2年)とFW川村求(1年)へ交代。45+1分には川村の右クロスに廣瀬が頭から飛び込んだが、触ることができない。オープンな展開となる中、互いに最後まで1点を目指したが、スコアはこれ以上変わらず。2-2で勝ち点1を分け合った。

互いに3点目を奪うことはできず、2-2で引き分けた

 川崎Fは後半、主導権を握り続けたが、3点目を奪うことができず、開幕2連勝を逃す形に。森監督は「後半ぐらい押し込める力はあるのに最初からできないのは自分も含めて、ほんと日頃のトレーニングが悪いのかなってちょっと思っています」。追いついたことは評価した上で、「今日に関しては特に良かったところはないかなと思っています。こっちのスタッフ、ボクの采配含め」。そして、次節へ向けてチーム内競争と、個人で守れていない部分の改善をする考えを口にしていた。

 一方の市立船橋MF森主将も引き分けを残念がっていた。「前半は自分たちのやりたいサッカーができていて2-1で勝った状態で後半に繋げられたんですけど、後半はちょっと焦りとかもあって、あまり自分たちのやりたいサッカーができなくて、失点もしちゃって、勝ち点1になっちゃって、3取り切りたかったなっていうのはあります」。そして、「後半の45分間も、90分間同じ戦い方で戦い続けられるようにすることと、チームとして上手くいかなかった時の改善策というものをもっと考えて、相手にもっと対応できるようなチームにしていきたいと思っています」。この日出た課題を改善し、次節(対FC東京U-18)こそ初白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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